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主な新興国/米国経済ニュース(9日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

アマゾン、バンカメから2100億円の融資枠を獲得―事業拡大に充当

米オンライン小売り大手アマゾン<AMZN>は米金融大手バンク・オブ・アメリカ<BAC>から20億ドル(約2100億円)の融資枠を獲得した。米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が先週末に伝えた。

これは同社が米証券取引委員会(SEC)に提出した報告書で明らかになったもの。アマゾンはこの融資枠の確保によって、今後の事業拡大に必要な資金調達の柔軟性が一段と高まる見通し。融資枠は2年間の期限付きだが、期間の延長は可能となっている。アマゾンではこの融資を運転資金や設備投資、M&A(企業の買収・合併)などに使うとしている。

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インテル、米フォッシルとウェラブル製品の革新技術開発で提携

米半導体最大手インテル<INTC>は先週末、米ファンションアクセサリー大手フォッシル・グループ<FOSL>と提携して、多機能型腕時計スマートウォッチなど、ファッション市場向けのウェラブル製品の新技術の開発に取り組むことで合意したことを明らかにした。

フォッシルでは今後、インテルのベンチャーキャピタル部門インテル・キャピタルと共同でウェラブル製品の革新的な技術に投資していく。インテル・キャピタルはこれまでに、PCなどを筋肉の動きを読み取って遠隔操作できるリストバンド型デバイス「MYO」を開発したカナダのタルミック・ラボや健康状態をチェックするリストバンド型のウェラブル製品を開発した米ベーシス・サイエンスへの投資実績がある。インテルは3月にベーシス・サイエンスを1億ドル(約100億円)買収している。

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スターバックス、12月から高級コーヒー専門店舗を試験導入へ

米コーヒーチェーン大手スターバックス<SBUX>は、市場シェアの一層の拡大を目指して、今年12月に、新タイプの店舗を本社所在地のシアトルで試験的にオープンさせる。米経済専門オンラインメディア、CNNマネーが先週末に伝えた。

新タイプの店舗は、同社が4年前に導入した、厳選された希少価値の高いコーヒー豆を注文後に挽いてコーヒーを抽出する「リザーブ」という商品パッケージだけを扱う店舗で、シアトルにオープンする旗艦店は床面積が1万5000平方フィートと、広大な店舗となる予定。同社ではその後5年間かけて、リザーブ専門の100店舗をオープンさせる計画。100店舗は通常サイズの店舗となる。また、リザーブ商品を販売する店舗も全世界で1500店舗に拡大する計画だ。

このほか、スターバックスでは来年からニューヨークで、ドライブスルー型の店舗の第1号店をオープンさせる計画。店舗サイズは通常よりも小さめとなる。同店舗ではスマートフォンによる注文を受け付ける。

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EU、ウクライナ停戦合意順守で対ロ追加制裁見直しか

EU(欧州連合)のヘルマン・ファンロンパイ大統領は7日、ベルギーのテレビ局VRTのインタビューで、先週末にウクライナ政府軍と親ロシア派の反政府武装組織が合意した停戦協定が今後、順守されれば、週明けの15日に発表予定のEUの対ロシア追加制裁を見直す用意があることを明らかにした。ノーボスチ通信(電子版)が伝えた。

同大統領は、「もし、停戦が持続し、かつ、あるいは和平協議が開始されれば、我々は対ロ追加制裁を見直す用意がある」とし、「最も大事なことは、停戦を実現することだ。停戦合意後も双方の間で戦闘が見られるが、これらの戦闘が続くのか、あるいは、これらの戦闘は例外的なものなのか、もう少し様子を見る必要がある」と述べている。

ジョゼ・マヌエル・バローゾEC(欧州委員会)委員長は、対ロシア追加制裁はすでに十分調整が済んでいるとしているが、ロイター通信が伝えたところによると、EUの新たな対ロ制裁では、欧州の個人投資家や銀行などの企業がロシア国営の金融機関が新規発行、または残存期間が90日を超える社債や株式の購入、または売却を禁止していることについて、90日から30日に変更するほか、デリバティブ取引も新たに制裁対象に加える。さらに、現在、制裁の対象リストから外されている国営天然ガス大手ガスプロムとその石油子会社ガスプロム・ネフチも制裁対象に加えることで制裁を強化するもようだ。

また、英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は、ロスネフチやガスプロム・ネフチ、ロシア石油パイプライン建設大手トランスネフチなどの国営エネルギー関連大手が欧州資本市場での資金調達を禁止すると伝えている。

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ガルーダ・インドネシア航空、ジャカルタ‐ロンドン路線の運航開始

インドネシア航空大手ガルーダ・インドネシア航空は8日からジャカルタとロンドンをオランダ・アムステルダム経由で結ぶ国際路線の運航を開始した。ジャカルタ・ポスト(電子版)が伝えた。

使用機材は米航空・宇宙大手ボーイング<BA>製の「B777-300ER」(客席数314)で、ロンドンのガトウィック国際空港、ジャカルタのスカルノ・ハッタ国際空港が使われる。発着は週5便(月曜、水曜、金曜、土曜、日曜)となっている。

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ブラジル中銀週報:2014年GDP伸び率を0.48%増へ下方修正

ブラジル中央銀行が8日に発表した先週の経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、同中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した2014年実質GDP(国内総生産)伸び率見通しは、前週予想の前年比0.52%増から0.48%増へ下方修正された。下方修正は15週連続。1カ月前の予想は0.81%増だった。また、2015年のGDP伸び率見通しは前週予想の同1.1%増のまま据え置かれた。1カ月前の予想は1.2%増だった。

また、IPCA(拡大消費者物価指数)で見たインフレ見通しは、2014年は前週予想の前年比6.27%上昇から6.29%上昇へ下方修正(悪化方向)された。1カ月前の予想は6.26%上昇だった。2015年の見通しは前週予想の6.29%上昇のまま据え置かれた。1カ月前の予想は6.25%上昇だった。

2014年末時点の政策金利見通しは、前週予想の11%のまま据え置かれた。据え置きは14週連続。1カ月前の予想も11%だった。しかし、2015年末時点の見通しは前週予想の11.75%から11.63%へ引き下げられた。引き下げは2週連続。1カ月前の予想は12%だった。次回10月28-29日の金融政策決定会合時の政策金利の見通しは前週予想の11%のまま据え置かれた。据え置きは16週連続。

為替レートの見通しは、2014年末時点のレアルの対ドルレート(中央値)は、前週予想の1ドル=2.35レアルから2.33レアルへ引き下げられた。2015年末時点の対ドルレートも前週予想の2.5レアルから2.49レアルへ引き下げられた。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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