多くの“お土産”を持って帰ってきた、阪神の台湾WLメンバー
11月23日から台湾で開催されていたウインターリーグ『2019亜州冬季棒球連盟(AWB)』は15日に閉幕しました。日本からは昨年と同じでNPB2チームと社会人(JABA)選抜が参加。他に、おなじみの台湾プロ野球選抜チーム(CPBL)と韓国プロ野球選抜チーム(KBO)、そして20年ぶりに台湾プロ野球再加盟を果たした味全(ウェイチュアン)ドラゴンズが加わっています。
なおNPB2チームは過去3年続いたイースタン選抜のEASTと、ウエスタン選抜のWESTという分け方でなく、今回は紅白2チームになりました。NPB-RED(紅)がソフトバンク、楽天、オリックス、ヤクルト、西武の5チームで、NPB-WHITE(白)がロッテ、阪神、DeNA、中日、巨人という編成です。
参加3年目となるJABAは初年度の2017年に成績1位ながらプレーオフで敗れて3位、昨年はNPB-EASTに次ぐ2位だったのですが、ことしはNPB紅に1ゲーム差の2位でリーグ戦を終えプレーオフで味全を下すと、決勝(優勝決定戦)でNPB紅に勝って初優勝!その結果、成績もNPB紅と並びトップでフィニッシュしました。
最終成績は以下の通り。リーグ戦15試合(2試合が雨天中止)とプレーオフ1試合を行い、上位4チームは3位決定戦と決勝があったため17試合です。
1 JABA 17 10-4- 3 .714
1 NPB紅 17 10-4- 3 .714 (0.0)
3 味全 17 8- 7- 2 .533 (2.5)
4 CPBL 17 7-10-0 .412 (4.5)
5 NPB白 16 5- 9- 2 .357 (5.0)
6 KBO 16 4-10-2 .286 (6.0)
阪神が所属するチームはここ3年連続5位。よって最終日の2日前に行われるプレーオフで日程終了という寂しい結果でした。2012年にNPBチームでAWB初代チャンピオンになり、翌2013年は1位の成績ながら決勝で2位のKBOに敗れて準優勝。2015年は首位だった台湾のアマチュア選抜に決勝で負けて、順位通りの準優勝です。
2016年はNPB-WESTでリーグ戦1位となり、決勝でNPB-EASTを下して見事優勝!最終的に14勝2敗、勝率.889という素晴らしい成績で、チーム打率もチーム防御率もリーグ1位。特に防御率はダントツでした。リーグを通じての最優秀投手賞に、6試合を投げ3勝1セーブで防御率1.45、MVP2度の阪神・青柳晃洋投手が、また最優秀打者賞には打率.556、安打30、本塁打30、打点29、塁打数57、さらに5度のMVPまで、すべてがトップだったオリックス・吉田正尚選手が選ばれています。
ちなみに、この2016年に参戦した横田慎太郎選手はホームランこそ1本だけだったものの、盗塁10は2位に4差をつけてのトップ!安打25と打率.379はともにリーグ4位の成績です。打率.379で4位なんですね。なんせ首位が.556という数字だけあって、みんな打ちまくりの年でした。
では、ことしの話に戻りましょう。16日に帰国した5選手の成績とコメントをご紹介します。
◆馬場皐輔投手「収穫は野手目線を知ったこと」
3試合(先発2) 13回 防御率3.46 0勝1敗
安打13 三振15 四球8 死球1 失点7(自責5)
台湾は暖かかった?「途中、寒くなりました。僕の2試合目の時は雨が降って寒かったです。気温が低かった。10度を切るくらいで」。そうそう、先発予定の12月5日が雨天中止で、翌日もまた流れて7日に中継ぎ登板したんですよね、あのあたりは気温が下がったとか。ましてやナイターはかなり冷え込んだでしょう。馬場投手は秋季キャンプでやってきたことを実戦で試すため、3試合とも全部違うフォームで投げたそうです。
「テイクバックの使い方などを、いろいろ試行錯誤の中で投げた感じですかね。結果を求めてはいたんですけど、今できることを中心にしていこうと。初回と2回は違うフォームで投げるとか、(中継ぎ登板だった)2試合目は真っすぐとスプリットだけでスライダーとカットボールは見せ球以外に投げないとか、そんな日もありました。球種のしばりをして自分に厳しく、スピリットだけでどう抑えるかとか。それで、どこまでやれるのかっていうのもやって」
