竹島を知った経由は「テレビ・ラジオ」がトップの89.7%(2023年公開版)
テレビやラジオ経由の認知が圧倒的な竹島問題
内閣府は2023年2月、竹島に関する世論調査(※)の結果概要を発表した。その公開資料から竹島に関する認知経由の問題などを確認する。
竹島は島根県に属し、隠岐島の北西約158キロ、北緯37度14分・東経131度52分に位置する、男島・女島から構成される島。戦後発効したサンフランシスコ講和条約で国際的に日本領帰属として確定したが、その直前に韓国が独自かつ一方的に海洋主権宣言(李承晩ライン宣言)を行い竹島の領有を主張、同島を自国領海に取り込み、以後同国が武力によって不法占拠・支配を継続しており、日本の施政権行使がさまたげられる状態が続いている。
今回発表された調査結果の内容によれば、「竹島」そのものの認知度は高く、直近の2022年では調査対象母集団全体の95.5%が知っていると答えた。知らなかった人は4.3%にとどまっている(0.2%は「分からない」)。
この「知っている人」に、どのような経路で知るに至ったかを尋ねた結果が次のグラフ。圧倒的に「テレビ・ラジオ」が多く89.7%、次いで「新聞」が51.2%。いわゆる4マス経由で知った人が多数に及んでいる。なお空白の部分はその年に該当する選択肢が無かったことを意味する。
同じ4マスでもテレビやラジオのような電波媒体系の効果は大きく、紙媒体系の「新聞」はやや小さくなっている。また同じ紙媒体系でも報道色の薄い「雑誌・書籍」は、さらに回答値が低い。
もっともこれは雑誌や書籍の場合、掲載される機会が少ないのに加え、記事掲載誌がある程度絞られてしまい、他の記事にあわせてついでにといった機会があまりないのが原因だと考えられる。一方テレビやラジオ、新聞の場合は、竹島問題そのものだけを視聴するのではなく、全般的に視聴している中で、あわせて見聞きして知ったことが想定される。
一方、インターネット関連の情報は16.0%、官公庁のインターネット情報にいたっては4.9%でしかない。解説しているサイトが少ないことも一因だが、インターネットの情報はほとんど公知には役立っていない現状が見て取れる。もっとも、「政府(首相官邸・外務省)以外のインターネット情報」は2017年を底に少しずつ値が増えており、今後の期待ができる動きを示している。
今後の啓蒙にも期待が寄せられるテレビ
テレビやラジオ、新聞によって認知した人が多いこともあり、「今後の啓蒙に求められる取り組み」においても、テレビや新聞に対する期待は大きい。
「テレビ・ラジオ番組や新聞を利用した詳細な情報提供」を期待する声はほぼ3/4。見方を変えると、現状の広報・放送量では啓蒙としてまだ足りない、さらに質・量ともに必要であるとの認識が強いことになる。
興味深いのは「領土・主権展示館の周知や内容・イベントの充実」が半数を超えていること。今選択肢は前回調査から加わったが、今回調査では倍増に近い増加ぶりを示している。原因は分からないが、急に大いに期待されるようになったわけだ。認知経由としての「領土・主権展示館」は2.5%しかなかっただけに、多分に公的な状況の説明・情報の展覧会への需要が大きいことがうかがえる。
需要の大きさといえば「ウェブサイトやSNSによる広報」の期待も高く、30.3%。インターネット経由で認知した人が2割に届かないだけに、専用サイトやSNSによる広報が積極的に公知され展開されることを望む声は強いようだ。
今リリースには調査目的として「竹島に関する国民の意識を調査し、今後の施策の参考とする」という文言が確認できる。今回の項目に関しては、この言葉通り、積極的かつ正しい方向性で「参考」にしてほしいものである。
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※竹島に関する世論調査
今調査は2022年11月10日から12月18日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を有する人3000人に対して郵送法で行われたもので、有効回答数は1765人。男女別では男性795人・女性970人、年齢階層別では18~29歳152人・30代172人・40代289人・50代313人・60代342人・70歳以上497人。
2014年実施までの調査では20歳以上を対象としていたのに対し、2017年実施の調査からは18歳以上を対象としているため、2014年分までと2017年分以降との間に厳密な連続性はない。また2019年調査までは調査員による個別面接聴取法が用いられていたが、2020年調査以降では新型コロナウイルスの流行により、郵送法が用いられている。調査方法の変更で一部設問の選択肢や回答傾向に違いが生じていることに注意が必要となる(「分からない」が「無回答」になっている、回答の意思が明確化されたために一部設問で「無回答」の値が以前の調査と比べて有意に少なくなっているなど)。
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