米ハリケーンハンター基地で新型コロナ5人陽性
その昔『君の瞳に入りたい』と歌った人気歌手がいましたが、アメリカには「ハリケーンの目に入りたい」と考える人たちがいます。
ハリケーンハンターです。
ハリケーンハンターの第一の任務は、嵐の中心を突き止め、その気圧と風速を測ること。そのために、時に風速70メートルを超えるような巨大なハリケーンに突入し、雲の中を8時間以上も飛び続けるのです。ハリケーンの脅威から、人々の命・財産を守る大事な役目を担っています。
ところが今、新型コロナウイルスによって任務に支障が出る可能性が出ているといいます。一体どういうことでしょうか。
NOAAハリケーンセンターの基地
アメリカ海洋大気庁(NOAA)が所管するハリケーンハンターの本拠地は、フロリダ州レイクランドの空港にあります。
人気子供番組「マペットショー」のキャラクターからつけられた「カーミット・ザ・フロッグ」「ミス・ピギー」「ゴンゾ」の3機の航空機が、大西洋とメキシコ湾のハリケーンの正体を捉えます。
過酷な任務に似合わず、やけに緩い名前が印象的です。
新型コロナ感染
NOAAの報道官によると、基地で働く5人の職員が新型コロナウイルスに感染していることが12日(金)に判明したということです。
ワシントンポストによれば、この5人の職務の詳細は、プライバシー保護を理由に明らかにされていないようです。
ただこの5名が働いていたエリアは洗浄作業が行われ、濃厚接触者は2週間の自宅隔離を強いられていると伝えられています。
現在は最小限の乗務員数で、飛行前後の航空機の洗浄を増やし、医療担当官の監視も徹底してハンターの業務が行われているようです。
しかし狭い機内では複数の人たちが長時間閉じ込められ、これ以上にない「三密」状態となっています。課題は山積といえるでしょう。
ハリケーンハンターの正体
ところで、実際にハリケーンの目の中に突っ込むハンターには、どのような職種があるのでしょうか。
空軍が管轄するハリケーンハンターの場合、次の4つの職種があるようです。
まず、パイロット。次に、経路を決めるナビゲーターと、大気データを監視して航空機を嵐の中心に導く天気担当者。そして最後に、積荷を管理して、ドロップゾンデと呼ばれる気象測器からのデータを読み取る天気ロードマスターです。
では、一番気になるお給料はどのくらいでしょうか。ランクや経験年数、フルタイムかパートタイムかで変わるそうですが、年俸は3万~7万ドル(現在のレートで320万~750万円)くらいとのことです。
50年のキャリアでギネス保持者
ではもっともキャリアの長いハリケーンハンターは誰でしょうか。それは、ジェームス・マクファデンさんという、ロマンスグレーが素敵な気象学者です。
マクファデンさんは、1966年からの54年間で590個のハリケーンの目の中に飛び込み、世界一キャリアのあるハンターとしてギネスブックにも登録されています。直近の任務は、なんと彼が85歳の時だったそうです。
リタイアの予定はあるかという問いに、彼はこう答えています。「私には大きな趣味がないんだ。もしリタイアしたら、何をしたらいいかわからないよ。今やっていることよりも面白くて楽しいことってあるのだろうか。」
天高くハリケーンに飛び込む仕事は、マクファデンさんにとって、まさに「天職」だったようです。