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思い浮かんだアイデアはすぐメモに残したほうがいいのか? 忘れるようなアイデアは残さなくてもいいのか?

横山信弘経営コラムニスト
(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

■いいアイデアが浮かんでもすぐ忘れてしまうことがある

私は忘れん坊だ。

素晴らしいアイデアが思い浮かんでも、すぐにメモをしないと、すぐに忘れる。本当に、すぐに、だ。ひどい場合は、5分後には忘れている。

「いいアイデアを思いついたんだが、いったい何だったか……」

アイデアそのものを忘れるだけでなく、「仕事に関することだったか」「本の執筆に関することだったか」「子育てに関することだったか」そのジャンルさえ忘れてしまうほどの忘れっぷりだ。

思い出そうとしても、なかなか思い出せない。しばらくしても思い出せないので、このように自分に言い聞かせて諦める。

「すぐ忘れてしまうようなアイデアなんて大したアイデアじゃなかったんだ。無理して思い出さなくていいか」

■アイデアを忘れる経済的損失

「すぐに忘れるようなアイデアを無理して思い出そうとはしない。本当に優れたアイデアなら、いずれ必ずよみがえってくるはずだ」

ある小説家に、こう言われたことがあった。

だから私も、しばらくは無理してメモに残そうとせず、「忘れたら忘れたで放置しよう」と決めて、特段何もしなかった時期がある。1年だったか、それとももっと短い半年だったか、それさえも忘れたが、ただよく覚えているのは、その時期の「経済的損失」は測り知れなかったということだ。

何度も「すぐ忘れるような自分が悪いんじゃない。すぐ忘れるようなアイデアなんて大したことはなかったんだ」と言い聞かせたが、実際はそうでもなかった。

「あのときすぐメモを残しておけばよかった」

と後悔したことがどれほどあったか。

おそらく個人差があるのだ。どんなに素晴らしいアイデアを思いついても、その後永久に思い出せなくなるような私のような無類の忘れん坊か、それとも普通の忘れん坊か。

私は前者であるので、すぐにメモを残したほうがいいと思っている。実際に、そのようなクセをつけて、ずいぶんと助かっている。「経済的損失」はそれなりに軽減された。

■忘れてもいいアイデアの確率

たとえば、「いいアイデアが浮かんだと思ったけれども、あとで忘れてしまったアイデア」が【10】あるとしよう。たしかにそのうちの【9】つは、「いいアイデアが浮かんだと思ったけれども、あとで忘れてしまってもいいようなアイデア」だったかもしれない。しかし、そのうち【1】つが、「本当にいいアイデア」だったら、どうか。

アイデアが浮かんだとき、すぐどこかにメモで残す労力はそれほど大変なことではない。メモが習慣化(無意識的有能)している方であれば、何の苦労もなくメモで残すことができる。

※参考記事:なぜ「良い習慣」がある人ほど不安にならないのか?『習慣長者』になる4つのステップ

「忘れてもいいようなアイデア」を9つメモしたことは、無駄な労力だったかもしれない。しかし、「本当にいいアイデア」を1つ残せなかった損失をどうとらえるか。私は、それは非常に大きい経済的損失だととらえる質(たち)だ。だから、必ずメモをとるようにしている。

■いいアイデアが浮かぶ環境パターンを知る

仕事ができる人は、総じてメモ魔だ。読書家だ。他業種の人との交流を盛んにしている「人たらし」だ。できる人になるためには、そういう「できる人」たちの習慣を真似すればいい。なので、メモをとる習慣を身につけよう。メモ魔になればいいのである。

簡単だ。

まず、いいアイデアが浮かぶ環境、状態にはパターンがあるので、そのパターンを覚えておこう。どんなに忘れん坊でも、そのパターンぐらいは覚えておける。そのパターンの切り口は「4B」がいいだろう。「Bar」「Bus」「Bath」「Bed」――バー・バス・バス・ベッド――の頭文字をとったキーワードだ。

ご存じだろうか。いいアイデアが浮かぶときは、筋肉が弛緩しているとき。と言われている。緊張状態のときに、素晴らしいひらめきが思い浮かぶことはない。だから、お酒を飲んでいるときや、バスや電車で移動しているとき、歩いているときに思い浮かぶのだ。お風呂に入っているとき、トイレにいるとき、そして寝る前に、突然「ああ! そうだ」と、妙案が浮かんでくるのである。

したがって、そういう場所でもすぐメモがとれるように準備しておくといい。一番難しいのはお風呂に入っているときだが、入浴中に利用できる専用メモも売っている。どうしても、という人は、そういうメモ帳を買って風呂場に常備しておくことをお勧めする。耐水メモ帳なら、100均でも売っている。

私は脱衣所にメモを置いておく派だ。入浴中にいいアイデアが浮かんだら、いったんお風呂を出てメモに残すようにしている。スマホのメモ帳はよく利用するし、メールを書いて自分に送ることもある。一元管理はしない。思いついたアイデアを、とにかくどこかに残すことだけに全精力を傾ける。

「メモを残すなら、あのメモ帳と決まっているのだ。あのメモ帳はどこだ。どこへ行った?」

と探しているうちに、肝心なアイデアを鮮やかに忘れてしまうからだ。

簡単なことだけれど、意外と簡単ではない。

いいアイデアが浮かんだけど、すぐ忘れてしまうことって本当に多い。しかし、そんな忘れっぽい人も、メモをとる習慣を身につけることで解決する。いつでもどこでもメモを残せる環境を、しとやかに整えよう。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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