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見切品買うと粗品進呈!スーパーセンターPLANTの食品廃棄撲滅キャンペーンで対前年比15%のロス削減

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
記事の読者の方が送って下さった、PLANT-5の店内写真(記事読者の方撮影)

「いつも記事を楽しみに読んでいます」という方から、あるスーパーマーケットの写真を送って頂いた。新潟県新潟市内のスーパーセンターPLANT(プラント)-5の横越店で、賞味期限や消費期限の接近した見切り品を5つ買うと粗品をプレゼントします、という「食品廃棄撲滅キャンペーン」を実施していたそうだ。

記事の読者の方が送って下さった、PLANT-5 横越店の食料廃棄撲滅キャンペーン(読者撮影)
記事の読者の方が送って下さった、PLANT-5 横越店の食料廃棄撲滅キャンペーン(読者撮影)

PLANT-5の横越店が「食品廃棄撲滅キャンペーン」で粗品として提供しているのは、アルミホイルやティッシュペーパー、洗剤など。いずれも日常使うものだ。少しでも家計が助かるなら・・・と、この機会に見切り品に手を伸ばす人も多いのではないだろうか。

この「スーパーセンター」を展開する株式会社PLANTは、福井県坂井市に本社を置く、昭和57年設立の企業だ。正社員は701名、パート・アルバイトを含めると、全従業員数は4,033名にのぼる(2018年9月30日現在)。

ところで、この「スーパーセンター」とはどのようなものだろうか。

株式会社PLANTの会長である三ツ田勝規氏が、1980年代に構想していたのが、日用品を販売する「ホームセンター」だった。もともと家業の「ジョイフルストアー」を、10年かけて4店出店した。その後、念願のホームセンター(PLANT-1)を開店したところ、顧客から「下着やお菓子を置いて欲しい」とリクエストがあった。その要望に応えて置いたところ、品揃えの目新しさが評判を呼んだ。

すると、別の顧客から「肉や野菜、魚も置いて欲しい」とリクエストがあった。そうして、顧客の要望に応えていくうちに、ホームセンターとスーパーマーケットの合体版のような「スーパーセンター」になっていったという。およそ25年をかけて、日本で「スーパーセンター」という業態が広まり、福井県から営業を始めた店舗は、今では1府13県まで広がった。

新潟市内のPLANT-5、横越店の食品廃棄撲滅キャンペーン(記事の読者の方提供写真)
新潟市内のPLANT-5、横越店の食品廃棄撲滅キャンペーン(記事の読者の方提供写真)

PLANT-5では、どのような意図で、この「食料廃棄撲滅キャンペーン」を行なったのだろうか。ご担当者に問い合わせたところ、「世界的な課題である食品廃棄の削減に取り組むべくスタートした。現在では、大型店舗19店舗全店で実施している」とのこと。

新潟市内にあるPLANT-5、横越店(読者の方撮影)
新潟市内にあるPLANT-5、横越店(読者の方撮影)

対前年比で15%も食品ロス(廃棄)が削減

実際、食品廃棄撲滅キャンペーンを実施しての結果はどうだったのだろう。見切り品の売れ残りなどによる廃棄は減ったのだろうか。

株式会社PLANTの方によれば、前年比で約15%削減したとのことだった。

PLANT-5 横越店の店内(読者の方撮影)
PLANT-5 横越店の店内(読者の方撮影)

見切り品の販売は、全国の多くのスーパーで行なっている。このように、大々的にPOPをつけて販売を促すのは、珍しいのではないだろうか。賞味期限日付の、より新しいものを引っ張り出してでも買いがちな消費者にとって、この取り組みは、全国の他のスーパーも見習うべき点があるのではと感じた。

参考情報:

株式会社PLANT 公式サイト

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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