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2月22日は行政書士記念日~「代書人」から「行政書士」へ、より質の高い法務サービスの提供を目指す

竹内豊行政書士
2月22日は行政書士記念日です。行政書士の歴史と「これから」をご紹介します。(写真:アフロ)

昭和26年(1951年)2月22日に行政書士法が公布されたことにちなみ、この日を「行政書士記念日」と定めています。そこで今回は、行政書士制度の歴史をご紹介したいと思います。

明治の「代書人」が発祥

行政書士は他人の依頼を受け報酬を得て官公署に提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類の作成・相談等を業としています(行政書士法1条の2・1条の3)。そして戦前は、このような業を営む者は代書人と呼ばれていました。

太政官達で「代書人」が初めて登場

この代書人という用語が初めて公的に用いられたのは、明治5年(1872年)8月3日の太政官達(だじょうかんたっし)(注1)「司法職務定制」であったとされています。この「定制」は明治政府が我が国への近代的制度の導入を意図して定めたもので、22章108条からなり、司法省職制、事務章程、裁判所構成、判検事職制等が定められたほか、証書人(現在の公証人)、代書人、代言人(現在の弁護士)についての規定も設けられています。

(注1)明治時代初期に最高官庁として設置された太政官によって公布された法令の形式。

欧米の裁判制度の導入対策

代書人の規定が置かれた理由は、明治政府が欧米の裁判制度を導入した際に、この公正、迅速な運用を図るため、文字、文章を書くことができない者または書式手続に不慣れな人民に代わって代書人に訴状を作成させるものとしたためであるとされています。なお、「定制」では、代書人の資格について特に定めはなされていませんでした(注2)

この司法関係の代書を業とする者は一般に司法代書人と呼ばれ、現在の司法書士につながるものとされていますが、このほかに市区町村役場、警察署等に提出する書類を業とする、いわゆる行政代書人も活動を行っていました。

(注2)現在、行政書士となる資格を有する者は、(1)行政書士試験に合格した者(2)弁護士・弁理士・公認会計士・税理士となる資格を有する者(3)行政事務に相当する事務を担当した期間が通算して20年以上(高卒者は17年以上)になる者です(行政書士法第2条)。なお、これらの者が、行政書士となるには、日本行政書士会連合会の会則で定める事項の登録を受けなければなりません(行政書士法6条)。

代書人から行政書士へ~悲願の行政書士法の制定

昭和10年代には、行政書士法の制定を求める運動が高まりを見せ、国会においても何度か審議がなされましたが結局廃案となり、第2次大戦の激化とともに運動も中止のやむなきに至ってしまいました。

そして、曲折を経ながら、第10回国会において行政書士法案として議員提案の形で提出されました。この法案は昭和26年(1951年)2月10日に成立し、同月22日に法律第4号として公布されました(同年3月1日施行)。

改正行政書士法が成立~国民により質の高いサービスの提供を目指す

このように、太政官達に「代書人」として初めて公的に用いられてから約150年、行政書士法が成立してから約70年が経ちました。

そして、行政書士制度にとって重要な法改正がなされました。

昨年令和元年11月に「行政書士法の一部を改正する法律」が、第200回国会(臨時会)における衆議院および参議院本会議において、両院とも全会一致の可決により成立しました(施行は、公布の日から1年6か月後)。

この改正により、行政書士法の目的に「国民の権利利益の実現に資すること」が明記されるなど、国民に対するより質の高いサービスの提供が可能となります。本改正について詳しくは、日本行政書士会連合会 会長談話をご覧ください。

全国で相談会やイベント開催

行政書士記念日に、全国各都道府県の行政書士会では制度普及のイベントや相談会を開催しています。昨今は遺言の作成や相続手続に関するご相談が増えています。その他、気になることがある方は、あなたの街の法律家「行政書士」にご相談してみてはいかがでしょうか。

以上参考『詳解行政書士法(第4次改訂版)』(地方自治制度研究会・ぎょうせい)

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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