中国ではパンダの顔認識も可能に
今やAI大国となった中国では、ジャイアントパンダの顔認識技術さえ研究が進められている。飼育されているパンダでの識別率ならば、すでに95パーセントに達した。技術をさらに進め野生パンダの保護に活用するという。
パンダの顔写真は6万枚以上
西華師範大学のジャイアントパンダの研究チームが先月発表した。研究チームに参加している張晋東研究員が、近日中国メディアの取材に対し詳細を明らかにした。
パンダの顔認識技術は、四川省にある3つ繁殖研究基地で飼育されている25頭の6万5千枚の顔写真のデータを基礎にした。すでに顔認識システムの確立に成功し、平均識別率は95パーセントに達したという。
この構想は2015年から進められてきたそうだ。
6万5千枚のパンダの顔写真を撮ったのは...
パンダの顔写真は、デジタルカメラや携帯電話で撮影されたもの。写真への要求は、それぞれのパンダの顔の特徴をはっきり捉えていること。エサを食べている時、休んでいる時、遊んでいる時など、様々な状態での顔の特徴が捉えられていれば、更に良い。
6万5千枚のパンダの顔写真は、同大学の6人の学生が撮影したという。
この技術により飼育基地にいるパンダは、いわば「身分」が確立される。管理に役立つと同時に、見物客にとっても個体を見分けやすくなる。
野生パンダの追跡方法は...
まだ初期的な技術にすぎず、飼育されているパンダにのみ適用できるというが、いずれは野生のパンダの保護に役立てるという。
野生のパンダの個体を区別するために、今も様々な方法が使われている。糞からDNAを採取する方法もあれば、麻酔を打ってGPSをつける方法もある。
しかし、前者は新鮮な糞を見つけるのが困難な上、人手もかかる。後者はパンダを傷つける恐れもある上、GPSの寿命は短い。顔認識はこうした技術的な問題を解決できるという。
顔認識が野生パンダを救う?
野生パンダに顔認証システムを適用できるようになれば、個体を識別した上で、長期間の追跡やデータ収集が可能になる。パンダの生活史や社会システムを研究する上でも大いに役立つという。
以下は余談だが、2017年6月に上野動物園でシャンシャンが生まれた際、日本のある大手新聞が、その家系図を顔写真入りで掲載した。私には、どれも同じパンダにしか見えず思わず吹き出してしまったが、写真の入手と「本人」確認に走り回ったであろう記者の苦労がしのばれた。
今後はパンダの担当を命じられた記者も少しはラクができるといいと思う。