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小池都知事「満員電車ゼロ」は「2階建て電車」ではなく、信号システム改修が元提案だった?

鉄道乗蔵鉄道ライター
総2階建て電車

 東京都知事選挙が6月20日に告示され7月7日に実施される。小池知事は2016年の初当選時、公約に「七つのゼロ」を掲げ、その中の一つに「満員電車ゼロ」があった。当初は総2階建て電車の導入により公約達成を図るという話が各所で話題となった。当時、「満員電車ゼロ」についてメディアから小池都知事の政策ブレーンと言われていた交通コンサルタントの阿部等氏は自身の著作で「今後『満員電車ゼロ』に向けた具体的な取組みにおいても、総2階建て車両ほど大きな投資を必要としない施策を先にすべきだ」と記している。では、なぜ「2階建て電車」の話が大きくクローズアップされてしまったのだろうか。

信号システム改修など「満員電車ゼロ」に向けての5つの方策を提案

 「満員電車ゼロ」の公約は、政策ブレーンを務めた阿部氏が2008年に初出版、2016年に改訂版を出版した著書『満員電車がなくなる日』に記載された内容が基になっており、その中で提案されていた信号システム等の改修による5つの混雑解消策がもともとの内容だった。

 第1は青信号と同発車。例えば、現在の中央線東京駅では、ホーム上の出発信号が青に変わってから発車まで25秒ほどの時間を要しているため、まずここを改善する。

 第2は、ドアが閉まると同時に発車。現在のJR東日本では、ドアが閉まり運転席のパイロットランプが表示されたと同時に電車を発車させているが、発車後に駅員や乗客が傘などが挟まっていることに気付き、非常ボタンを押して電車を止めるケースが多々ある。これをドア挟みの検知能力を上げたうえでドア閉めと同時発車を徹底し、無用な時間ロスを避ける。

 さらに、西武鉄道や阪神電鉄ですでに行われているような選択停車ダイヤの導入。電車の加速とブレーキ性能の向上、現在よりも車間距離を詰めて電車の運行を行えるような信号システムの導入で、輸送力を現行の1.5倍程度に引き上げようというものだった。この方策であれば、電車の総2階建化や複々線化よりもはるかに安い費用で対策ができるという。

 しかし、同書の中で触れられていた「総2階建て電車」のアイディアのほうがはるかに絵になることから、こちらのほうが大々的に報道されてしまったというのが真相のようだ。

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。ステッカーやTシャツなど鉄道乗蔵グッズを作りました。

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