身内が突然死!相続で一番にすべきこと
万が一、身内が突然亡くなってしまって、自分が相続人であったら、好むと好まないにかかわらず、亡くなった方(以下、「被相続人」といいます)の相続人となります。相続人となったからには、被相続人が死亡時に有していた権利・義務を、法律で決められている割合(このことを「法定相続分」といいます)で引き継ぐことになります。
そこで、相続人となったら、最初にしておくべきことについてお話したいと思います。
遺言書の有無を調べる
前述のとおり、人が死亡すると、その瞬間に、被相続人が有していた一切の権利・義務は、相続人に移転します。そして、相続人が2人以上いる場合は、相続人全員で協議を行って(この協議のことを「遺産分割協議」といいます)、全員が合意した内容に基づいて被相続人の権利・義務は相続人に引き継がれることになります。
ただし、被相続人が、遺言書を残していれば、死亡と同時に、遺言書に書かれている内容が法的に効力を発生することになります。そして、遺言書の内容を実現する行為のことを、「遺言執行」といいます。
このように、被相続人が遺言書を残していなかったか、残していたかったで、被相続人の相続は「遺産分割」になるか、「遺言執行」になるかが決まるのです。このように、遺言の有無は相続でとても重要なのです。
遺言書の有無の調べ方
では、遺言書の有無はどのようにして調べればよいのでしょか。
遺言書には、一般に、自分で書いて残す「自筆証書遺言」と、公証人が関与して残す「公正証書遺言」の2つがあります。自筆証書遺言と公正証書遺言では、探し方が異なります。
自筆証書遺言の探し方
心当たりを探す
まずは、心当たりを探してみます。被相続人の書斎、貸金庫など、とにかく探してみましょう。
法務局に照会する
2018(平成30)年7月6日に、「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(遺言書保管法)が成立し、2020年(令和2年)7月10日に同法が施行されました。
これにより、従来は自筆証書遺言を作成し終わった後の保管については、自己責任であったのが、遺言書保管所(法務大臣の指定する法務局)に預けることができるようになりました。もし、法務局に照会すれば、被相続人が自筆証書遺言を預けていたか、それとも預けていなかったが判明します。
公正証書遺言の探し方
被相続人が公正証書遺言を残していたか、いなかったかは、公証役場に照会することでわかります。照会する公証役場は、全国どの公証役場でも受付けています。
遺言書が無いものと思い込んで、遺産分割協議を進めている最中や、遺産分割協議が成立した後に、ひょっこり遺言書が出てきたら、相続は大混乱になりかねません。ましてや、突然亡くなられた場合は、生前の情報が少ない場合が多く、その危険性が自ずと高くなります。お身内が亡くなられたら、まずは、遺言書の有無を調べることをお勧めします。