「STAY HOME」でつながる「オンライン音楽フェス」の新たな試み
緊急事態宣言に伴う外出制限の日々が続き、ライブエンターテイメント業界に逆風が吹く中、オンラインイベントの試みが各地で広がっている。
なかでも注目を集めているのが、多数のアーティストが自宅で演奏する映像をリレー形式でつないでいくオンライン音楽フェスだ。
4月18日(土)には、「STAY HOME,STAY CONNECTED」をテーマに☆Taku Takahashi(m-flo)が呼びかけたオンライン音楽フェス「BLOCK.FESTIVAL vol.0」が開催された。LINE LIVEのサービスを用いて4時間にわたって開催されたライブ配信イベントで、Chara、Shinichi Osawa、Kan Sano、SIRUP、AAAMYYY、TENDRE、☆Taku Takahashi(m-flo)という7名の豪華アーティストが参加。それぞれが自宅から歌や演奏、トークやDJなどを披露した。Charaが長男のHIMIと共にビル・ウィザースの「Lean on Me」をカヴァーするなどレアなパフォーマンスも実現。直前の告知にもかかわらず47万人(ユニークユーザー数)が集まり、投げ銭機能による支援は合計で700万円を超えた。
フェスは継続的に開催されることが決定しており、5月5日(火・祝)には「BLOCK.FESTIVAL Vol.1」の開催が決定。
第1弾発表として、iri、eill、m-flo、Campanella、kiki vivi lily、SASUKE、SKY-HI、TAAR、NAGAN SERVER、Mom、MINMI、向井太一、YonYon、RIRIら14組のアーティストが出演することが発表された。この日の14時から24時、10時間にわたってアーティストの自宅からのライブやトークが繰り広げられる。
同じく4月18日には、現在営業を休止している秋葉原のクラブ「MOGRA」が主宰するオンライン音楽フェス「MUSIC UNITY 2020」の第2回が開催された。こちらはライブ配信サービスのTWITCHを用い、全国各地のクラブやライブハウスなどをつないで開催されるノンストップ形式のライブストリーミングイベントだ。
4月19日(日本時間)に開催された「One World: Together At Home」も大きな話題を呼んだ。
レディー・ガガが発起人となった大型チャリティコンサートで、世界保健機構(WHO)と非営利団体の「Global Citizen」が主催し、新型コロナウイルスへの対応に最前線で当たっている医療従事者などを応援することを目的にしたもの。約2時間のコンサートにはキュレーションを担当したレディ・ガガを筆頭に、ローリング・ストーンズ、ポール・マッカートニー、スティーヴィー・ワンダーなどのレジェンドからビリー・アイリッシュやリゾなどの新鋭まで20人以上の大物ミュージシャンが登場。6時間のプレイベントも加えて8時間に100人以上が登場する大掛かりなイベントとなった。
それぞれのパフォーマンスも注目を集めた。ローリング・ストーンズはミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ロン・ウッド、チャーリー・ワッツの4人がそれぞれの自宅からビデオ会議のような画面構成で演奏を披露。
ポール・マッカートニーは母親が看護師だったことに触れ医療従事者への感謝を込めてビートルズの名曲「レディ・マドンナ」をピアノで弾き語った。
ジェニファー・ロペスは自宅の裏庭にライトを飾り即席のステージを作った。
ビリー・アイリッシュは兄フィニアスと共にボビー・ヘブによる60年代のヒット曲「Sunny」をカバーした。
アメリカ3大ネットワークによるテレビ中継に加えてYouTubeやFacebookなど多くのプラットフォームによる全世界へのライブ配信も実現した。主催者の発表によると1億2790万ドル(約138億円)の支援金が集まったという。
こうしたオンラインフェスの特徴は、それぞれが離れた「ステイ・ホーム」な状況でも、フェスのようにアーティストとオーディエンスの一体感やつながりを感じられるということだ。緊急事態宣言のさなかで迎えるゴールデンウィークにも多くのオンラインイベントが企画されるはずだろう。各地のライブハウスが休業を余儀なくされ経営の危機に立たされている一方で、新しい形で音楽を届ける方法も模索が続いている。