「無駄の温床」とも揶揄される国の基金は、どう見直されたか
4月22日に、行政改革推進会議(議長:岸田文雄首相)において、「基金全体の点検・見直しについて」(PDFファイル)が取りまとめた。
国の基金とは、複数年にわたって実施すべき事業の財源として公益財団法人などに設置されるものをいう。通常の予算ならば、計上された当該年度と、その一部を繰り越して翌年度に、支出することができる。しかし、それ以上先にまで繰り越して使うことはできない。
そこで、最初に計上された年度から2年度以上先まで繰り越して使いたい場合などに、通常の予算措置とは異なり、基金という形で、一旦公益財団法人などに支出して設置し、基金を設置した法人(基金設置法人)にて管理して、将来にわたって支出することができるようにした。
ところが、コロナ禍で、この基金が「乱用」された。国の基金残高は、2019年度末には2兆3778億円だったが、2022年度末には16兆5733億円にまで急増した。
そして、その急増した基金の中には、基金設置法人に留め置かれたままでほとんど支出されていないものもあった。ほとんど支出されていないということは、基金を造成してはみたが、実はニーズがなく、無駄に貯め込んでいるだけという可能性がある。
このことから、岸田内閣において、基金全体の点検・見直しを行うこととなったのである。2024年度予算編成と並行して、行政改革推進会議で2023年12月22日に「基金の点検・見直しの横断的な方針について」(PDFファイル)として示した方針に沿って、基金全体の点検・見直しを行うこととなった。
152の基金(対象の基金事業は200)について、点検・見直しを行った結果、2023年度で4事業を廃止し、2024年度に11事業を廃止することとした。また、基金の事業見込みの精査等を行い、2023年度に4342億円、2024年度に1124億円を国庫に返納する予定となった。
これに加えて、点検・見直し対象事業のすべてで、定量的な成果目標(アウトカム指標)を設定することとし、基金事業が何を目指して実施しているかを明確にするとともに、その進捗管理を行うこととした。
また、執行体制については、以前から、基金から支払われる補助金の審査や交付等にかかる事業が基金設置法人から民間事業者に外注される段階で、委託や再委託の関係の不明瞭さや責任の所在のあいまいさが問題視されていた。そこで、今般の点検・見直しにおいて、基金事業の根幹業務は今後、国(所管省庁)や基金設置法人が担うことを原則とするルールを定めた。
そして、今般の点検・見直しで最も調整が難しかったものの1つとして、基金事業の終了予定時期の設定があった。
各基金では、行政改革推進会議で定めた「基金シート」に、その執行状況や残高等を記入し公表することとなっている。ところが、2023年9月に公表された基金シートのうち、65の事業で終了予定時期が設定されていなかった。行政改革推進会議では、これを問題視した。
終了予定時期を明示せずに、(昨年秋時点では)定量的な成果目標も設定しないで、のんべんだらりと基金事業を営んでいたので、国民の税金が有効活用されない。
既に2006年8月15日に閣議決定されている「補助金等の交付により造成した基金等に関する基準」(PDFファイル)には、「新たに設置する基金については、原則として設置後10年を超えない範囲内で事業を終了する時期をあらかじめ設定することとする。」と明記されている。この閣議決定は今も有効である。
この閣議決定に沿って、既存の基金事業の終了予定時期は、せめてこの「10年を超えない範囲内」に設定ことを、今般の点検・見直しにおいて徹底するべきではないか。行政改革推進会議側からは、各省庁にそのように申し入れた。
しかし、いくつかの省庁は、終了予定時期を明示することを拒んだ。それにはいくつかの言い訳があったのだが、例えば、当該基金を設置することで長きにわたり民間事業者を支援するとして事前に政府がコミットしたから、基金をなくすとそのコミットを政府が覆したとして、民間事業者を裏切ることになるとの旨のものもあった。
とはいえ、終了予定時期を明示しながらも、その時期が訪れた時に、再び必要に応じて予算措置をして、基金を再設置すれば、コミットは示し続けられるはずである。基金という形ばかりでコミットしたといったところで、不活発にしか基金が活用されていないようでは、実態が伴わず名ばかりではなかろうか。コミットの象徴のようなものとして、国民の税金を基金として無駄に塩漬けにしてよいはずはない。
そのような攻防がありながら、今般の点検・見直しにおいて、基金事業の終了予定時期については、原則として10年以内の期限を設定することとしつつ、一部の基金では
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