その成果は?「課題は真っすぐだったので、このフォームだったらどこに力を入れて投げられてるとか、このフォームは力が抜けてしまって球が弱いとか。あとはコーチの方に聞いて改善しながら投げていて、下半身の使い方に関して今まで僕の中ではない感覚もあったりしたのでよかった。まだボールとしては結果が出ていないんですけど、いろいろな発見はできました」
他球団の選手との交流を尋ねると「ウインターリーグ中は先発ピッチャーも毎試合ベンチに入っていて、どっちかというと野手と打撃の話をしたんです。日本ではなかなかないけど、投げる日以外は全部ベンチにいたし、野手のミーティングも全部一緒に入って。今まではピッチャーだけのことだったのが、どうやってピッチャーを攻略するのかなど打者の考え方も勉強になりました。今回は打者目線で見させてもらった中でのピッチングをしようとしたので、ボールだけではなく頭の部分での成長も多かったと思います」
さらに「これからマウンドに立つときは野手の考え方も頭に入れ、また第三者の目で僕を客観視して投げることによって、今までとは違った考え方や配球にもなると思う。今まで焦っていたところで来年は焦らなくなったということが起きるかも。この打席はこういう意図があったとか、何を狙っていたのかとか、そういう細かいところも聞けた。自分にとって大きいと思います。登板数が少なかったけど、投げていない期間も充実できたのでよかった」と続けています。
最後に恒例の質問。台湾で苦労したことは?「食事面は日本と違っていたので苦労しました。お昼は毎日、ハンバーガーでした!それしかないので。また移動も結構あったり、ナイター、ナイター、デーゲームという日程も多かったので、それにうまく乗りながらできたかなとは思います」。結論として無難に完走できたということですね。
◆牧丈一郎投手「大隣コーチに教わったスライダー」
7試合(救援) 10回 防御率2.70 0勝1敗 ホールド2
安打11 三振8 四球3 死球2 失点7(自責3)
最初の登板だった11月24日のKBO戦は中継ぎで1イニングを投げ、4安打3失点(自責2)。負け投手となり防御率18.00で牧投手は「もう終わったと思った」そうですが、その後は自責点0の試合が続き12月8日の時点で防御率2.25まで上げました。そしてものすごく悔しがる自身のラスト登板が12月11日の味全戦。「あの試合で2回を0点に抑えていたら1.80やったんですよ~」。結果は2イニングで2安打1失点。そりゃ悔しいでしょうね。
「試行錯誤しながら、でした。秋季キャンプでやっていたことを最初はやろうとしていたんですけど試合とブルペンじゃまったく違って…。試合で抑えられるようにというのとプラス、やっぱりキャンプでやったことも無駄にしたらダメなので、キャンプでやってきたことを練習では今まで以上に意識して、試合はバッターと戦うっていうのをイメージしたら、このへんからよくなってきた」と振り返り、私が持つ資料を指差したのは11月29日、3試合目の登板でした。
キャンプでやってきたことは「真っすぐの精度を上げて、強いきれいな真っすぐを。フォームの部分でも右手の使い方とか、いろいろ」だそうです。それから急に「このウインターリーグは三振がメッチャ取れた方じゃないですか?僕のイメージですけど」と言うので、計10イニングで8個だと告げたら「あかんな。大したことないやん」。このやり取りは、あっという間に終了です。
台湾での収穫を聞かれると「他のチームのコーチとか選手に聞くことがいっぱいあって、どんなイメージで投げていますか?とか普段は聞けない、チームじゃないところの人の声を聞くっていうのを大事にしていました。その中で僕、大隣コーチからスライダーを教えてもらったんですけど、それが結構しっくりくるというか、カウントを取れる球になった。前のスライダーよりは確率がめちゃくちゃ上がったと思うんで」とのこと。
ロッテの大隣憲司投手コーチに教わったのは、どういうスライダー?「握り方を教えてもらって、こういう感じでリリースしたらいいんちゃう?みたいなことを言ってもらったのが、僕的にはよかったかなと思います」。投げてみて打者の反応は?「ボール先行になった時もツーボールからでもカウントを取れたりする場面があった。シーズン中、そういうとこ苦しんで真っすぐでいって打たれたりしたので、そういう面ではプラスになったかなと」
