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デビュー以来16連勝を飾ったスーパーウエルター級

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 相手のジャブをヘッドスリップで躱すと、フルスイングで重い左フックを放っていく。自分の距離となれば、上下への右、そして左フックでプレッシャーを与え続ける。

 15戦全勝10KOのジョエイ・スペンサー(22)は、14勝(9KO)1分のメキシカン、ケビン・サルガド(25)とのサバイバル戦を迎えていた。

Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 サルガドも回転の速いコンビネーションを見せたが、スペンサーの防御は確かなものだった。スラッガーなだけでなく、パンチを食わない。とはいえ、自身のパンチもクリーンヒットは出来ない……そんな展開のまま、5ラウンドが終了した。

 決定打の無い試合に、会場からはブーイングが浴びせられる。

Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 6回、スペンサーは右ショートのカウンターをヒット。加えて、ノーモーションの右ストレートでもポイントを稼いだ。

 が、やはり試合はクリーンヒットが無さ過ぎるまま進んでいく。

 それは互いのディフェンス力の高さとも言えなくはなかったが、ファンを熱狂させるファイトではなかった。

 結局、99-91、100-90、99-91の3-0でスペンサーはデビュー以来、無傷の16勝をマークした。

Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 試合後、スペンサーは語った。

 「サルガドはパンチがあり、カウンターが上手い。だから我々は距離を保った戦い方を意識した。コンディションも作り上げたし、今日の勝利に誇りを持っているよ。

 経験を積んで、自分は成長していると思う。もっと試合をこなせば、自分の能力もアップするだろう。より攻撃力をつけたいね。次のファイトでは、トニー・ハリソン、ティム・チュー、エリクソン・ルビン、セバスチャン・フンドラ等と戦いたい。自分は最強の相手とやりたいんだ。ひとつの階級にチャンピオンは一人でいい」

 まだ22歳のスペンサー。試合の組み立てを学べば、飛躍する可能性はある。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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