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6.35kgの差が大き過ぎた統一スーパーミドル級タイトルマッチ

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Esther Lin/SHOWTIME

  WBA/WBC/IBF/WBOスーパーミドル級タイトルマッチ、サウル・“カネロ”・アルバレスvs.4冠スーパーウエルター級チャンピオン、ジャーメル・チャーロ戦は、ワンサイドの内容でカネロが判定勝ちを収めた。スコアは119-109、118-109、118-109であった。

 本来154パウンド(69.85kg)のチャーロにとって、2階級上の168パウンド(76.2kg)でのファイトは、無謀と呼べた。   

Esther Lin/SHOWTIME
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 オープニングベルからカネロのプレッシャーを感じたチャーロは腰が引け、逃げる動きしか出来ない。目立った攻撃は、5ラウンドにヒットした左フックくらいで、終始後手後手の展開で、為す術が無い。

 両者共に主要4団体の統一王者とはいえ、2階級の差は如何ともし難い。単なるミスマッチだった。

Esther Lin/SHOWTIME
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 7回に右ストレートをチャーロの額に浴びせてダウンを奪ったカネロも、とどめを刺せないままフルラウンドを戦った。しかし、試合後は強気の発言を繰り返した。

 「私は誰に対しても、強い選手だ。私は強い男なんだ。このカネロに勝てる者なんていやしない。

 ただ、今日、ここにいるのは自分ではないような気がした。言い訳はしないが、それが現実だ。私だってパンチを受ければダウンするさ。それがボクシングだ。勝つこともあれば、負けることだってある」

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 カネロの「正直に言うと、体重の違いを感じた」という一言が、この試合を物語っていた。

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 カネロ陣営はボディーへの攻撃を一つのテーマとしていた。勝者は言葉を続けた。

 「我々は、チャーロが素晴らしいファイターであることを知っている。彼はリング内での動き方を熟知しており、何発か私にハードパンチを浴びせた。

 私のチームは3か月間、ボディーを的とした戦略を立て、練習を重ねた。家族と離れ、山の中でキャンプを張ったんだ。時には失敗することもある。が、前進あるのみだ。私のキャリアはここで止まりはしない。私は自分自身を誇りに感じている」

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 60勝(39KO)2敗2分となったカネロは結んだ。

 「私は今でもボクシングを愛している。これこそが人生だ。ボクシングが今の私を作ってくれたんだ」

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 プロ生活2度目のダウン、そして2つ目の黒星を喫し、自身の戦績を35勝(19KO)2敗1分としたチャーロだが、154パウンドの4本のベルトは保持したままだ。つまり、特に失ったものは無い。

 チャーロの次戦は、スーパーウエルター統一王座の防衛戦か。相手がテレンス・クロフォードとなれば面白い。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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