チョコレートが一番買われているのはどの地域か、その実情をさぐる(2024年分析版)
チョコレートのみ、チョコ菓子を加えても富山県が一番
ピンクや茶系統色の商品群が店の棚にきらびやかさを添え、甘い香りが嗅覚に刺激を与える今日この頃。バレンタインデーに向けて次々とチョコレートに関連する食品が開発され、メッセージギフトとしての活躍を期待する人たちの手に取られている。あるいは手作りの一品を創る素材として、チョコレートをはじめ関連する甘味も多様なものが注目を集めている。それではチョコレートの類への支出傾向は、日本の地域別で見るとどのような状況なのだろうか。総務省統計局が定期的に調査を実施し、その結果を公知している「家計調査」から必要な値を抽出し精査を行うことにする。
今件で確認するのはバレンタインデーで贈り物の主役となるチョコレート。ただし「家計調査」では該当する品目分類として「チョコレート」以外に「チョコレート菓子」も対象になりうる。この違いは次の通り。
●チョコレート
・原則として、チョコレート生地の重量が60%以上のもの。
例…アーモンドチョコレート、麦チョコ。
●チョコレート菓子
・原則として、チョコレート生地の重量が40%以上60%未満のもの、または準チョコレート生地が60%以上のもの。
実のところバレンタインデー向けの商品としては「チョコレート菓子」の類はさほど買われず、「チョコレート」に該当するもののみが購入対象となっているが、念のため「チョコレート菓子」も考察対象に加える。
精査対象世帯は総世帯(単身世帯+二人以上世帯)。年次データとしては記事執筆時点では2023年の値が最新。そこから「チョコレート」「チョコレート菓子」の世帯あたりの年間支出金額を精査していく。
なお今件はあくまでも「世帯あたりの」支出金額であることに注意。その地域全体の支出金額となれば、人口の大小が大きく影響を与えるので、東京都がトップになるのは容易に想像ができる。要は各地域における生活単位(=世帯)で、チョコレートの支出傾向にどのような違いがあるかを見ていく次第。
世帯単位での年間支出金額としては「チョコレート」単独でも、「チョコレート菓子」を加えても、富山県がトップとなった。
チョコレート菓子を加えても富山県がトップには変わりがない。富山県においてチョコレートの支出金額が大きいのは確かなようだ。第2位以降もおおよそ同じような顔ぶれで、チョコレート好きな地域はチョコレート菓子にも惜しみない支出をしていることが分かる。
富山県がなぜチョコレートを大量に購入しているのか、その理由は正直なところ不明。名産品にチョコレートに関連するものは見当たらず、話題に上るようなイベントや施設があるわけでもない。
一人あたりの金額を単純試算すると
「家計調査」では「チョコレート」「チョコレート菓子」に関して、購入数量や平均価格の調査は行われていない。よって「チョコレートの消費重量」の精査は不可能。
そこで見方を変え、「世帯単位の支出金額」ではなく「世帯構成員一人あたりの支出金額」を算出する。これは各地域の平均世帯構成人数を用いることで容易に算出可能。無論世帯構成員には老若男女すべてが含まれるため、単純に割り算をしたのでは世帯構成によるぶれが生じる可能性もあるが、今件はあくまでも指標を求めるのが目的のため、目をつぶることにする。
世帯単位ではトップだった富山県は一人あたりでは第4位に後退。トップは山口県となった。
世帯単位のチョコレート・チョコレート菓子の上位陣がほぼこちらにも顔を見せていることから、順位動向はともあれ全体としては世帯単位の支出金額と大きな差異はないようだ。
地図化すれば何らかの傾向が?
最後は今件調査の地図化。「世帯単位の年間チョコレートとチョコレート菓子の支出金額」「一人あたりの年間チョコレートとチョコレート菓子の支出金額」それぞれについて、全国平均額との差異比を計算し、地図化したのが次の図。色が濃い地域ほど、支出金額が大きいことになる。
地域単位の食文化がかいま見れる結果が出るのを期待したが、実のところそのような結果にはならなかった。チョコレートは熱に弱いとの印象があるため、暑いところでは支出金額が少なく、寒い地域ほど支出金額が増えるとの推測もあったが、例えば世帯あたりなら青森県、福島県、秋田県など北日本の一部では軒並み全国平均以下の値が出ている。都道府県単位の傾向ならともかく、地域レベルでのチョコレートへの支出金額に関する傾向の類は、少なくとも地図を見た限りでは存在しないようだ。あえて言えば、近畿から中国地方あたりが高めかな、という程度ではある。
チョコレートに関係する大きなムーブメントが生じない限り、今回の動向は今後も変化は無いだろう。見方を変えれば、家計調査の動向を逐次精査することで、地域のチョコレート事情の動きを見出すことができるかもしれない。今後も定期的な精査を行いたいところだ。
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