「空気」で自分を変える2つのポイント
「自分を変えたい」2つのパターン
私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。企業の現場に入り、人を変え、組織を変えるのが仕事です。また、ライフワークとして、経営者やビジネスパーソンとの交流を促す大規模な「朝会」も手掛けています。このような異業種交流会を通じて、多くの参加者が自分を変え、人生を豊かにしている現実を長く目にしてきました。
さて現状の自分に満足せず、「自分を変えたい」と願う人は多くいます。ただ「自分を変えたい」という人の願望パターンは大きく分けると2種類あることは知っていますか。
1)ある目標を達成させるために「自分を変えたい」
2)今の自分に不満だから「自分を変えたい」
この2つです。
まず、前者のパターンはわかりやすいと言えます。たとえば仕事をしていくなかで、いずれ部長のようになりたい。3年後には新しい店舗を持つようになりたい……という明確な目標があり、その目標を達成させるために現状の自分を変えたいと願うケースでは、「もっとリーダーシップをとれるようになりたい」「もっとお金を貯められるよう節制したい」などと、どのような自分に変えたいかかが明らかです。
今は「四角形」の自分だけれど、いずれ「六角形」になりたい。だから角を増やしていきたい、とアクションプランも容易に見つけられます。
いっぽう後者は、単に今の自分が嫌い、不満、物足りない……といった漠然とした動機によるものですから、明確な目標がありません。自分がどうなりたいかも判然としないケースです。したがって、今の「四角形」の自分でなければ、何角形でもかまわない。「三角形」でもいいし、「八角形」でもいい。とにかく今の「四角形」だけはイヤ、という感じですからどのようなアクションをとったらいいかもわからず悶々とします。目指すべき確かなものがないので、自分を変えたいと願っていても、その「やる気」も上がらないことでしょう。
「やる気」アップより「その気」アップ
明確な目標があるケースでは、自然と「やる気」も出てくるでしょうが、そうでもないなら「その気」になる方策をとってみることを私は勧めます。
「その気」というのは、いつの間にか、いろいろな人に影響を受けたり、周囲の空気に感化されて「そのような気持ち」になってしまった後付けの感情です。「やる気を出す」とは言いますが、「その気を出す」という言い方はあまり聞きません。「その気になってしまった」とよく言うように、過去を振り返って確認してわかるものです。
自分自身で「やる気」を出すためには、自分の背中を自分で押さなければなりません。他方「その気」になるには、自分の背中を他人に押してもらう環境に身を置くか、その気になっている人たちと親しくなることが重要です。
特定の脳の神経細胞(俗称:ミラーニューロン)が原因で、人は近くにいる人の言動のみならず思考までも無意識にモデリングします。良くも悪くも周囲の人たち、そして空気に「感化」されていくのです。「場の空間」「空気」をうまく利用していきましょう。
それでは、どのような「空気」の場所へ出かけたらよいのでしょうか? 気を付けるべきポイントは以下の2つ。
● 過去の自分を知らない人が集まっていること
● 何らかの目標に向かって前向きに頑張っている人が集まっていること
めざすべき明確な目標があるならともかく、単に「今の自分を変えたい」という願望を持っているわけですから、当然「これまでの自分」を知らない人しか集まらない場所に出掛けましょう。そうでないと、正しく感化されません。
また、自分自身に明確な目標がなくても、その場所に集まる人は、何らかの夢や目標に向かって健全に頑張っている人たちがよいでしょう。社会人のスポーツチームに入ったり、何らかの資格をとりにいったりすると仲間と異様に盛り上がったりするものです。そういう「空気」に浸っているだけで、脳のミラーニューロンにより、徐々に影響を受けていくものです。
単に現状を変えたい、今の自分を変えたいと願っている人は、いつも「その気」にさせてくれる場所や集まりを探してみましょう。リアルな空間ではなく、フェイスブックなどのSNSを利用してもよいと言えます。自分の力を信じず、他人の力に頼る……。「空気」で自分を変える、という選択肢も持つべきなのです。