最強宇宙望遠鏡「ジェイムズウェッブ」が天王星を激写!圧倒的な解像度
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「JWSTが撮影した最新の天王星画像」というテーマで動画をお送りしていきます。
2021年12月25日には、あのハッブル宇宙望遠鏡の後継機と期待される「ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)」の打ち上げが成功しました。
ハッブル宇宙望遠鏡は高度約570kmを周回し、そこから宇宙を観測していたのに対し、JWSTは太陽-地球系の「ラグランジュ点2(L2)」というところから観測を行います。
ここは地球から150万kmほど離れた場所です。
そこで様々な調節を済ませ、去年7月から本格的な科学観測を始めることに成功しています。
それからいくつもの美しすぎる画像たちを公開してくれていますが、今回は天王星の最新画像が公開されていたので、紹介します。
●天王星の基本情報
天王星は、2023年4月時点で太陽系で2番目に遠い惑星です。
太陽からの距離は地球の約20倍も遠いため、太陽光が非常に届きにくく、約-200度と極寒の世界となっています。
公転周期も約84年と、天王星の1年は非常に長いです。
天王星は地球の約4倍の直径と、約15倍の質量を持ちます。
土星や木星と比べると小柄ですが、地球よりもかなり大きな惑星となります。
天王星表面は木星や土星と同様、水素やヘリウムを主成分とする分厚い大気で覆われていますが、内部では水やアンモニア、メタンなどの元素が主成分となっています。
天王星が私たちの目で青っぽく見えるのは、天王星の大気に微量に含まれているメタンが、様々な波長の光が混じる太陽光のうち青い光を反射し、赤い光を吸収するからであると考えられています。
そして天王星について特筆すべきなのは、公転軌道面に対して横倒しの状態で自転していることです。
このような角度で自転する惑星は、太陽系ではこの天王星が唯一です。
このような自転のため、天王星の表面のうち、太陽に照らされている昼面ではどれだけ自転しても昼が続き、反対に太陽に照らされていない夜面ではどれだけ自転しても夜のままです。
天王星の昼夜は基本的に、公転軌道上の天王星の位置が移動することでしか変化しません。
そのため天王星の昼夜はそれぞれ公転周期約84年の半分、つまり約42年間も続きます。
●天王星の最新画像
では今回の本題です。
こちらの天王星はJWSTによって2023年2月6日に撮影され、4月に公開されました。
JWSTは天王星からやってくる電磁波のうち私たちが見える光ではなく赤外線を観測し、その波長や強度に応じて、可視光で着色して画像化されています。
現在の天王星は地球から見下ろすのに近いアングルで見ることができる位置にあります。
時期によってこのような角度から見れるのは、天王星が公転軌道に対して横倒しで自転しているためです。
この画像で特に目を引くのは、その周囲に映った美しいリングです。
天王星は土星に次いで明確なリングを持つ惑星ですが、既知の13のリングのうちこの画像では実に11ものリングが映し出されています。
そして天王星の極域が白く映っているのもわかります。
これは「極冠」と呼ばれる現象で、夏になると出現し、秋になると消えてしまうそうです。
さらにこのJWSTの最新画像では、極冠の中心部が少しだけ周囲よりもさらに白く見えるという、予想外の発見がありました。
そしてこちらがJWSTが赤外線で撮影した画像(右)と、ハッブル宇宙望遠鏡が2022年11月10日に可視光で撮影した画像(左)を比較したものです。
観測している電磁波の波長は異なるものの、JWSTの画像の方が圧倒的に解像度が高く、より詳細な構造まで鮮明に映し出されています。
そしてこちらはJWSTによる天王星画像の全貌です。
アリエル、パック、ミランダ、ウンブリエル、チタニア、オベロンという、天王星の6つの衛星が特に鮮明に映っています。
ちなみに今回紹介した天王星の最新観測データは、JWSTがたった12分間だけ光を集めることで得ることができたとのことです。
今後さらに長時間の露光により、さらに詳細なデータを得られそうです。
●JWSTが撮影したその他太陽系惑星たち
では最後に、JWSTが撮影した太陽系惑星の画像も併せて紹介します。
こちらは、JWSTが撮影した木星の姿です。
何億kmも離れた位置から撮影したとは思えないほど、その極めて詳細な構造まで明確に映し出しています。
特に右下の大赤斑や南北極のオーロラが美しいです。
右下にある大赤斑は地球を軽く飲み込むほど巨大な嵐ですが、色々な波長の光が混じった太陽光を反射しているため、このように白っぽく見えています。
木星の極にはその衛星であるイオから豊富な物質が流れ込んでくるため、太陽系内の他の天体では類を見ないほど強力なオーロラが現れています。
そしてこちらはJWSTが撮影した火星です。JWSTは非常に多くの赤外線を集められるため、遠くの暗い天体を見るのに長けていますが、逆に火星のように近くにある天体は明るすぎます。
そこで非常に短い期間だけ火星からの赤外線を集め、このようにデータを得ることに成功しています。
右の2枚がJWSTから得られた実際の画像、左がJWSTが撮影した火星の位置を示した地図です。
右の上下の2枚は、赤外線の異なる波長で捉えた画像です。
右上は2.1マイクロメートルの赤外線で撮影した火星で、その地表の構造が浮かび上がっています。
右下は4.3マイクロメートルの赤外線で撮影した火星で、太陽に暖められた大気の温度が反映されています。
太陽が真上に来る地点が最も高温で、赤外線でも最も明るくなっています。
場所ごとの大気の温度が反映された右下の画像には、最も明るい地点の下の方に少し暗い部分があります。
これは左の画像でもわかる通り、ヘラス平原と呼ばれる巨大な盆地で、火星最大の衝突クレーターです。
盆地上空の大気は他の地点よりも濃く、さらに火星の大気の主成分である二酸化炭素が赤外線を吸収しているため、このように大気が濃いヘラス平原から反射して地球に届く赤外線が弱くなっています。
最後にこちらは、JWSTが撮影した海王星の姿です。
海王星は非常に遠い上、リング自体が低密度なので、そのリングは1989年にボイジャー2号によって初観測されて以降、一度も観測されたことがなかったそうです。
それだけ観測が難しいリングがこれほど鮮明に捉えられているのは、JWSTの恐るべき性能の高さを物語っています。
また、赤道上が薄っすらと白く見えているのは、この部分の大気が他と比べて高温であるためです。
その理由として、海王星の大気が赤道付近で下降して暖められるからであると考えられています。
そしてこの画像には映っていない、海王星の北極付近がとても明るくなっているのも気になります。
ただし海王星の公転軌道は165年なので、地球から海王星の北極を見れるのは何十年も後になります。
ということで今回はJWSTが撮影した最新の天王星画像と、その他の太陽系惑星の画像も紹介させていただきました。