廃校を転用した宿泊施設がある県境の集落 因美線 那岐駅【後編】(鳥取県八頭郡智頭町)
鳥取と岡山を結ぶ因美線の県境区間にある無人駅・那岐。前編では駅やその歴史について紹介したが、後編では駅周辺について紹介していこう。
駅がある「那岐」という集落はかつて八頭郡那岐村という独立した自治体だったところで、国道53号で南の黒尾峠を越えれば岡山県勝田郡奈義町、因美線あるいは鳥取県道6号津山智頭八東線で物見峠を越えれば岡山県津山市加茂町という立地だ。
谷沿いのわずか平地に集落が細く長く続いており、県道296号西谷那岐停車場線と県道295号西宇塚那岐停車場線が集落のメインストリートといった趣だ。国道53号はそれなりに交通量が多いものの、少し入ったところにある駅前はひっそりとしている。
駅前に商店などはないが、少し離れたところに那岐郵便局の旧局舎を転用した喫茶店「カフェぽすと」がある。営業は水曜日の11時から日暮れまでと週一回のみだが、地元産野菜をふんだんに使った料理が人気なのだそう。
駅から少し西に行ったところには廃校になった那岐小学校を転用した宿泊施設「ナギノ森ノ宿」がある。明治40(1907)年4月開校、平成24(2012)年3月25日閉校と100年以上の歴史を持つ学校だが、校舎は平成6(1994)年4月完成と比較的新しい。
4つある客室はかつての教室などを改装したもので、一人旅から多人数での宿泊まで対応している。一人4000円から宿泊可能と値段もお手頃で、広い部屋でも8000円なので、安く抑えたい学生の集団旅行にもおススメだ。また、併設の温泉は大人500円、子供250円で日帰り入浴もできるので、途中下車して一風呂浴びるのもいいかもしれない。
シェアキッチンがあるので、各自食料を持ち込むのもいいが、4人以上なら一人2000円で鹿肉・猪肉と智頭町産の野菜を使ったジビエ鍋やBBQ(4月~10月末)を楽しむこともできる。
列車の本数が少ないゆえに因美線で訪問するのは難しいが、車なら関西からでも気軽に訪れることのできる県境の集落・那岐。因美線を途中下車して散策するもよし、廃校に泊ってジビエを楽しむもよし、楽しみ方は無限大だ。