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最終回を迎えた『今日から俺は!!』 2つの「ゴールデントリオ」に拍手!

碓井広義メディア文化評論家
筆者撮影

今期のドラマも、続々と最終回を迎えています。作品としての評価はそれぞれあるでしょうが、3ヶ月、つき合ってきた登場人物たちとの別れは、大団円の盛り上がりとは別に、かすかな寂しさを伴います。賀来賢人主演『今日から俺は!!』も、そんな1本になりました。

賀来賢人、伊藤健太郎、清野菜名の最強トリオ!

日曜夜10時30分の『今日から俺は!!』(日本テレビ系)は、16日(日)が最終回でした。

このドラマの背景は80年代で(ネットもスマホも出てきません)、舞台は千葉にある軟葉高校。脚本・演出は、『勇者ヨシヒコ』シリーズなどの福田雄一監督です。

主人公は、軟高への転校を機に、「金髪のツッパリ」へとキャラ変した三橋貴志(賀来賢人)。

三橋が、同じツッパリ転校生でトゲトゲ頭の伊藤真司(伊藤健太郎)や、マドンナ的存在の赤坂理子(清野菜名)らと繰り広げるケンカ上等のおバカな毎日は・・・といったストーリーなど、実はどうでもよろしい(笑)。

随所で展開されるコントなのかギャグなのか、どーにもバカバカしく、なんともおかしい福田演出をひたすら楽しむドラマでした。

三橋は確かに強い。でも、腕力だけじゃなく、セコイとか、卑怯とか言われるような手口を考え出す頭脳ももっています。

16日の最終回では、身の危険を感じた三橋が、トレードマークの金髪を黒髪に変え、ツッパリもやめて優等生になり、「東大を目指す」と宣言。

そんなの、誰が見たって偽装じゃん(笑)。でも、敵だけでなく仲間たちもこれに欺かれ、ここぞというところで三橋は大暴れすることができました。

ムロツヨシ、吉田鋼太郎、佐藤二朗の最笑トリオ!

毎回、そんな苦笑・失笑ものの作戦や小ネタが満載で、それは三橋が伊藤や理子といる時、敵と向かい合った時はもちろん、他の登場人物たちが出てくる場面も同様です。

何しろ、三橋たちのクラス担任がムロツヨシさんですから。三橋の父親は吉田鋼太郎さん。さらに理子の父親が佐藤二朗さんですから。彼らのシーンだけでも十分見る価値がありました。

たとえば、第6回の冒頭はソープランドの待合室でした。客のムロさんが、わくわくしながら嬢を待っていると、そこに同じく客として吉田さんが現れる。

大慌てのムロさんは、さっきまで「俺のバズーカは暴発寸前だぜ!」とか騒いでいたくせに、「生徒指導の見回りだ」などと言い張ります。

しかも店の黒服がゲスト出演の山田孝之さんで、ムロさんが高校の先生であることをバラしちゃいます。もうそこからのムロさん、吉田さん、山田さんの掛け合いは、爆笑と苦笑の集中砲火でした。

毎回、何が飛び出すのかわからない“ビックリ箱仕様”が楽しかった。1週間を笑って終わりたい人、日曜の夜に思い切り脱力したい人には、福音のようなドラマでした。

特に賀来さんの三橋貴志、伊藤さんの伊藤真司、そして清野さんの赤坂理子という軟高トリオのマッチングが素敵で、日テレには、彼らがテーマ曲「男の勲章」を歌うオープニングタイトルもそのままに、今後のシリーズ化をお願いをしておきます。

メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。1981年テレビマンユニオンに参加。以後20年間、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶大助教授などを経て、2020年まで上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)。著書『脚本力』(幻冬舎)、『少しぐらいの嘘は大目に―向田邦子の言葉』(新潮社)ほか。毎日新聞、日刊ゲンダイ等で放送時評やコラム、週刊新潮で書評の連載中。文化庁「芸術祭賞」審査委員(22年度)、「芸術選奨」選考審査員(18年度~20年度)。

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