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【富士宮市】高度な技術と沢山の思いが込められた JATCO eco-knife “ARUNEMO”

渡辺雅来地域情報発信ライター・執筆家(富士宮市・御殿場市)

『ジヤトコ株式会社』は、世界トップクラスのシェアを誇る無段変速機(CVT)や自動変速機(AT)などを開発・製造し、国内外の自動車メーカーに供給されている自動車部品メーカー。

そんなトランスミッション専業メーカーであったジヤトコさんが、9月28日からエコナイフが一般販売されています。

ジヤトコからエコナイフ?

アフターCOVID-19で市場が拡大していたキャンプ用品に注目し、『廃材を活用した商品』の企画検討を開始。

  • 廃材を活用すること
  • ジヤトコのアセット(設備・技術)を活用すること
  • 環境にやさしい商品であること(SDGs:12 つくる責任)

の3つのルールをもとに、『JATCO eco-knife “ARUNEMO”』が誕生しました!

JATCO eco-knife “ARUNEMO”

ARUNEMOと書いて『アルネモ』と読みます。

協力企業との活動の始まりは小さな森のようなもの。これを大きな森に育て、人々に環境への意識が広まってほしいという願いから、ギリシャ語の 『Aruhi(始まり)』 と 『Nemos(小さな森)』 を組み合わせた造語。

『始まりの小さな森』 を意味しています。

ジヤトコグループ全体で実現したプロジェクト

【NCマシニングセンタでの刃の加工】

自動車部品を作る普段の作業とは全然違うので、設備や使用する工具の選定方法、工程や加工方法を検討し、試行錯誤しながらも作成。

【熱処理による内部応力の開放】

金属に熱をかけると内部の組織の繋がり方に変化が起きます。

加工を入れるとドリルやエンドミルのような加工工具(刃物)で鉄を切る時、応力が加わることで組織が変形しているので、時間経過や熱が加わる事で変形(欠けたり、曲がったり)してしまいます。

この工程ではNGとなった自動車部品で囲んで炉に入れるなど、焼きムラが出ないように、焼入れ、焼き戻し(ゆっくり熱を加えてゆっくり冷やす)工程で鋼の組織を安定させ、時間経過や熱が加わる事での変形を防ぎます。

【浸炭焼入れ処理】

浸炭焼入れとは読んで字の如く、表面に炭素を浸透させて硬くする処理です。

ダイヤモンドが炭素で出来ているのをご存知であれば炭素でコーティングする事で表面が硬くなるのが想像出来るかと思います。

この処理はよく自動車部品のギア等の表面に施させる処理で、耐摩耗性を飛躍的に上昇させるのに施される処理になります。

硬いゆえに脆いと言う欠点を硬化層の下にある母材のじん性で補う形になるのですが、形状によって表面の硬化層に変化があるのでそこが製作者の腕の見せどころになります。

このようにして完成したナイフを一度破断させて中の硬度を硬度測定器で測定し、最適な硬化層を作る為に何度もトライ&エラーを繰り返して作成した逸品になり、製作者も納得の出来栄えに仕上げられています。

【刃の研磨】

最終工程で鉄を削る為の刃物を研ぎ直す機械(マシニングセンタで使用するドリルやエンドミルの再研磨機)で職人さんが手でナイフの刃を付けて仕上げていきます。

ドリルやエンドミルはハイスと呼ばれる工具鋼が使用されていて、かなり硬度が高い鉄を使用しています。

これらを加工(再研磨も含む)するには切削加工ではかなり厳しい為、研削加工といって砥石を使用した特殊な加工機で加工されます。

刃を付ける際には浸炭焼入れ処理後に加工を入れる為、研削加工で刃を付ける事になります。ちなみに刃もピンピンに尖らせると硬くて脆い薄い刃になるので、切る想定物に対して厚さや先端を丸めたりする高度な技術が求められます。

ジヤトコグループ全体で実現したプロジェクト

本来日本伝統文化とも言える刀鍛冶での製法は鋼に熱を入れて叩く(鍛造-たんぞう)と言う工程を繰り返しかける事によって、鋼の表面硬度と鋼の中にある繊維(のようなもの)を安定させて製作していきます。

12月7日に開催されたフジヤマクラフターズのブースにて
12月7日に開催されたフジヤマクラフターズのブースにて

昔からの製法とは異なるアプローチで、自分達の極めた得意分野の技術を盛り込んで作られた『JATCO eco-knife “ARUNEMO”』は、ジヤトコの技術力が集結した次世代の作成方法なのです。

地域活性化

柄は富士市の名産『富士ひのき』を使用して、富士木材株式会社が製造。

レザーカバーは富士市の革製品専門メーカーWEASELER Leather Worksが製造。

富士周辺を拠点とするメーカー2社と連携し、また富士市や富士宮市の行政や地元企業などの協力のもと、たくさん収益を上げるのではなく、最低限自立する地域の活性化ビジネスを目指しています。

モノづくりへのストーリー

12月7日に開催されたフジヤマクラフターズのブース
12月7日に開催されたフジヤマクラフターズのブース

サステナブルな社会の実現にむけた活動にリンクしたビジネスとして廃材から制作したナイフを事業には、社員自らが声を上げて企画をし、販売までたどり着いたそうです。

モビリティという枠にとらわれない、さまざまな領域における新規事業への挑戦を推し進めています。今回発売された『JATCO eco-knife “ARUNEMO”』は、ジヤトコの新たな事業領域へのチャレンジを具現化した商品と言えます。

12月7日に開催されたフジヤマクラフターズのブースにて
12月7日に開催されたフジヤマクラフターズのブースにて

刻まれたジヤトコの背後にそびえる富士山をモチーフにしたこのロゴには、

『新しい領域に可能性を拡げていく』

『企業としてさらなる高みを目指す』

『日本発の高い技術と品質』

という、変革への挑戦に対する想いが込められています。

また刃の部分には、限定200個ということでシリアル番号が刻印。

もうすぐクリスマス!

アウトドア好きなあの人に、高度な技術と沢山の思いが込められている、ころんとまるくてかわいいお守りみたいな特別感あふれる『JATCO eco-knife “ARUNEMO”』を贈ってみてはいかがでしょうか。

JATCO eco-knife “ARUNEMO”(全8色)

数量:限定200本

価格:

ナイフ単体 21,000円(税抜き)

ナイフ+火起こしセット 24,000円(税抜き)

AmazonSTORESのECサイトより購入できます。

地域情報発信ライター・執筆家(富士宮市・御殿場市)

身近の新しい発見や、小さな幸せを探して日々バイクで放浪しながら活動しているライターです。記事を通じてみなさまの発見や幸せに繋がれば嬉しいです。趣味はバイク、ガーデニング、猫(無類の猫好き)です。

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