逆に課題は?「結構フォークで追い込んでから打たれることが多かったこと。追い込んでいるのに決めきれないとこがあった。最後、味全の時にフォークで三振を取ったやつは理想的だったけど、全部フォークが浮いたのを打たれたので。ボールが違うのもあるかもしれないけど、僕はシーズン中からそうで。追い込むとこまでいけるのに、追い込んでからが…ってイメージは自分でもあります。今後はそこですね。そこでちゃんと決め球が決まるようになったり、打ち取れればもっと楽に抑えられるかなと思います」
高山先輩の言葉を胸に
来季から育成契約になる牧投手。気合を入れて臨む?と尋ねると「ファームにいたら一緒なので。と高山さんに言われました」という返事。高山俊選手に?「育成になると伝えた時、『ファームにいたら選手寿命は一緒。まずは1軍で戦える力をつけろ』と言われたんです。ああ、そうやなと思った」
「別に(背番号)3ケタやから気にするとかはない。もう3年目ですし、周りの同世代も出てきている中で出られていないので、まあ焦るというか頑張らなあかんとこは一緒やと思うので。そんな3ケタに縛られることなく、ファームにいたら終わる時は一緒やな、ぐらいの感覚でやっていきたい」。そうですね。やることも同じ、1軍で必要な戦力になればいいわけです。
ちなみに、牧投手の海外経験は「中学時代にジャパンでアメリカへ行った。中学の時はすごかった」というわけで、今回同じチームだった中日の根尾昂選手も、その中学ジャパンの後輩だったんですね。「根尾は思っていたより、普通の19歳やなあって感じがした」と言うけど牧投手も1つしか変わらんでしょ。「いやいや、他球団の19歳はメッチャ可愛いですって!ここの19歳は変にませてるから」。それは…38番のことですね(笑)。
◆片山雄哉選手「プラスのことばかりだった」
14試合(捕手、一塁)
41打数16安打7打点 打率.390
本塁打2 盗塁1 三振5 四球6
※3試合で3安打
率を残そうと思って臨んだ?「どうですかね。始まる前から結果というのはこだわってやろうと思っていたので。ことし1年、数字には苦しみましたし、特に支配下になってから思うような結果が出せなかった。ことし1年の集大成として、今まで教えてもらったことと自分のやってみたいことをうまく融合させて、試しながら、挑戦しながらやった結果、いい方向に進んでくれたのがこういう形になったかなと思います」
期間中、技術面やメンタル面で上がってきたと感じるところは?「ものの見方が変わったというか、自分の価値観もすごく変わりました。距離的にしたらそう遠くない海外ですけど、野球に対しての価値観や、自分の人生にとっての人との接し方っていうんですかね。野球だけじゃなくて、人生においての価値観も、すべてについて考えさせられることがあった。いい意味で、すごくたくさんのことを経験させてもらいました」
初海外?「初めてです」。食べ物は?「大変でした。やっぱり我慢して食べようとしても、なかなか量は食べられなかったりとか。しんどい、しんどいじゃだけなんで(郷に入れば)郷に従えと、自分なりに工夫してやっていこうとはしましたけど。それでもなかなか難しいものはありましたし、苦労したことも…」
守備において新たな発見や課題は?「キャッチャーとファーストも守らせてもらって、どっちかというとキャッチャーの方が目立ったミスは多かったので、やっぱり自分の弱点というか苦手な動作など、改めてシーズン中に見つからなかったこともありました。いろんなコーチやスタッフの皆さんと話すと、自分をまた新しい目線で客観的に見てくださる方もいたので、それでまた新たな弱さも見つかった。いろんなことを見つけてくれましたね」
他球団のコーチや選手から教わったことも?「他球団のコーチに、そんな多くは言われなかったですけど、自分から聞きに行くことによっていろんなことを教えてもらいました。普段ない環境で、自分も新たな刺激を受けるプラスのよさがあった。もちろん他球団の選手を、この人はこういう練習をしているんだな、こんなバッティングするんだなと見ながらできたので、ほんとプラスのことばっかりでした」
