台湾で大規模軍事演習。避難訓練は違反で罰金も
台湾で今日から、年に1度の大規模軍事演習が始まった。今年の演習では、実戦により近い状況として、事前にシナリオを用意せずに部隊は臨機応変にミッションを遂行する。
民間空港で訓練も
大規模軍事演習「漢光40号演習」は、夜間も含め今日から5日間に亘り行われる。初日の訓練は、戦力の保存や予備役や物資の動員などが主な内容。演習期間中には、旅行者にも馴染みの深い台北の松山空港や桃園国際空港での防衛訓練も行われる。
台湾国防部によれば、今回の訓練は事前にシナリオを用意せずに、部隊は状況に応じてミッションを遂行しなくてはならない。兵士には新たに改定された交戦規則を記したカードが配布されており、その運用も主な目的の1つ。
また国防部は、今回の漢光演習にあたり生成AI技術を活用したヴァーチャルキャスターを登場させた。フェイスブックやXなどのSNSを通じて日本語や英語も含む18か国語で情報発信し、国際的な情報伝達力を高めるのが狙いという。
訓練破りには高額罰金も
漢光演習に合わせ、全市民参加の大規模な避難訓練「万安47号演習」も始まった。「万安演習」は、中部、南部などの地域によって日を分けて行われ、台北を含む北部で行われるのは明日23日。午後1時半に鳴らされる警報と同時に、市民は地下駐車場などで代用されている防空避難施設や近くの建物内に避難し、警報が解除されるまでの30分間、待機していなくてはならない。
ちなみに台湾全土で防空避難施設は約8万3千箇所あり、5千514万人が収容できるという。これは台湾の人口の2倍以上に当たる。
避難指示が出ている間は、車やバスもピタッと止まる。もし路上をフラフラ歩いていたりすれば、警察官などから注意を受け、建物などに入るよう命じられる。これに違反すれば最高で15万元(約71万8千円)以下の罰金が科せられる。外国人や旅行者も例外ではないので注意しなくてはいけない。
この間、まるで都市の動きが止まったような光景が現れる。その様子を目にすれば、台湾における現実的な戦争の影を否応なく再認識させられる。