過去のデータから見るFC東京、奇跡の逆転初優勝の可能性は?
J1リーグ第34節、首位の横浜F・マリノスと、2位のFC東京が優勝を懸けて直接対決する。リーグ戦最終節の直接対決で優勝が決まるのは、史上初めてのこと。すでに6万4000枚のチケットは完売。Jリーグ史上最多の観客も期待される、まさしく大一番となった。
【試合日程】
12月7日(土)14:00 日産スタジアム
横浜F・マリノス vs. FC東京
しかし、優勝の可能性で言うと横浜の絶対優位は動かない。東京が優勝するためには勝利だけでなく、4点差以上をつけなければならないからだ。
【J1順位】
1位 横浜 勝ち点67 得失点差+27
2位 東京 勝ち点64 得失点差+20
横浜は得点が「65」でリーグ1位、失点「38」は7位。一方の東京は得点が「46」でリーグ7位だが、失点が「26」で2位。守備に強みを持つ東京が、最強の攻撃力を持つ横浜から4点差をつけられるかという構造となった。
それでは過去のリーグ戦(ルヴァンカップ、天皇杯を除く)から様々なデータを見てみよう。
◆対戦成績は東京がリード、最近は2試合で4点以上を獲った東京
2000年3月11日の初対戦(アウェイの東京が1-0で勝利)からリーグ戦では、横浜の12勝8分17敗。日産スタジアムでは7勝2分8敗(ニッパツ三ツ沢球技場で1勝)と、通算成績は東京がリード。特にここ3試合、つまり、横浜がアンジェ・ポステコグルー監督になってから、東京は長谷川健太監督が就任してから、東京が3連勝となっている。
【2018年からの対戦成績】
・2018年07月22日 東京 5-2 横浜 味スタ
・2018月11月03日 横浜 0-1 東京 日産ス
・2019年06月29日 東京 4-2 横浜 味スタ
勝敗だけなら東京が有利と言え、味の素スタジアムであれば、4点差も期待できるデータだが、今回は日産スタジアムでの開催となる。
◆日産スタジアムで横浜が4点差で負けたことはない
1998年に日産スタジアムが開場して以来、横浜はここで4点差以上で負けたことはない。また、3点差で負けたことも以下の5試合しかない。
【横浜が日産スタジアムで3点差で負けた試合】
・2005年10月01日 横浜 0-3 大分
・2007年03月17日 横浜 1-4 神戸
・2010年11月23日 横浜 1-4 浦和
・2015年06月20日 横浜 0-3 鹿島
・2017年11月18日 横浜 1-4 C大阪
一方、東京がアウェイで4点以上で勝ったのは以下の3試合のみ。ちなみに2002年と07年は攻撃サッカーを掲げた原博実監督で、2006年はアレッシャンドレ・ガーロ監督。
【東京がアウェイで4点差以上で勝った試合】
・2002年10月12日 札幌 0-4 東京 札幌厚別
・2006年07月26日 C大阪 1-5 東京 長居
・2007年08月29日 広島 0-5 東京 広島ビ
◆どちらも勝率が悪い最終節。東京は過去に1度だけ4点差勝ち
ここ10年間の最終節(2015・16年はセカンドステージ最終節)の結果を見てみよう。横浜は2勝5分3敗。得点は「6」、失点は「8」。いずれにしてもロースコアのゲームとなっている
【横浜 最近10年間の最終節成績】
・2009年 山形 0-0 横浜 NDスタ
・2010年 横浜 0-2 大宮 日産ス
・2011年 横浜 1-1 鹿島 日産ス
・2012年 横浜 1-0 鳥栖 日産ス
・2013年 川崎 1-0 横浜 等々力
・2014年 東京 1-1 横浜 味スタ
・2015年 横浜 0-0 松本 日産ス
・2016年 浦和 1-1 横浜 埼玉
・2017年 浦和 0-1 横浜 埼玉
・2018年 横浜 1-2 C大阪 日産ス
一方の東京は3勝4分3敗で得点「14」、失点「11」。両チームとも最終節の勝率は良くない。ただ、2012年には4点差での勝利を記録している。この試合はルーカスとネマニャ・ヴチチェヴィッチが2得点、チャン・ヒョンス、渡邉千真が1点を獲っている。
【東京 最近10年間の最終節成績】
・2009年 新潟 1-1 東京 東北電ス
・2010年 京都 2-0 東京 西京極
・2011年 札幌 2-1 東京 札幌ド(J2)
・2012年 東京 6-2 仙台 味スタ
・2013年 東京 2-0 仙台 味スタ
・2014年 東京 1-1 横浜 味スタ
・2015年 東京 0-0 鳥栖 味スタ
・2016年 大宮 0-1 東京 NACK
・2017年 東京 0-0 G大阪 味スタ
・2018年 浦和 3-2 東京 埼玉
◆6万人を超える観客で横浜は2勝1敗、東京は未経験
今回、6万人超え確実と見られているが、過去、Jリーグで6万人を超えた試合は埼玉スタジアムで3試合、日産スタジアムで2試合、合計5試合しかない。そのうち3試合を横浜は経験し、2勝1敗となっている。
ただ、その1敗が2節を残し勝ち点4差で首位、勝てば優勝だった2013年の新潟戦。続く最終節も敗れ、優勝を逃している。その当時を知るのは、当時1年目だったキャプテンの喜田拓也と、この試合でユニフォームを脱ぐ栗原勇蔵の2人だけとなっている。
【横浜、6万人以上の観客が入った試合結果】
・2001年10月13日 浦和 0-2 横浜 埼玉
※6万0553人
・2008年03月08日 横浜 1-0 浦和 日産ス
※6万1246人
・2013年11月30日 横浜 0-2 新潟 日産ス
※6万2632人(Jリーグ最多記録)
※チャンピオンシップでは2004年横浜vs.浦和の6万4899人が最高記録
◆データを超える奇跡は起こるか
当然だがデータでは横浜の優勝が濃厚。また、東京は2トップの1角、チーム最多得点のディエゴ・オリベイラの欠場が濃厚、さらに永井謙佑も負傷を抱えており、右サイドバックの室屋成は出場停止とチームは満身創痍。
前節終了後、東京の長谷川監督も優勝は「1%、もっと少ないかもしれないが可能性がある限り、最後の1試合に全てを尽くしたい」とコメントした。
東京が奇跡を起こすとすれば、早い時間の先制点でスタジアムの雰囲気を変えること。それにはJリーグ最強の攻撃陣を抑えながらという、達成困難なミッションを同時並行で進めなければならない。
しかし、それがうまく行けば、あとはアウェイに駆けつけるであろう大サポーターがスタジアムの雰囲気を一気に変えてくれるはずだ。