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タレント>解説者で本当にいいのか。元スポーツ選手のあるべき姿とは

杉山茂樹スポーツライター

「新チューボーですよ!」に、篠原信一さんがゲスト出演していた。シドニー五輪で、誤審判定の末に金メダルを取り損ねた柔道家。指導者としても、ロンドン五輪で日本代表チームの監督まで務めた高潔の士。だがいまや、テレビのバラエティ番組などから出演依頼が引きも切らない売れっ子タレントなのだという。その厳めしいルックスからは想像できない軽妙なトーク。そのギャップが人気を集める原因なのだろう。 

スポーツ選手が現役引退後、テレビ等々、メディアの世界で人気者になるケースは篠原さんに限った話ではない。バラエティ番組とは言わないまでも、スポーツニュース等のスポーツ関連番組や各種試合の中継にも、元スポーツ選手は解説者、評論家の肩書きで登場する。100%タレントとして活動している人はそう多くない。ビッグイベントになれば、その道の専門家として登場する。 

柔道の中継に篠原さんが解説者として登場すれば、一般の視聴者は柔道により親近感を抱くはず。視聴率アップは必至。というわけで、東京五輪が近づくにつれ、元スポーツ選手は、いわゆる業界でより欠かせないポジションを占めるだろう。テレビを賑わすことになるだろうが、それでもし、評論家として、解説者として、言いたいことが言いにくい状況に陥るなら、問題だ。

タレントと評論家。そもそもこの2つは全く別種の職業だ。タレントが人気商売であるのに対し、評論家は敵を作ることを恐れていては成り立たない職業。それを同一人物が兼ねようとすれば、辻褄が合わなくなる瞬間が訪れることは見えている。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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