「お金はコツコツと働いて貯めるもの」同意するか否か、15歳(高校1年生)の答えは(2024年公開版)
金融広報中央委員会「知るぽると」では毎年の「家計の金融行動に関する世論調査」以外に、5年おきに「子どものくらしとお金に関する調査」を実施し、子供の視線からのお金に関する意識の実態を調査・確認していた。その調査は新型コロナウイルスの流行による中断を経て事実上終了してしまったが、代わりに15歳(高校1年生)を対象にした「15歳のお金とくらしに関する知識・行動調査」(※)が実施されることとなった。今回はその調査結果の中から、15歳におけるお金に関する価値観の実情について確認する。
まずは「お金はコツコツと働いて貯めるものである」とする件について、同意を示すか否か。多様な調査の結果(例えば日銀の「資金循環の日米比較」)でも明らかにされている通り、家計全体の金融資産に占める現金・預貯金の割合が非常に高い日本では、重要視されることが多い「お金はコツコツと働いて貯めるものだ」との考えには15歳の7~8割が賛同の意を示している。
今項目では前回調査と比べ、否定派が減り、肯定派は増加。意見留保派も減る形となっている。肯定派の増加と否定派の減少は中期的なトレンドで、直近年ではついに肯定派が8割に届いてしまった。
お金は地味だが真面目に働いて稼いで貯めていくもので、一発逆転を狙うようなスタイルは好まれる話ではない。そのような思惑が強く働いていることは、次の設問の回答からも分かる。
2015年までは「ギャンブル」ではなく「賭け事」との表記だったが、中身はほぼ同じで、発表資料でもそのようにあつかわれているので、今件では1つにまとめておく。こちらも「お金はコツコツと働いて貯めるものである」同様に、少しずつ肯定派が増え、否定派が減っている。要は堅実志向な人が増えていると解釈すればいいのだろう。ただ意見留保派は減るどころか増えるような動きを示しているのは興味深い。
法律的解釈上の違法行為は別として、倫理観上の問題としてギャンブルがよいか否かを表したグラフとも読み取れるのだが、そもそも「分からない」と判断を迷っている人が4人から3人に1人程度は居ることが気になる。「違法ではないから、キャンブルが成功して儲けることができれば、それはそれでよいことだ」との考えなのだろうか。設問が少々曖昧なので、これ以上の判断は難しい。
かの渋沢栄一氏はお金を儲けることに関して、「金儲けを品の悪いことのように考えるのは、根本的に間違っている。しかし儲けることに熱中しすぎると、品が悪くなるのも確かである。金儲けにも品位を忘れぬようにしたい」と語っている。品位を保ちつつ、大いにお金稼ぎに挑みたいものだ。
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※15歳のお金とくらしに関する知識・行動調査
2023年6月15日~7月14日に日本全国の高校1年生に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は3000人。直近の国勢調査の結果を基に、15歳の地域比率にあう形で割り付けを行っている。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。