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天文学者も全く理解不能…銀河系外から飛来する未知のγ線信号が話題に

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「ガンマ線が高強度で飛来する領域の謎」というテーマで動画をお送りします。

最近,ガンマ線が特に高強度でやってくる方向が存在することが判明しました。

その方向は宇宙マイクロ波背景放射(Cosmic Microwave Background, CMB)が高強度でやってくる方向と一致すると理論的に予想されていましたが、実際はそれとは明確に異なっていました。

むしろ、こちらも起源が不明である「超高エネルギー宇宙線」の到来頻度が高い方向と一致している可能性が高いことがわかりました。

本動画ではCMBとその到来方向の偏りについて解説し、新たに判明したガンマ線の到来頻度が高い方向の謎に迫っていきます。

●宇宙マイクロ波背景放射(CMB)

宇宙マイクロ波背景放射(以下CMB)とは、宇宙の全方向からほぼ同じくらいの強度で地球にやってくる非常に弱いマイクロ波です。

ではCMBの正体は一体何なのでしょうか?

結論から言うと、「宇宙最古の電磁波」となります。

私たちの目にする可視光線(光)は、電磁波の一種です。電磁波は波長毎に呼び名が異なり、可視光線より波長が長いものには電波や赤外線、短いものには紫外線やX線、γ線などがあります。そしてマイクロ波は電波の一種です。

宇宙が始まった直後、宇宙は人間の目ですら認識できないほど非常に小さく、超高温でした。

その後急速に膨張し、温度が低下していきます。

宇宙が始まったビッグバンの瞬間からしばらくは高温であるため、宇宙にある物質は原子核と電子がお互い離れて(電離して)自由に動き回る、プラズマの状態にあったと考えられています。

宇宙初期の状態だと電磁波は、自由に動き回る電子と相互作用を起こすために、直進することができませんでした。

そのため宇宙全体がもやや雲に包まれたように視界が開けていない状態が続いていたと考えられています。

宇宙誕生から約38万年経つと宇宙の温度は約3000度にまで下がり、自由電子が原子核と結びついて原子が構成され、ようやく空間を電磁波が直進できるようになりました。

このように宇宙の誕生から約38万年後、直進できない電磁波で満たされていた宇宙全体が、直進できる電磁波で満ち溢れるようになった瞬間を、「宇宙の晴れ上がり」と呼んでいます。

この宇宙の晴れ上がりの瞬間に宇宙空間を直進できるようになった最初の電磁波は、その後宇宙の膨張と共に波長が伸び、温度が低下しながらも宇宙空間を満たし続けています。

現在の地球でも、宇宙の晴れ上がりの瞬間の最初の電磁波があらゆる方向から飛来する様子を観測することができます。

つまりCMBの正体は、最初に直進できるようになった「宇宙最古の電磁波」ということになります。

温度がある全ての物体は、その温度に応じた波長の電磁波を放っています。

これは熱放射と呼ばれる現象です。

人間の体温程度なら主に赤外線を放ちますが、さらに高温で数千度単位になるとより波長が短い可視光を主に放ちます。

例えば1000度を超えるマグマは暗闇でも赤い光を放ちますし、表面温度が数千度の恒星も人間の目に見える光を放ちます。

宇宙の温度が3000度の時に放たれた最初の電磁波は可視光線に相当する波長を持っていました。

しかしその後宇宙の膨張と共に光の波長が伸び、現在では3K(-270度)の物体が熱放射で放つ電磁波とほぼ等しい、マイクロ波の形で地球に到達するようになっています。

○CMBのゆらぎと双極子成分

CMBは太陽系に対して全方向からほぼ同等の強度でやってきますが、わずかに強度のゆらぎが存在します。

その強度分布には、ある特定の方向が他に比べて高温で、その180度反対の方向が低温であるという、「双極子成分」が見られます。

具体的には特に高温の領域だと平均より約0.12%高温で、それと反対の方向は同程度に低温となっています。

この双極子成分の原因は、CMBが等方的に見える系に対して、太陽系が370km/sという速度で移動しているためであると考えられています。

●ガンマ線に未知の高強度領域を発見

宇宙は非常にマクロなスケールで見ると等方的であり、CMB以外の電磁波でも、非常にマクロなスケールではCMB同様に宇宙を等方的に満たしていると考えられています。

つまりマイクロ波以外の電磁波を観測しても、太陽系の運動由来の双極子成分が、方向や強度などが同様の特徴を持って現れると考えられていました。

しかしそのような双極子成分は、これまでCMBでしか正確に観測されていませんでした。

CMB以外の電磁波放射の双極子成分が、理論的な予想通りCMBの双極子成分と一致しているかどうかを調べることで、それらの双極子成分が本当に太陽系が移動しているために生じる現象なのか、あるいはその定説が間違っているのかを検証することができます。

研究チームは、1日に何度も全天をスキャンする大面積の望遠鏡の長年にわたるデータを組み合わせることで、ガンマ線に関連する双極子成分を探りました。

その結果、ガンマ線の双極子成分を発見できました。

図は全天のガンマ線の到来頻度を示しており、中心を上下に分断する横のラインが天の川銀河面です。

その下に2つの円がありますが、これはガンマ線が最も高頻度で飛来するピーク領域が存在する確率が高い領域で、内側の円以内にピークがある確率が68%、外側の円以内にある確率が95%となります。

しかしその特徴は理論的な予想とは異なり、CMBの双極子成分とは明確に異なる特徴を持っていました。

まず、そのピークはCMB双極子成分のピークがある方向とは明確にずれています。

さらに強度についても、太陽系の運動によって生じると予想されるガンマ線の双極子成分の強度よりも10倍も大きいのです。

そして興味深いことにガンマ線のピークは、宇宙から飛来する陽子などの超高エネルギー粒子である、「超高エネルギー宇宙線」のピークといくつかの共通点が存在しています。

アルゼンチンの広大な草原地帯で超高エネルギー宇宙線の観測を行う「ピエールオージェ実験」により、超高エネルギー宇宙線の到来頻度にも双極子成分が発見されています。

今回の主題であるガンマ線の双極子成分と、オージェ実験で発見された超高エネルギー宇宙線の双極子成分の性質がよく似ているのです。

具体的にはまず双極子成分同士の方向が近いです。

さらに強度の面でも共通点があり、ガンマ線と最高エネルギー宇宙線のピークは、どちらも平均よりも7%エネルギーが高いことがわかっています。

ガンマ線と超高エネルギー宇宙線の双極子成分はどちらも起源が不明ですが、何らかの関連がある可能性は考えられます。

また、天の川銀河面からずれた方向にあることから、天の川銀河外が起源であると考えられます。

ガンマ線や超高エネルギー宇宙線を高強度で地球に届けている天体の正体は一体何なのでしょうか?

今後の研究から目が離せません。

https://svs.gsfc.nasa.gov/14476
https://astro-dic.jp/pierre-auger-project/

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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