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思えばこんなのもありました。ハリウッドスター、共演で生まれた恋

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
「光をくれた人」で恋人になったアリシア・ヴィカンダーとマイケル・ファスベンダー(写真:Splash/アフロ)

今、最もホットなハリウッドカップルは、アリシア・ヴィカンダーとマイケル・ファスベンダー。 「リリーのすべて」でオスカーに輝いたヴィカンダーが、「スティーブ・ジョブス」「それでも夜は明ける」で候補入りしたファスベンダーと出会ったのは、今週末日本公開されるデレク・シアンフランス監督の「光をくれた人」だ。

ふたりの役は、オーストラリアの孤島に住む灯台守夫婦。遠く離れたロケ地で、愛を育んでいく男女を演じるうちに、本人たちの間にも、特別の何かが生まれていったようだ。昨年秋には破局説も流れたものの、つい2日ほど前にもロンドンで仲睦まじく食事をする様子が目撃されており、愛は健在のようである。ところで、シアンフランスのひとつ前の作品「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命」では、ライアン・ゴズリングとエヴァ・メンデスが私生活のカップルになっている。

共演者同士の恋は、昔から、本当によくあること。美男美女の中から、とくにお似合いと思われる人たちが選ばれて、 撮影期間中、愛し合っているふうを装ったり、キスをしたりするのだから、まあ、不思議ではない。

共演が生んだ世紀のカップルには、誰もがすぐ思い付く範囲でも、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー(『Mr. & Mrs. スミス』)、ジョニー・デップとアンバー・ハード(『ラム・ダイアリー』)、ロバート・パティンソンとクリステン・スチュワート(『トワイライト』)、アンドリュー・ガーフィールドとエマ・ストーン(『アメイジング・スパイダーマン』)などがいる。(これらのカップルは、たまたますべて破局しているが、ヒュー・ジャックマンとデボラ=リー・ファーネス、ウォーレン・ベイティとアネット・ベニング、トム・ハンクスとリタ・ウィルソンのように、今も続いている例もある)。

だが、恋愛話が次々と生まれては消える中、 忘れられかけているものも、あるものだ。ここでは、ちょっと古い話を引っ張り出してみよう。

ブラッド・ピットとグウィネス・パルトロウ:「セブン」(1995)

ピットは、共演者恋愛の常習犯。過去にもジュリエット・ルイス(『Too Young to Die?(テレビ向け映画)』『カリフォルニア』)、タンディ・ニュートン(『インタビュー・ウィズ・バンパイア』)と交際し、ジュリア・オーモンド(『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』)とも噂が流れた。

しかし、「セブン」で共演したグウィネス・パルトロウは彼にとって特別な存在だったようで、これまでとは違い、彼女にはプロポーズをしている。彼女はイエスと答え、彼女の両親もピットを将来の義理の息子として大歓迎するも、ふたりは突然にして破局した。原因は明らかにされていないが、パルトロウの浮気という説が有力だ。

それから長い時間が経った今から2年前、パルトロウは、ラジオ番組で、「私は子供だったの。彼に出会った時、22歳だったのよ。私は40歳になるまでしっかりしなかった。22歳で大きな決断はできないわ。私には、まだ早かったの。彼は私にはもったいない人だった。私は、自分のやっていることをわかっていなかった」と、当時のことを語った。しかし、彼女が浮気をしたのかについては、はっきり答えるのを避けている。

ジェニファー・アニストンとヴィンス・ヴォーン:「The Break-Up(日本未公開)」(2006)

ヴォーンがプロデュース、原案、主演を兼任する「The Break-Up」は、破局した同棲カップルが、共同購入したマンションが売れるまで同じ家の中で住むことを強いられるというロマンチックコメディ。当時、アニストンはブラッド・ピットと離婚したばかりで、彼女のファンの間では、「たとえ映画でも、ジェンが悲しむ姿は見たくない」との声が上がった。

しかし、今作のおかげで、彼女はヴォーンという新しい恋人を得ることになったのだ。 ヴォーンは「Mr. & Mrs. スミス」にも出演している。ピットとジョリーが密かに恋を育むのを目の前で見ていた彼は、自分の立ち上げた今作の相手役に、ピットに捨てられたアニストンを選び、彼女の心をつかむことになったわけなのだが、それが偶然なのか、彼が意図したところなのかは、わからない。

