Yahoo!ニュース

菊池雄星のライバル!? FA&トレード候補の先発投手たち

宇根夏樹ベースボール・ライター
ダラス・カイクル May 7, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 パトリック・コービンは、ワシントン・ナショナルズから6年1億4000万ドルの契約を得た。ネイサン・イオバルディは、ボストン・レッドソックスと4年6750万ドルの再契約を交わした。ジェームズ・パクストンは、トレードにより、シアトル・マリナーズからニューヨーク・ヤンキースへ移った。

 けれども、FA市場にはまだ多くの先発投手がいる。トレードの噂が出ている先発投手も少なくない。彼らの動向は、菊池雄星の契約にも影響を与えそうだ。

 コービンとイオバルディの球団が決まった今、残るFAの先発投手トップ3は、ダラス・カイクル(前ヒューストン・アストロズ)、J.A.ハップ(前ヤンキース)、チャーリー・モートン(前アストロズ)だろう。カイクルはゴロ率が高く、2015年にサイ・ヤング賞を受賞した。ハップとモートンが2018年に記録した奪三振率は、それぞれ14位と8位に位置する。

 トレードが取り沙汰されている、コリー・クルーバー(クリーブランド・インディアンズ)、トレバー・バウアー(インディアンズ)、マディソン・バムガーナー(サンフランシスコ・ジャイアンツ)、ノア・シンダーガード(ニューヨーク・メッツ)、ザック・グレインキー(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)の5人は、いずれも2018年の防御率が3.30未満だった。これは、菊池が日本プロ野球で記録した3.08とほぼ変わらず、バムガーナー以外のK/BBは菊池の3.40を上回る。

筆者作成
筆者作成

 来シーズンについては、メジャーリーグの経験がまったくない菊池よりも、彼らの方が計算できる。

 ただ、菊池は来年6月に誕生日が来ても28歳だが、FAの3人にクルーバーとグレインキーは、すでに30歳以上だ。来シーズンだけでなく、その先を見据えれば、評価は変わってくる。

 また、バウアーとバムガーナーは菊池とほぼ同年齢だが、バウアーを保有できるのはあと2年で、バムガーナーは来シーズン終了とともにFAになる。菊池より若いシンダーガードも、FAまではあと3年だ。こちらも、4年以上の契約になるであろう菊池とは異なる。そもそも、トレードの場合、手に入れるのに必要なのが金銭ではなく選手という点も違う。

 こうしたことからすると、菊池に対する需要は、ストーブリーグを賑わせている他の投手と完全にかぶるわけではない。潤沢な資金を持つ球団であれば、必要な先発投手が1人でも、2人を入手する可能性も皆無ではない。30代半ばの投手と菊池なら、衰えのリスクと未経験のリスクをどちらも減らせる。ジャイアンツは、バムガーナーを放出し、菊池と契約しようとするかもしれない。延長契約を結んでバムガーナーを引き留めるのに比べれば、菊池を得る費用は少なくて済むはずだ。バムガーナーは、コービンと同程度かそれ以上の契約を求めるだろう。

 なお、インディアンズからの放出は、実現しても、クルーバーかバウアーのどちらかだ。チームメイトのカルロス・カラスコは、12月に4年4700万ドルの延長契約を交わした。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事