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防衛戦間近、チャンピオンは"あの曲"でリングに上がる

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
撮影:山口裕朗  2022年11月17日に2度目の防衛に成功

 26日に3度目の防衛戦のリングに上がる第63代日本ライト級チャンピオン、宇津木秀。12戦全勝10KOの宇津木は、今回の試合までに95ラウンドのスパーリングをこなした。

 宇津木は言う。

 「調子はいいですよ。5~6ラウンドで仕留めたいです」

 確かに日本ライト級王者は順調な仕上がりを見せている。挑戦者は、同1位で17戦12勝(7KO)2敗3分の仲里周磨。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20230329-00342796

撮影:山口裕朗 2022年2月8日、日本ライト級王座獲得
撮影:山口裕朗 2022年2月8日、日本ライト級王座獲得

 宇津木にとってベルトを懸けたファイトは、今回が4度目。日本タイトルマッチのリングに上がるようになってから、入場時の曲を『パイレーツ・オブ・ザ・カリビアン』に変えた。御存知のように、村田諒太がリングインの際に使用していた物である。

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 「最初はプロレス好きの友人の薦めで『スカイ・ハイ』をかけてもらっていました。で、日本タイトル戦の前に何気なくTVを観ていたら、『パイレーツ・オブ・ザ・カリビアン』が聞こえてきて、『お、これがいいな!』と思ったんです。以来、使わせてもらっています。たまたま村田さんと被っちゃったんですよね」

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 その村田諒太は、先日引退をアナウンスした。直接言葉を交わしたことはないが、宇津木にとって村田は特別な存在だ。

 「僕はボクシングは大学卒業まででいい、と思っていました。でも、村田さんとアッサン・エンダムの第1戦を目にして、やっぱりプロでやってみようという気持ちになったんです。プロの華やかさ、格好良さに惹かれましたね」

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 「『パイレーツ・オブ・ザ・カリビアン』が会場で流れれば、ボクシングファンは、"村田さんの曲だ"と感じるでしょう。オリンピックで金メダリストになり、プロでも世界王座に就いた方です。僕が改めて述べるまでもなく、偉大なボクサーでしたね。彼の引退は寂しいですが、次世代である僕らが頑張らなければいけない。

 あの曲で花道を歩く以上、恥かしい試合は出来ない。勝たなきゃいけない。まだまだおこがましいですが、村田さんに負けないくらいいい選手になってみせる、という思いです」

 4月26日、後楽園ホールに『パイレーツ・オブ・ザ・カリビアン』が響く。宇津木がどんなパフォーマンスを見せるかに期待したい。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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