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明治大学・田中澄憲監督、コロナ禍においても「不安はないです」。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
取材に応じる田中監督(筆者撮影)

 昨季まで3季連続で大学選手権の決勝に進出する明治大学ラグビー部は、10月開幕の関東大学対抗戦Aへ調整中だ。

 8月下旬には福島でキャンプを張り、9月は他大学との合同練習も導入。プレッシャー下でのプレーぶりを確認している。

 12日は本拠地の明治大学八幡山グラウンドで慶應義塾大学と手合わせ。主力組、控え組とも、それぞれメンバーを入れ替えながら30分×2本の実戦形式トレーニングを実施。主力組の「スコア」は「33―26」と競った。明治大学は一瞬の隙を突く形でのスコアが目立ったが、慶應義塾大学の激しいタックルも光った。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――この日を振り返って。

「慶應義塾大学さんとやる時はタフなゲームになる。この時期にやれてよかったです。予想通り、うちの選手がガンガン、タックルを喰らっていましたから。やっぱり、あれを喰らわないとね。自分たちがトレーニングでやっているプレーが、ああいうプレッシャーのなかでどこまでできるかが大事なので。練習中も集中力がなかったことが最近、見られていました。こういうゲームをやって『プレッシャーのなかでトレーニングをしなくては』という認識をしてくれたんじゃないかと思います」

――マッチメイクの経緯。

「(通常通りの)夏合宿に行けないことが決まってどうするかを考えた時、10月の1週目に開幕するのではないかと言われていました。では、その前に3つくらい試合形式の練習ができたらなと。数多くは組めないので、強度の高いものを。それが、成長に繋がる…。だから慶應義塾大学さんと…となりました。もともとクリも知っている仲(対する栗原徹ヘッドコーチとは、サントリーでともにプレー)。連絡したら『やりましょうよ』となって。よかったですよ、やって」

――公式戦への選手選考は進んでいますか。

「まだわからないですけどね。きょうは雲山(弘貴、3年生フルバック。昨季からレギュラーでオフにはサンウルブズ=スーパーラグビーの日本チームの練習生となった)もリザーブでした。小島(昴、4年生フルバック)が調子よかったので。雲山も小島に対してプレッシャーを感じていた。雲山も足りないところはたくさんある」

――スタンドオフの山沢京平副将は、肩の手術からの復活に時間がかかっています。

「スタンドオフでは1年生の池戸(将太郎)もいて、2年生の齊藤(誉哉)も(昨年の公式戦を)経験している。問題ないかなと。(山沢副将は)対抗戦の中盤くらいかなと。早ければ前倒ししますが、コンディショニング次第です」

――箸本龍雅主将はロックからナンバーエイトに転向しました。

「自分のボールをもらう状況も今までと違う。戸惑いもあると思いますが、ゲームの中で課題をあげていこうという話はしている。自分で考えられる選手なので、いろいろとチャレンジして修正する感じでいいんじゃないかなと。ロックはいつでも戻せる。将来を考えてナンバーエイトにチャレンジしたらいいかなと。6番(ブラインドサイドフランカー)もあるんじゃないかなと思います。他の選手との兼ね合いもありますが」

――箸本選手が務めていたロックは、争いが激しくなりそう。

「片倉(康瑛)は固定されつつありますが、(それ以外は)固定はできないんじゃないかなと。山本(嶺二郎)は1年生で、片倉からすごく勉強している。彼もうまく育てながらやっていきたいです」

――実戦が少ないなか、セレクションの難しさは。

「僕は、試合(の出来だけ)で選手を選ばない。練習でやっていることを試合で発揮するわけですが、(試合の)パフォーマンスって相手によってとか、一緒に出ているメンバーの編成とかによって変わってくる。やはり、練習で一貫性あるプレーができるかが基準になりますね。昔からそうです」

――現在、部員たちは公共交通機関を使わず八幡山エリアを出ていないと聞きます。

「就職活動で仕方がなく(外出)という選手も事前に相談をもらっている。感染をしないよう、学生も一生懸命やっています。だから、(クラスターを発生させてしまった)天理大学さんが責められるというのは、どうなんだろうなと感じました。優しく見守ったら、と思うんです」

――卒業後にトップリーグでプレーしたい3年生にとっては、声のかかったチームの施設見学や練習参加をする時期ですが…。

「それは(各チームの採用担当者へ)車で送り迎えをしてください、練習には参加させないでくださいと頼んでいます。…そうしたら、××(移動に時間のかかる中部地区のチーム)もそうしてくれて! ありがたいです」

 チームは結局、9月下旬までに計3度の実戦機会を経験。本番を想定したベンチワークもシミュレーションしている。開幕直前は主力組、控え組に加わらない多くのメンバーのための実戦機会も作るという。

「こうなる(なかなか思うような活動ができない)ことは予測していた。計画して、試合数を設定して、あとは、焦らない。色んな事をするんじゃなく、段階的に取り組んでいく。そのなかで出た課題を修正していく。特に、不安というものはないです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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