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無観客試合のレッスルマニア36は史上初の2日間開催へ!過去にはトランプ大統領もリングに登場

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
レッスルマニア36は史上初となる2日間開催となる

 新型コロナウィルスの影響で、史上初の無観客試合として開催される今年のレッスルマニア。

 36回目にして初の無観客試合となるだけでなく、初の2日間開催となることが3月18日(日本時間19日)にWWEから発表された。

 当初、レッスルマニア36は4月5日(日本時間6日)にフロリダ州タンパのレイモンド・ジェームス・スタジアムで開催予定だったが、タンパから車で約1時間の距離のフロリダ州オーランドにあるWWEパフォーマンス・センターに場所を移して、無観客で行われると発表されていたが、その大会が4月4日と5日(日本時間5日と6日)の2日間に渡って行われる。

 場所もWWEパフォーマンス・センターだけでなく、複数の施設を使うことも明らかになった。

 プロレス界最大の祭典であるレッスルマニアは試合数も多く、昨年のレッスルマニア35では7時間近くに渡って16試合が行われた。

 今年は無観客となっために2日間に分けることが可能になり、より濃密なイベントをプロレス・ファンにお届けできる。2日間開催になったもう一つの理由は大人数が集まることを避けるため。無観客とは言え、世界有数のスポーツイベントを作り上げるためにはレスラーだけでなく、数多くの制作スタッフの力が必要で、それなりの人数が会場内に集まってしまう。2日間に分ければ、会場に集まるレスラーとスタッフの数も減らすことができる。複数の会場を使うことで、新型コロナウィルス感染のリスクを極力減らした上で、WWEは世界中のプロレスファンに最高のイベントを届ける覚悟だ。

 複数会場に関しては第2回大会(1986年)で開催した実績があり、このときはニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴのアメリカ3大都市にあるアリーナで同日開催。ニューヨークでは俳優のミスターTがロディ・パイパーとボクシングマッチで対決、シカゴでは大巨人アンドレ・ザ・ジャイアントがバトルロイヤルを制して、ロサンゼルスではハルク・ホーガンがキングコング・バンディから金網デスマッチで勝利した。

 WWEがレッスルマニア36を無観客にして開催地も変更したことで、入場料収入1500万ドル(約16億5000万円)、レッスルマニアの前後に開催した4大会の入場料収入400万ドル(約4億4000万円)、グッズ売上収入300万ドル(約3億3000万円)の合計2200万ドル(約24億2000万円)を失ったとプロレス業界のビジネス面を報じるWrestlenomicsは試算。

 日本で最大手である新日本プロレスの2018年度の売上高が54億円だったので、WWEはレッスルマニア・ウィークだけで新日本プロレスが1年間で稼ぐ半分近い収入を手にすることになる。

 WWEの発表によると、昨年ニューヨーク地区で開催されたレッスルマニア35がもたらした開催都市への経済効果は1億6540万ドル(約181億9400万円)で、アメリカ50州全てと世界68ヶ国からニューヨークを訪れたプロレスファンが使った宿泊費だけで2390万ドル(約26億2900万円)だった。

 中国電力が2018年に試算した広島東洋カープの経済効果は356億円だったが、レッスルマニアの経済効果が1周間なのに対して、広島はレギュラーシーズンから日本シリーズまでの7ヶ月分。レッスルマニアがプロレス界最大の祭典と呼ばれる理由が改めて明確になる。

 約25億円を失うことになっても、WWEが最高のプロレスを提供する姿勢は変わらない。

 レッスルマニアはプロレスラーだけでなく、数々の大物ゲストをリングに上げて、プロレスファンだけでなく、世間一般に話題を提供してきた。その最たるものが、2007年に行われたレッスルマニア23での「億万長者対決」。現アメリカ大統領のドナルド・トランプが、WWE会長のビンス・マクマホンと敗者髪切りデスマッチで対戦。

 ビンス・マクマホンはプロレスラーとの対戦経験は何度もあり、レスラー顔負けのパフォーマンスを見せてきたが、さすがにド素人のトランプをリングで試合させる訳にもいかず、この試合はトランプとマクマホンがマネージャーとなり、プロレスラーが代理となって対決。負けた方のマネージャーが髪を切られるという試合形式で行われた。

 しかし、試合終盤にマクマホンが試合に乱入すると、トランプがマクマホンにラリアートを喰らわせてKO。トランプの代理レスラーだったボビー・ラシュリーの勝利をアシストした。

 試合後にはバリカンでマクマホンの髪の毛を刈っただけでは飽き足らず、カミソリでマクマホンの頭を剃って、スキンヘッドにしてしまった。上機嫌なトランプは特別レフリーを務めたストーンコールド・スティーブ・オースチンとビールで乾杯したが、その隙にオースチンが得意技のスタナーを喰らわせて、トランプもノックアウトされ会場は大盛り上がりを見せた。

 今年の大会では、NFLのニューイングランド・ペイトリオッツでトム・ブレイディの相棒として3度の優勝に貢献したロブ・グロンコウスキーが大会ホストに就任。グロンコウスキーは3月20日(日本時間21日)に放映されるスマックダウン大会に登場して、レッスルマニア36でのプランを明かすと言う。

 身長198センチ、体重111キロのグロンコウスキーは、2018年シーズンを最後に現役を引退したが、幼少のときからのプロレスファンとして知られ、2017年にはレッスルマニア33をリングサイドで観戦。バトルロイヤルに出場していたジンダー・マハールに挑発されてリングに上がり、マハールに強烈なタックルを喰らわした。

 プロレスラー転向も噂されるグロンコウスキーが、どのような役割でレッスルマニア36を盛り上げるのかにも注目が集まる。

スーパーボウル優勝の証であるロンバルディ・トロフィーを掲げるロブ・グロンコウスキー。NFL史上最高のタイトエンドと呼ばれるグロンコウスキーはプロレスラーに転身するのか?(三尾圭撮影)
スーパーボウル優勝の証であるロンバルディ・トロフィーを掲げるロブ・グロンコウスキー。NFL史上最高のタイトエンドと呼ばれるグロンコウスキーはプロレスラーに転身するのか?(三尾圭撮影)

 過去には前述のレッスルマニア2のバトルロイヤルに6人のNFL選手が参加してプロレスラーと戦ったこともあるし、NBAのスーパースターだったデニス・ロッドマンとカール・マローンがプロレスのリングでタッグマッチを戦うなど、アメリカンプロレスは他のスポーツのスター選手をうまく起用しながらプロレス界を盛り上げてきた。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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