【きょう公開】Netflix話題の新作ドラマ 「ペーパー・ハウス・コリア」超簡単ガイド 何がスゴい?
きょう(24日)16時、Netflix上で韓流ドラマの超話題作が公開となる。
「ペーパー・ハウス・コリア: 統一通貨を奪え」
かの「イカゲーム」と同じNetflixオリジナルの韓流ドラマ。公開方法もほぼ同じ「全話一斉公開」。今日先に6話(合計約406分)、今年下旬にさらに6話が公開予定だ。
22日、ソウルにてキャストと制作陣による会見が行われた。話題作だけあって、日本でも多くの記事が出たが…見出しに主役級の韓流俳優・女優の名前が出るばかりでよく分からない~という方も多いのでは?
この日、作品の監督は「原作(スペイン)との比較を」と言い、それも見出しになっていた。見てない。しかも原作はシーズン5まである長作なのだ。
ここではいちばん簡単なガイドを。
まあまずは結論を。なんで期待度が高い?
原作は2021年のNetflixの視聴ランキング2位。1位は…韓国発の「イカゲーム」だった。
世界2位の作品を、1位の国がリメイクする。
韓国の立場からすれば、原作の「保証」がこれほど出来ている作品はない。だから期待が高まっているのだ。
ストーリー設定
その原作、2017年から2021年まで放映されたスペインの作品だ。タイトルは同じで「ペーパー・ハウス(原題: La casa de papel)。
パート1とパート2はスペインで放送された後、Netflixが全世界に発信。3からは同社オリジナル作となり、パート4まで制作・配信される人気作となった。
24日に公開されるのはこの韓国版リメイクだ。ジャンルは韓国では「犯罪スリル」とされている。
「教授」と呼ばれる一人の天才が8人の犯罪者を集め、造幣局を襲うという内容。
ここまではオリジナル版と同じだが、韓国版では設定が変わる。
時代背景は「朝鮮戦争終戦宣言後の統一直前の朝鮮半島」となり、造幣局が「南北共同紙幣」を刷る「統一造幣局」となる。
「教授」と呼ばれる男は、統一直前の時代に、4兆ウォン(約4200億円)という巨額を盗んで、風のように消える計画を企てている。
その時代の朝鮮半島にあって「経済的に豊かな者だけがより豊かになる」現実を破りたい「教授」は、造幣局占拠という史上初のアイデアで、それぞれ異なる能力を持つ人々を集めて強盗団を結成する。
対する軍警察も南北共同でチームを組むという設定だ。
なぜ、韓国でこれがリメイクされたのか
先ほど言った通り「世界2位と1位の組み合わせになる」。リメイクされた理由はこればかりではない。22日のソウルでの会見で制作陣がこう語った。
脚本を担当したリュ・ヨンジェ作家
「原作のパート1、パート2が放映された時に非常に印象深かったんです。ビッグファンになっちゃいました。リメイクしたいな、と思った。でもまあNetfilxの作品ですから、勝手には出来ない。だから先に『韓国版を作るならどうしよう』と考えて、原作の制作側にプレゼンテーションをし、許可を得て韓国版リメイクを行いました」
キム・ホンソン監督
「2018年に初めてこの作品を観て、各キャラクターが本当に魅力的だったんです。だから時代や場所を移しても魅力は変わらないと思ったんです。だからこれを韓国に持ってきても少し個性をプラスして楽しくできるのではないかと思ったのです」
作品を観てすっかりファンになった、ということだ。
キャラ紹介 韓国っぽい点は?