規定未到達ながら打率.390はチーム1位ですねと言ったら「.390ですか!」と聞き返されました。正確なところは知らなかった様子。規定打席がいくらかわからないものの、おそらくあと4~7打席ほど足りなかった程度ではないかと思われます。もし到達していれば日本人選手トップで、リーグ2位に入ったかもしれない数字です。
◆熊谷敬宥選手「逆方向への打球に手応え」
14試合(二塁、三塁、遊撃、左翼、中堅、右翼)
44打数10安打10打点 打率.227
本塁打1 盗塁5 三振10 四球6 犠打1 犠飛1
※盗塁5はリーグ2位タイ
出発前に掲げた目標の“盗塁成功率”は、ある程度達成できた?「そうですね。盗塁の成功率はよかったと思うんですけど、なかなか出塁できなかったんで数は少なかった。でもその中でいい盗塁ができたと思うので、よかったかなと」。伊藤裕季也選手や根尾選手など、他球団の選手とのふれあいも?「野球に対して熱心な人がいたので、そこは見習う部分もありましたし、後輩が多くて楽しそうにやっているところも感じられた。楽しみながら野球をやれてよかったなと思いました」
今回、手応えは?「バッティングで逆方向に強い当たりを打てるようになってきたというのが一番の手応えで、このウインターリーグで一番、自分の中でも感じたことです。課題としてはツーストライクから最後までは持っていきましたけど、そのあと外の変化球を見逃して全然フォアボールを取れなかったというのもあったので、そこはまた課題が見つかってよかったのかなと思います」
逆方向へホームラン、あれで何かつかんだものが?「そうですね。あのホームランを打つ前から、まあ意識はしていましたけど、だんだん右方向に強い当たりが出てきて、あのアウトコースの高めをうまく叩けたかなという感じがした。あれも思い切り振っていっていない中で飛んでいった打球だったので、手応えというよりは、バッティングでそんなに力を使わなくても大丈夫なのかなと感じました。僕の悪い癖で、思いきり振ってしまう部分があるので、このウインターリーグでそういうことがわかってよかったと思います」
ちなみに台湾で困ったことはあったかと聞かれ「困りまくりです(笑)」と即答した熊谷選手。「普通の水でうがいもできないので、それがまず疲れました。あとは気温の上がり下がりが激しかった。昼は暑いんですけど、夜は急に寒くなったりとか。そういった面で、体調を崩すことはなかったけど、野球をする上ではちょっとやりにくいことがあった。でも日本よりは暖かかったので、野球をする環境としてはよかったかなと思います」
この時期まで実戦ができで来季に生かせそうな部分もあるのでは?「この時期まで野球ができたってのはすごくありがたいですし、いろいろ自分の中でも課題だったりが見えてきたので、それをしっかりオフの期間で妥協することなくやれればいいと思う。これを棒に振らないようにしっかりやっていきたい」
◆島田海吏選手「村田コーチのアドバイスで勉強」
16試合(左翼、中堅、右翼)
59打数21安打13打点 打率.356
本塁打3 盗塁4 三振9 四球4 犠飛1
※2試合でMVP(12月8日と13日の韓国戦)
※打率.356と安打21はチーム1位、リーグ5位
※13打点はチーム2位、リーグ4位タイ
※3本塁打はチーム、リーグ1位タイ
※12月8日~13日に5試合連続安打
※3安打が4試合(12月8日からは3試合連続)
「自分の中のテーマで、追い込まれるまではホームランを打ちにいくぐらい強く振って、追い込まれたら粘っこくフォアボールを選んだりとか、そういうスタイルを自分の中で見つけたくて。そういうテーマのもとに今回、自分でやってみたんですが、うまくいったのもあったし、またちょっと納得いかない打席も何個かあった。レベルが少し落ちる部分もあるんですけど、その中でも手応えというか、この大会での目標はクリアできたところはあったかなと思います」
異国の地でこんなに長くやって、なおかつ結果も出たのは自信になる?「そうですね、自信にはなりました。けど、やっぱりシーズンで打たないと意味がない。これを来シーズンにつなげないと、まったく意味がないと言っていいほどのものだと思うので。来季、結果を残すためのいいステップになるんじゃないかなと思っています」