いずれにせよ、およそ1年の交際を経て、ふたりは破局した。理由は、マスコミの注目を浴びることにヴォーンが疲れたからだと報道されている。実際、ヴォーンは、その後、一般人女性と静かに結婚した。今、ヴォーン夫妻の間には、ふたりの子供がいる。

ライアン・ゴズリングとレイチェル・マクアダムス:「きみに読む物語」(2004)

この大ヒット映画の主演ふたりが私生活でもカップルになったのは、有名な話。だが、ゴズリングとマクアダムスがお互いを嫌い合っていたことは、そこまで知られていない。

ニック・カサヴェテス監督は、撮影中、ふたりがあまりに険悪で、ある時、ゴズリングが「彼女とじゃ、無理だ。彼女とじゃ、何もできない」と抗議したと明かしている。それを受けて、カサヴェテスは、ふたりを部屋に呼んだ。そこでふたりは怒鳴り合いの喧嘩をしたという。そうやって思い切り吐き出した後、撮影は、前よりはやや順調になったとのことだ。

ふたりが交際を始めたのは、それからずっと後。「2年後、ニューヨークで彼女を見た時、もしかしたら僕らはお互いを誤解していたのかもしれないと思った」と、ゴズリングは、米「GQ」誌に対して語っている。だが、ふたりの交際は2年を経て破局。その後、一時寄りを戻したが、2008年に最終的に終わりを告げている。

ゴズリングは、その後、やはり共演で知り合ったエヴァ・メンデスと家庭を築いた。マクアダムスは、「ミッドナイト・イン・パリ」で共演したマイケル・シーンなどとつきあったが、今はまたシングルである。

トビー・マグワイアとキルステン・ダンスト:「スパイダーマン」(2002)

サム・ライミ監督の「スパイダーマン」でピーター・パーカーを演じたマグワイアと、恋のお相手メリー・ジェーン・ワトソンを演じたダンストは、私生活でも恋に堕ちた。だが、その関係は長続きせず、ダンストはジェイク・ギレンホールとつきあい始める。そんな頃、急にビッグスターになったことで天狗になって基本的な仕事もさぼるようになったマグワイアに愛想をつかし、ライミとソニー・ピクチャーズは、2作目でマグワイアをクビにし、彼となんとなく似ているギレンホールをパーカー役に据えようとした。

彼に2度目のチャンスを与えて欲しいと説得したのは、ライバルのユニバーサルのトップであるロン・メイヤー。メイヤーの娘ジェニファーとマグワイアは、2007年に結婚し、二児をもうけたが、昨年秋、破局を宣言している。

しかし、ダンストをめぐっての闘争心は、やはり存在したようだ。マグワイアとギレンホールは、ひとりの女性をめぐって兄弟がぶつかる「マイ・ブラザー」(2010)で、あえてその兄弟役を演じたのだが、当時、ギレンホールは、「映画というのは、時に、セラピー効果をくれるものだ。それは、前の映画でやったことから解き放されるためにいいかもしれないし、あるいは、私生活で起こったことを癒すことをしてくれるかもしれない」と語っている。

ジム・キャリーとレネ・ゼルウェガー:「ふたりの男とひとりの女」(2000)

このロマンチックコメディが公開された当時、キャリーは、ハリウッドで最も稼ぐ俳優のひとりだった。お相手役について話し合っている時、誰かが「ザ・エージェント」でブレイクを果たしたばかりのゼルウェガーの名前を出すと、キャリーは即、大賛成したと報道されている。ふたりは撮影中に交際を始め、婚約もするが、1年で破局。理由は明らかになっていない。

ゼルウェガーは、その後、歌手ケニー・チェズニーとの4ヶ月の結婚を経て、「Case 39(日本未公開)」で共演したブラッドリー・クーパーと交際。しかし、これも破局を迎える。一方、キャリーは、ジェニー・マッカーシーと5年間交際した。だが、マッカーシーとの破局後につきあった女性がドラッグのODで死亡し、キャリーは女性の夫と母から訴訟を起こされている。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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