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間近で見た天皇ご一家 ご家族で関心を寄せる動物たちの活動とは?

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
天皇ご一家(写真:毎日新聞社/アフロ)

9月21日に、都内のホテルで開催された、日本臨床獣医学フォーラム主催の学術大会。去年の大会に天皇ご一家がプライベートで出席されたことから、筆者も実際に訪れて取材しようと事前にチケットを購入した。

当日、会場であるホテルに向かうと、入口でテレビカメラが何台も並び、制服を着た警官らもあちらこちらにおり、物々しい雰囲気が漂う。

今年も天皇ご一家が出席されるかどうか、確証がないままに会場まで来たのだが、普段と違う周辺の様子から、間違いなくいらっしゃるであろうことを感じ取った。

◆間近で見た天皇ご一家のお姿

この大会は、既存の獣医学をさらに拡大し、人間と動物の幸せのための「伴侶動物」に関する医学を実践・発展することを目的として開催している。

獣医師や愛玩動物看護師、アニマル・ケア・スタッフ、獣医を目指す学生などに向けたプログラムが中心だが、一般の人が参加できる講演もある。天皇ご一家が出席されるのは、一般の人も参加できる講演だった。

ホテル内の会場ホールに行くと、ここにも私服警官らしき人が随所に立っていた。

荷物チェックを受けて中に入ると、次々と出席者たちが三々五々集まって来た。筆者は大会のスタッフから「前のほうのお席が見やすいですよ」と案内され、前から4列目の席に座った。

隣に座っていたのは、90代と70代だという上品そうな親子。以前、飼っていた犬がこの講演で登壇する、赤坂動物病院名誉院長の柴内裕子先生に診療してもらっていた縁から、聞きに来たのだという。

そして、講演の開始時刻が近づくと、遠くで何やらざわざわとした気配とともに、多くの視線が後方に向けられていることを察した。振り返ると周囲の人たちに挨拶しながら、天皇陛下と雅子さま、愛子さまが笑顔で入って来られた。

お三方ともマスクをされていたが、にこやかに微笑んでいらっしゃることが分かり、その場が一瞬にして柔らかな空気に包まれた。

会場にいる人たちから自然と拍手があがり、「愛子さま、かわいい!」という声も聞こえてきた。

講演では、89歳の現役獣医師である柴内裕子先生が、犬などの動物は社会で30種類もの仕事を担い、人間にとって家族の一員、社会の一員であり、大切な存在であることを軽妙なユーモアを交えて話し、会場には笑いが起こり、和やかなムードで進行していった。

途中、可愛いゲストたちも飛び入り参加。それは、高齢者施設や小児病院などを訪問し、セラピー犬としてボランティア活動に励む犬たち、チワワ、ボロニーズなどだった。どのワンちゃんたちも、見ているだけで癒されそうだ。

この活動は「人と動物のふれあい活動(CAPP)」と呼ばれている。活動に参加するには、犬の健康状態や性格、衛生面など、厳しい基準をクリアすることが求められる。

◆天皇ご一家が関心を寄せるセラピー犬

4年前に出した拙書『素顔の雅子さま』(河出書房新社)では、天皇ご一家の愛犬だったピッピがこの条件を見事にクリアし、セラピー犬としてCAPPの活動に参加していたことを書いた。ピッピは平成21年に天国に召されたが、その活動を現在の天皇ご一家の愛犬である由莉が引き継ぎ、定期的に小児病棟を訪れ、病と闘う子どもたちの心を癒しているという。

両陛下も理解を示し協力されている、セラピー犬。

天皇ご一家は講演で登場したワンちゃんたちの姿を、親しみを込めて見つめていらっしゃったことだろう。

愛子さまも成年の記者会見で、関心のあることについてこのように話されている。

「盲導犬や聴導犬といった働く動物たちにも、学校主催のイベントや、動物についてのフォーラムの折などに触れる機会がございまして、動物好きの私といたしましては、心惹かれるものがございます」

講演が終わると、両陛下は笑顔で会釈し、愛子さまも近くにいる人の目を見ながら、微笑んで応えていらっしゃった。

愛子さまはいずれ、ご自身の公務として、社会のために役立っている動物たちの活動に携わられる日がやってくるのではないだろうか。

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放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。西武文理大学非常勤講師。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)などがある。

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