韓国の「前大統領壮絶史」ふりかえり 4人が刑務所行き 歴代大統領の41.5%に検察出頭歴あり
「韓国って、過去の大統領が全員逮捕されるよね」
29日の李明博前大統領の有罪確定により、そういった話をまた聞いた。
実際のところ捜査のために検察に出頭した比率は「41.6%」だ。歴代大統領12人中5人。うち4人が実刑に、1人が捜査後に自殺を遂げている。歴史のふりかえりを。
それは1995年11月に始まった。
13代 盧泰愚(ノ・テウ/87歳)
大統領在任期間 1988年2月25日-1993年2月24日
罪:大統領在籍時の4000億ウォン水準の裏金、1979年12月12日の軍事クーデター関与、1980年光州事件の武力制圧など
罰:懲役17年(1997年4月-)。その後1997年12月に特赦。追徴金2628億ウォン
- 左が盧泰愚前大統領。
韓国で初めて検察に召喚された大統領前職者。政敵だった金泳三大統領時代の出来事だ。
1995年11月1日に検察の特別捜査室で17時間に及ぶ捜査を受け、11月16日に内乱罪、賄賂などで拘束された。1997年4月、次に記す盟友・全斗煥大統領とともに判決を受けた。懲役17年、追加課徴金2628億ウォン。しかし97年12月に退任直前の金泳三大統領による特赦により釈放された。実際の刑期は8ヶ月だった。追加課徴金はすべて納付した。
11、12代 全斗煥(チョン・ドゥファン/89歳)
大統領在任期間1980年8月27日-1988年2月24日
罪:1979年12月12日の軍事クーデター関与、1980年光州事件の武力制圧など
罰:1審死刑、2審無期懲役および追徴金 その後1997年12月に特赦に
1995年11月、同じくかつて政敵だった金泳三大統領時代に、盟友・盧泰愚前大統領とともに罪に問われた。しかし検察側の召喚に応じず。故郷の慶尚南道の病院に入院していたが、1995年12月3日に拘束された。
1997年4月に盧泰愚前大統領とともに韓国最高裁(大法院)に立ち、無期懲役と追加課徴金2205億ウォンを課されたが、盧氏と同じく上記の特赦で釈放。全氏は追徴金のうち1050億ウォンを収めていない。
18代 朴槿恵(パク・クネ/68歳)
大統領在任期間 2013年2月25日-2017年3月10日
罪:職権濫用罪、強要罪など
罰:懲役30年(2017年3月31日から服役中)
初の在職中の大統領への捜査・逮捕となった。
友人による大統領職への介入がメディアによって提起され、検察の特別捜査本部が2016年10月から捜査に着手した。しかしこれが国民の信頼を得られないとみるや、検察側は特別監査チームを組んだ。すると774億ウォンの贈与強要、サムスン副会長による朴氏友人への便宜など不正が明らかに。2017年3月10日、韓国史上初の弾劾裁判による大統領の罷免が決まった。その後、被疑者として地検の捜査を再び受け、3月31日に拘束された。懲役30年の実刑に服役中。いまだに「熱狂的支持者」は弾劾の無効と釈放を主張している。
17代 李明博(イ・ミョンバク/78歳)
大統領在任期間 2008年2月25日-2013年2月24日
罪:裏金、横領など
罰:懲役17年(2020年11月2日-)ただしすでに被疑者として約1年拘束されたため、16年後の2036年に満期
参考:李明博氏の今後は? 収容施設は「ホテル級」も…年金「取消」 罰金など「17億円超を30日内に支払い」
この他、16代盧武鉉前大統領(在任期間2003年2月25日-2008年2月24日)が、2009年4月30日に裏金疑惑で検察に召喚されたが、これを苦に5月23日に自ら命を絶った。大統領前職者として検察に召喚されたのは盧泰愚、全斗煥に続く3人目だった。
日本で「前職の大統領が全員捕まる」というイメージがあるのは、近年では確かに当たっている面もある。11、12代(全斗煥)、13代(盧泰愚)、16代(盧武鉉)、17代(李明博)、18代(朴槿恵)が少なくとも検察に出頭した。また14代の金泳三は「経済政策の失敗に検察から調査を受ける」、15代の金大中は「息子3人全員が裏金疑惑で連行される」という事態に陥っている。
なぜそうなるの? そういう話もよく聞く。確かに「現職者が政治的に激しく対立した、前任者を追いやる」という傾向はある。同時に筆者は日本語に日本語にない漢字の言葉「民弊(ミンペ)」を思い出す。「迷惑」をより細かく分類した言葉だ。「共同体のリーダーが間違いを犯したなら徹底的に批判してもよい」というニュアンス。韓国語の辞書では「本来、民弊の高位の主体は『官』だった」と説明される。叩くべき、やるべきという土壌はある。日本との文化の違い、というところだ。