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2024年2月2日、『Apple Vision Pro』実質1日あたり278円の価値は?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:Apple

KNNポール神田です。

ついに、『Apple Vision Pro』の発売日が決定となった。

2024年2月2日(金)だ。

そして、予約は2024年1月19日(金)から始まる。

残念ながら、日本での発売は『未定』のため、米国での販売だ。

https://www.apple.com/apple-vision-pro/

『Apple Vision Pro』で、何ができるのかというのは、このプロモーションビデオでおおよそ理解できる。

■約50万円の円安価格を残存価値で考えてみる

一番、気になるのは、『3,499ドル(@145円で50万7,355円)』という価格であるが、36回(3年間)の『BNPL(バイナウペイレイター)』の無利息で買えば、一ヶ月あたり97ドル(1万4,065円)となる。24回(2年間)払いで146ドル(2万1,170円)となる。2年後に買い替えて売却したとしても、70%の残存価格で販売できるとすると、『2,450ドル』で二次流通が可能だ。新型が出る前であればという条件付きだが。

すると、実質の価格はクルマのような『残価設定価格』で考えると、『1,049ドル(15万2,105円)』で購入することができる(3499ドル-2,450ドル)。すると、iPhoneくらいの値段に近くなってくる。

日本でメルカリのような二次流通にした場合、10%の利用料と送料がかかるので、『60%程度の残存価値』とすると、『1,399ドル(20万2,855円)』くらいが『約2年間の体験料金』と考えられる。すると、『1日あたり(2年=730日)278円』の体験料金となる。

『BPNL』で購入した場合、支払いがドル建てだと、現在から『ドル安円高』に向かえば日本円の負担は軽減すると考えられる。140円になると、『1日あたり(2年=730日)268円』の体験料金に下がるシミュレーションが成り立つ。

しかし、米国内での『Apple Store』での販売の『Apple Vison Pro』を日本に持ち帰る、もしくは、発送するとなるとそれなりの時間とコスト、関税の問題、技適の許可などが発生するリスクもある。

やはり、日本版が発売されるのを、『iPhone3G』の発売の時のように、待つのが得策ではないだろうか?そう、2年間も日本で『Vision Pro』が発売されないという事態はまずなさそうだ。もしくは、廉価版の『2』を1年後に発売という戦略もありだろう。

そうなればなるほど、『空間コンピューティング(Spatial Computing)』を1年間でも先取りできる『経験値』は、きっと『プライスレス』となることだろう。

その反面、昔のiPhoneが、もはや無惨に転がっているように陳腐化するスピードも恐ろしく早い。新分野であるほどだ。昔の『Apple WATCH』では240万円の価格もあった。5年間くらいは無料アップデートすべきだろう。でも、技術の進化は『新製品』をすぐに『ジャンク』としてしまう。

待てば待つほど、高性能で安価な『Vision Pro』が出てくることも容易に想定できる。二次流通価格が崩れにくいApple製品を買うならば、それでも発売時期だ。Appleの平均リプレースのサイクルは最短の『iPhoneシリーズ』でも1年だからだ。

■重さは、450〜500グラム 1パウンド(453g)

□ゴーグルをかけて、ニットバンドについているダイヤルを回し、適度に固定する。ちょうどスキー靴などの締め具合をワイヤーで調節するような調整方法だ。そのうえで、マジックテープで長さを調節できるトップバンドで、頭頂部に重さがかかるところまで締める。
□こうして、頭頂部、後頭部、そしておでこと目の下にあるパッドで、Apple Vision Pro全体を支える形となる。重さは、450〜500gと説明を受けた。アメリカではちょうど1lb.(パウンド)という重さに相当する。
https://toyokeizai.net/articles/-/677993

価格を一旦、忘れて、筆者が気になるのはバッテリーのみでの駆動時間が2時間の『Apple Vision Pro』が1パウンドとして『453g』もあることだ。

筆者も愛用しているベストセラーのソニーのレッドラインのヘッドフォン『MDR-CD900ST』でも200gで軽量の方だが2時間もしていると耳が痛くなってくる。

この『2.2倍の重量』のヘッドマウントセットを頭に被っていられる時間はおそらく1時間ではないだろうか?

1本の映画2時間を見ると、首への負担は相当でベッドで横になりながら視聴するというスタイルが正解かもしれない。

ただ、これは『受け身』な視聴の場合だ。ゲームでもなく、VRでもなく『空間コンピューティング』として、普段の仕事を『Vision Pro』で行ったり、過去の3D写真や3Dビデオに没入するというのはまた別の感覚かもしれない。

しかし、『iPadPro11インチ(466g)』並の重量を、2時間近くも頭部でのみ支えるというのは、『スマホ首』ならぬ『VisionProネック』という新たな症例を誕生させてしまうのかもしれない。

それらもすべて含めて、『Apple Vision Pro』を買う属性の人は限られる。そして、さらに、日本円の円安時期に、日本で使う人たちには、『人柱』としてではなく、偉大な『ファーストペンギン』としてのインプレッションに敬意をもって耳を傾けたい。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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