細かいことはこちらの公式動画を観ていただいたほうが手っ取り早い。
ここでは、制作陣が魅力を感じたという「キャラクター」について。
強盗団の8人の紹介を。
22日の韓国での会見で、役者たちがそれぞれが扮した人物を紹介している。
教授(ユ・ジテ)
「南北共同経済区域の造幣局で、そこまでありえなかった『人質を取っての強盗』を行う天才知略家です。それなりの信念がありますが、犯罪を犯しながらも被害者が出てはならないという信念も持っている、不思議なキャラクターです」
ベルリン(パク・ヘス)
「ベルリンは(役をもらった当初に)我々がいま経験している分断国家の現実を圧縮したキャラクター、と聞きました。北朝鮮の強制収容所から脱出。造幣局で人質を統制するために手段と方法を選ばない冷血なキャラクターです」
トーキョー(チョン・ジョンソ)
「北朝鮮で平凡に暮していた20代の少女です。(統一直前、通行証があれば南北の往来が可能になった際に)コリアンドリームを夢見て韓国に来たけれど、資本主義の苦さを味わいます。そこで私を救ったのが、(強盗団を率いる)教授と彼の信念。教授に言われたら、何でもやるほど彼を信用するようになります。つまり人生で最初で最後の賭博をする人物です」
モスクワ(イ・ウォンジョン)
「でたらめな人生を生きています。親の代を継いで、でたらめな人生を過ごしそうになる人です。彼にも希望が必要で、その希望をかけて教授に呼ばれました」
デンバー(キム・ジフン)
「モスクワの息子で、ストリートファイトをしていた人物です。幼い頃からトラブルを起こしまくっていて、勉強する時間はなく、あまり頭は良くありません。熱しやすく冷めやすいタイプで、不正を我慢できない純粋な姿が魅力的な人物だと思います」
ナイロビ(チャン・ユンジュ)
「他の追従を許さない各種の偽造専門家であり、簡単に言えば詐欺師です」
リオ(イ・ヒョヌ)
「明るい姿、その中に天真爛漫さ、時には大人げない一面もあるキャラクターです。強盗団の中で成長する姿を見られるでしょう。優れたハッキング能力で、外部にいる教授と中の強盗団をつなげる強盗団の末っ子的存在です」
ヘルシンキ(キム・ジフン)
「中朝国境地帯の延辺(ヨンビョン)から来たなんでも屋です。さまざまな武器を使いこなすキャラクターで、見た目は教養がないように見えるが、それなりにお人好しの義理堅い人です」
オスロ(イ・ギュホ)
「オスロは、ヘルシンキと仲がいいキャラクターです。強盗団で身体が1番大きいため、極悪に見えるかもしれませんが、人質に心をもって近づいていく情の深いキャラクターでもあります」
ちなみに韓国版では、原作でも強盗が使用した仮面が「ハフェタル」という韓国伝統のものに変わっている。風刺、権力批判の意味があるのだという。また韓国版のサブタイトルは「共同経済区域」(統一直前の朝鮮半島に設けられる架空のエリア)だが、日本版では「統一通貨を奪え」となっている。日本版では「何をするのか」というストーリーを紹介する内容となった。確かに「共同経済区域」では何の話なのかイメージしにくいか。
公開方法に要注意
これ、意外な要注意ポイントだ。日本時間の6月24日16時に世界で同時公開される。
【それも6話が一気に公開される】。
2021年に世界的大ヒットとなった「イカゲーム」に似たやり方だ。Netflixオリジナル作品ゆえ可能な方法。「イカゲーム」は全編が一気に公開されたが、本作は先に6本、2022年下半期に6本が公開される。
既存のドラマのように「毎週1話公開」だったり、漫画のコミック版のように「1巻、2巻…」と発売されるわけではない。6話すべてが一気に出る。2021年の11月に撮影を終え、編集の後に各国の字幕もつけられているのだ。
早い人は一晩で見終えてしまうだろう。すると「どこまで見た?」という話題になる。そして恐ろしいのが「ネタバレ」。
韓国では「イカゲーム」がヒットした昨年10月にサッカーの有名解説者が中継時にポロッと「イカゲームでもそうでしょ? 最後に一人が生き残ることになるじゃないですか」と発言。これが「ネタバレ」として一般紙で報じられるなど"大炎上"することがあった。今回の「ペーパーハウスコリア」でもそういった一幕があるか。
また明日、6月25日は1950年に朝鮮戦争が勃発した日。2022年はその前日が金曜日の夜となった。この時に、ストーリーにどっぷりハマってほしい。制作側のメッセージも感じられる公開方法だ。