追い込まれるまでは強く、追い込まれたら粘るというのは来季もそのスタイルでいこうという前提でやっていた?「そのつもりで、やってみてどうなのかなと今回試したかった。ホームランを狙いにいくというのは違うんですけど、強く振りにいった結果がそうなってくれたので、そこは勘違いしないように。(自分の)タイプとしては出塁率とかも求められると思うから。その中である程度、追い込まれるまでは振らないと相手に怖さも与えられないかなと。ウインターリーグではできたのかなと思います」
そのスタイルは自分でやってみようと思った?誰かに言われて?「いやもう自分で、ですね。ことしのシーズンも当てにいくことがすごく多かった。走り打ちというか、バッティングカウントで当てにいく形になってしまったり、すごくもったいない打席が多くて、フルスイングした結果が凡打という打席は少なかった気がする。ちょこちょこ当てられても多分ピッチャーは怖くないと思うので、ある程度しっかり振って追い込まれたらそのスタイルに変えればいいかなと思って、やってみました」
他球団のコーチや選手と話して印象に残ったのは?「巨人の村田さん(村田修一コーチ)です。初めの頃にちょっと打って、半ばくらいで打てなくなった時があった時に、間の取り方というか、トップを先に作っておくと対応しやすいんじゃないかと言っていただいた。それでまた自分の感覚が戻ってきて、最後まで安定して打てたと思います」。村田さんは小さい頃から憧れの存在では?「スーパースターです!おそれ多かったんですけど、とても気さくな方で。いろんな引き出しというか、いろんな考え方もすごく勉強になりました」
生活は?「意外と大丈夫でしたね。日本食も多くあって、すき家とか隣にあったので(笑)、選手もみんな結構行ってたんですけど。近くに食べるとこいっぱいあって何とかなりました」。台湾料理も?「小龍包がすごくうまかったので何回も行きました」。実は島田選手、大学の日本代表として台湾へ行った経験者なので、出発前に「心配ないですよ」と言っていました。「吉野家があるし」と。すき家へ行ったんですね。左足首も完治したようで何より。オフにしっかりケアしてください。
◆新井良太コーチ「みんなの成長を感じた」
阪神からは新井良太コーチ(来季から1軍打撃)と福本剛トレーナーも参加していて「今回は体調を崩す選手が出なくて本当によかったです!」と福本トレーナーはホッとした表情の帰国でした。最後は、新井コーチから聞いた野手3人の話をご紹介します。「みんなよかったよ。ほんとに成長していて。島田は打者有利カウントと投手有利カウントでの、その2つのバッティングの仕方がすごくよくできていた。片山も熊谷もそう。若いカウントではバーンと思いきり打ったり、追い込まれてからポイントを寄せての打ち方を覚えた感じはあったね。まあちょっとレベルは落ちるけど、その中で投げてくるボールは一緒だし。みんなよかったね」
現地に行ってから成長したんですか?「そうだね。打ち方のメカニック的なところも本人らが考えて変わっていた。フォーム自体もね。三者三様で。片山はバットを寝かせてラインに入るのがすごくうまくなったし、島田は構えた時点の体重の比率を後ろ足で構えるようになってボールを追いにいかなくなった。自分で“受けて”いるつもりが、ちょうど真っすぐ回転する。熊谷はアウトステップになっていたのがインステップにしようとするぐらいで、ちょうどステップが真っすぐになったからヘッドが使えるようになってきた」
そして「3人とも新たなことにチャレンジして、それがはまっていたかな」と締めた新井コーチ。来年は1軍担当となる新井コーチの前で今回の成果を披露できるよう、選手たちもきっと頑張るでしょう!
なお味全ドラゴンズには、阪神を退団した歳内宏明投手がいて、背番号75の赤いユニホームで投げました。前日に先発を告げられることもあったという状況の中、3試合を投げ1勝2敗、防御率2.63の成績。最終登板だった12月9日のKBO戦は5回2/3を投げて無失点、勝利投手となりMVPにも選ばれています。一足早く12月11日に帰国したとか。来年またどこかで投げる姿が見られる…みたいな話も聞きました。楽しみです。
※このウインターリーグに、阪神からもう1人参加していました。通訳の原田清一さんです。通訳という域をはるかに超える仕事ぶりだった原田さんの話は、こちらでご覧ください。→<阪神タイガース・原田清一通訳は台湾WLで八面六臂の活躍!>
<掲載写真は筆者撮影>