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中国軍機がオランダ艦船に対しても威嚇

宮崎紀秀ジャーナリスト
オランダ軍のフリゲート「HNLMS Tromp」(オランダ国防省のHPより)

 東シナ海でオランダの艦船が中国軍機の威嚇行為を受けた。オランダ国防省は「潜在的な危険を生んだ」と非難した。中国が一方的な主張を既成事実化しようとするかのような傍若無人ぶりを見せているのは、尖閣諸島や台湾海峡だけではない。

中国軍の危険な行為とは...

 オランダ国防省の発表によれば、東シナ海を航行中の同国フリゲート「HNLMS Tromp」が7日、中国軍の飛行機2機に数回に亘って旋回行為を受けたという。更に、パトロール中の艦載のヘリコプターNH90が、中国軍の飛行機2機とヘリコプターから接近されたという。

 オランダ国防省は、これらは国際空域でおきたとして「潜在的な危険を生んだ」としている。同省はX(旧ツイッター)で中国軍機の写真を公開した。

オランダ国防省が公表した中国軍機の写真(同省Xより)
オランダ国防省が公表した中国軍機の写真(同省Xより)

 同艦は3月に出港し、半年に亘って世界を航行する任務の最中で、日本にも向かう。東シナ海の航行は、国連安全保障理事会の決議に基づき北朝鮮に対する海上制裁を監督する多国籍軍支援の一環だった。

 これに先立つ3日、中国外務省の報道官は、同艦が台湾海峡を通過したことについて質問を受け、「航行の自由の名目で中国の主権と安全を脅かすことに断固反対する」と反発していた。

 中国は尖閣諸島の周辺海域や台湾周辺の海域空域で軍事的な活動を活発化させている。フィリピンと領有権を巡って係争のある海域でも、我が物顔で実力行使している。偶発的な危険が生じる可能性さえ意に介さないかのような中国の傍若無人ぶりには、目に余るものがある。

ジャーナリスト

日本テレビ入社後、報道局社会部、調査報道班を経て中国総局長。毒入り冷凍餃子事件、北京五輪などを取材。2010年フリーになり、その後も中国社会の問題や共産党体制の歪みなどをルポ。中国での取材歴は10年以上、映像作品をNNN系列「真相報道バンキシャ!」他で発表。寄稿は「東洋経済オンライン」「月刊Hanada」他。2023年より台湾をベースに。著書に「習近平vs.中国人」(新潮新書)他。調査報道NPO「インファクト」編集委員。

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