アマゾン、時価総額ナンバー1で『GAFA』企業にも異変?(後編)
KNNポール神田です。
「アマゾン、時価総額ナンバー1で『GAFA』企業にも異変?(前編)」 の後編です。
amazon CEOの ジェフ・ベゾスが離婚をtwitterで発表
時価総額がナンバー1となり、世界一の富豪となった途端の離婚発表にいろんな噂がとびかった…。何よりも離婚による慰謝料のゆくえだったりする。もしも不倫だったりするとまた話はこじれるだろう。
その後の顛末は恋愛ゴシップ紙に任せるとして、amazonの16%の7,900万株もの株式を保有するベゾス氏。50%以上の株式分割ともなれば、時価総額にも影響は多大だ。しかし、現在のところAmazonの株価は好調のままだ。
Forbes紙の大胆なシナリオ
かなりForbes紙も大胆なシナリオを用意したものだ。マッケンジー元夫人も、資産の大半が「保有株式」だとするとamazonの価値に影響を与えるような行動はしないと思う。高値のまま売却するのが一番の現金化だからである。またベゾス所有の16%の半数の8%の株式だけで買収を試みるのはかなり難しい。むしろ、それよりも気になるのがウォルマートの存在だ。
■世界最大の小売業 Walmart
1位 アマゾン時価総額 8233億ドル(約82兆円)
11位 ウォルマート時価総額 2799億ドル(約27兆円)
米国時価総額ランキングより
世界最大の小売業Walmartは、売上ベースでは5,003億ドル(約50兆円)で5年連続の首位である。
時価総額ではamazonに及ばないものの、売上では、18位の amzonの1778億ドル(約17兆円)を完全に凌駕している。
さらにECではなく、実店舗数が全米に約5,000店舗あり、各店舗から5マイル以内の住人は米全人口の2/3以上というカバー率だ。しかし、売上比率は年々希釈しており、ECのamazonに期待値が集まる。
■売上に対して、時価総額5倍のamazon 時価総額1/2のWalmart
しかしながら、amazonの売上に対して時価総額は約5倍に対して、Walmartは売上に対して時価総額は1/2くらいという株式市場からの評価である。
Walmartは、Jet.comを30億ドル(約3000億円)買収(2016年)するが、ECでの、その成果はまだまだ見えない。さらにインドのFlipkartを160億ドル(約1.6兆円)で買収(2018年)。その間に、amazonは Wholefoodsを137億ドル(約1.3兆円)で買収(2017年)するが、リアル店舗でのその成果は、まだまだこちらも見えない。
■変わりゆくamazonのビジネスモデル 商品6割:サービス4割
amazonは、ECでの商品販売以外の広告事業やPrime会員、AWSなどのクラウドビジネスが好調だ。しかもその比率が50%に限りなく近づいていく頃だろう。※2018年実績は2019年2月発表予定。
amazonといえどもECという、『クレジットカード』『インターネット』『宅配』『無店舗』の掛け合わせモデルだったが変容してきている。
amazonの2017年の売上高1778億6600万ドル(約18兆円)のうち、商品売上高は、1185億7300万ドル(約12兆円 66%)、サービス売上高は592億9300万ドル(約6兆円 33%)だった。商品:サービス率は6:4 の関係になっている。
すでにamazonはECというよりも、ECも持った複合事業であり、サービスの一貫として、リアル店舗という市場で、Prime会員向けの宅配などの事業を伸ばそうとしている。ユニークなのが、本業のECの倉庫事業を利用したフルフィルメントという、商品の仕入れ以外をすべて賄ういわば委託販売事業のプラットフォームの成立や、amazonのクラウドサービスの時間貸しというAWS事業など、amazonの中での検索結果を、Google方式、いやOverture方式で表示するリスティング広告事業など、ECの本業に付随したサービス事業の成長が著しいのだ。
その一方で、海外事業の売上高は23.4%増の542億9700万ドル(約5.4兆円)、しかし、営業損益は30億3300万ドル(約3033億円)の赤字(前期は12億8300万ドルの赤字)と損失が拡大している。
amazonといえども、成長分野と苦手分野を抱え持つ。それはビジネスモデルの変容による試練であろう。
現在のGAFAが、GAFMAになろうと、熾烈なIT企業のクラウド、サブスクリプション、5G、AI らの評価が時価総額を押し上げてきている。その反面、年初のApple Shockのような発表ひとつで株価に激震が走る。2019年、IT業界の熾烈な競争がくりひろげられることだろう。しかし、餅は餅屋であって、巨大なGAFAたちにも常に苦手な分野がある。新たなベンチャーの参入を余儀なくしていることだけは確かだ。そうチャンスはあるのだ。そしてVCたちも投資する先を血なまこで探しているラッキーな市場なのだ。