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DAZNの日本サービス開始からちょうど4年、コロナ禍のスポーツ動画配信サービスの現在

小野寺俊明スポーツPRコンサルタント/スポーツ企画工房 代表取締役
出典:OTTサービスとスポーツ観戦に関する調査レポート 2020

「DAZN」が日本でのサービスを始めた2016年8月23日からちょうど4年。普及が進むスポーツ動画配信サービスも、新型コロナウィルスの感染拡大で大きな影響を受けた。

2020年4月7日に緊急事態が宣言され、一部区域の変更があったものの、5月25日の全面解除まで、約1ヶ月半の間、日本国内では外出やイベント開催などに大きな制限が加わった。

その「ステイホーム」(外出自粛)の期間中の5月15・16日、スポーツ観戦に関心のある層(スポーツファン)と、スポーツコンテンツを放映している動画配信サービスの加入者を対象に調査が行われ、ニールセンスポーツが「OTTサービスとスポーツ観戦に関する調査レポート 2020」として発表した。

※OTTサービス

「Over The Top」(オーバー・ザ・トップ)の略語で、インターネットを通じて提供される動画や音声などのコンテンツ配信を指す

動画配信サービス全体の利用は1.5倍に拡大

調査によると、動画配信サービス自体の利用は拡大している。現在利用中の動画配信サービスは、昨年の調査と比較すると2.01個から3.18個と58%の増加。この理由として、

1 視聴デバイスの充実

スマートフォン、タブレット、スマートTV、スティック型プラグインの普及により、手軽に動画配信サービスにアクセスし視聴できるようになった

2 通信環境の充実

光通信の普及やモバイル通信の高速大容量化により、時間や場所に限定されることなく、安価で安定した動画サービスを楽しめるようになった

3 オリジナルコンテンツの充実

オリジナルのコンテンツや独占配信契約により、「ここでしか見ることができない」価値が高まった

といった理由から、世界中で地上波放送やケーブルTVに代わるサービスとして、動画配信サービスの市場が拡大している。これに加え、2020年は新型コロナウイルス感染拡大による「ステイホーム」を背景として、市場のさらなる拡大が進んだと考えられる。

2019年の調査では、「利用経験がある」動画配信サービスが4.15個に対し、「現在利用中」が2.01個だったが、2020年は「利用経験がある」が4.42個、「現在利用中」が3.18個。そのまま、継続して利用している人が増加していると思われる。

但し、2020年2~5月に加入が特に増加したサービスには、「AbemaTV」「Amazon プライム・ビデオ」「Tver」「Netflix」など、多くがスポーツに特化しないサービスとなっている。

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新型コロナ感染拡大はスポーツ動画配信サービスには逆風

「ステイホーム」の影響で加入者の増加が見られた動画配信サービスだが、スポーツに特化した動画配信サービスには逆風となった。

そもそも、スポーツ動画配信サービスの視聴者は、見たいスポーツの有無で入退会する傾向がある。そのため、シーズンの開幕に合わせ加入者が増え、終了すると退会する。今回の新型コロナの影響でシーズン開始が延期されたり、中止された影響は大きく、スポーツ配信サービスに影響が出ていると考えられる。

ちなみに現在、スポーツ動画配信サービスで観戦されているスポーツは、野球が44%、サッカーが40%と高く、テニスの17%、バスケットボールの12%。また、昨年のワールドカップで人気が高まったラグビーと続く。さらにF1などのモータースポーツ、プロレス/格闘技といった、無料放送の少ないスポーツが動画配信サービスで観戦されている。

これら人気のコンテンツが「ステイホーム」期間中は、日本だけでなく世界中で行われなかっただけに、改めてスポーツ動画配信サービスにとって厳しい環境になったと言えるだろう。

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スポーツ動画配信サービスの今後

無観客、もしくは観客数を制限した形でスポーツが再開されている現在、スポーツ動画配信サービスにも視聴者が戻ってきていることが予想される。たた、第2波、第3波と今後も新型コロナによる影響で、再びスポーツイベントが中止される可能性もあるだろう。

そこでスポーツのLIVEで配信が行われなくなった時、スポーツ動画配信サービスにユーザーが求めるコンテンツにはどのようなものがあるのか、その調査も行われている。

【加入者がスポーツ動画配信サービスで視聴したい関連コンテンツ】

・過去シーズンの試合・名勝負:32%

・珍プレー・好プレー集:28%

・チームにフォーカスした特集:25%

・選手個人にフォーカスした特集:23%

・過去シーズンの総集編:22%

・現役選手や元選手のインタビューや対談:19%

・選手によるプレー解説:18%

一方、LIVE配信で視聴中に求める機能も調査されており、それには「自由にカメラを切り替えられる」「試合の詳細データをリアルタイムで確認できる」「選手や監督、審判目線の映像」といった項目が上位に並んでいる。

様々な角度での臨場感ある映像や、データ・情報を確認できる拡張性が求められているようだ。今後は「5G」が普及することによって、大容量のデータ送信が可能となり、これらのサービスが実装されるようになるだろう。

また、動画配信サービスが浸透してきたことで、スポーツ観戦スタイルも少しずつ変化を見せている。調査によると、「いつでもどこでも」という観戦スタイルに加え、新たなスポーツや大会への興味拡大傾向が見られる。これに伴い、観戦時間や観戦ゲーム・チーム数も増えたと感じられている。

「ウイズ・コロナ」「アフター・コロナ」の時代、スタジアムやアリーナに足を運ぶ機会が減ることが予想される中、スポーツ動画配信サービスの役割がさらに大きくなることが予想される。

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※調査の対象となった動画配信サービス

「AbemaTV」「Amazon プライム・ビデオ」「Tver」「DAZN」「LINE LIVE」「スカパー!オンデマンド」「WOWOW メンバーズ オンデマンド」「J:COM オンデマンド」「パ・リーグTV」「J SPORTS オンデマンド」「RakutenTV」「バスケットLIVE」

記事内画像 出典:OTTサービスとスポーツ観戦に関する調査レポート 2020

スポーツPRコンサルタント/スポーツ企画工房 代表取締役

「スポーツPRコンサルタント」「スポーツWebサイトプロデュース」「スポーツライティング」を行う株式会社スポーツ企画工房代表取締役。スポーツ団体や選手、テレビ局のスポーツサイトを数多く立ち上げたほか、スポーツ団体やチームの運営・広報、SNSやWeb戦略のアドバイザーを務める。また、プロバスケットボール「bjリーグ」や卓球「Tリーグ」の設立に関わった。2006年から11年までは中央大学商学部客員講師としてスポーツビジネスを教えた。

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