新型コロナ オミクロン株BA.5による症状の特徴について 重症化する頻度やその時期は?
日本国内での新型コロナの流行が過去最大規模になっています。
第7波の主流であるBA.5に感染した人の症状の頻度や、重症化する頻度、そのタイミングなどについて、多くのことが分かってきました。
第7波はオミクロン株亜系統BA.5が主流
新型コロナウイルスは変異を繰り返しており、これまでに様々な変異株が出現してきました。
2021年4月からの第4波以降は、特定の変異株が主流となって流行を起こしています。
第4波はアルファ株、第5波はデルタ株、第6波はオミクロン株BA.1、そして現在の第7波はオミクロン株BA.5が主流となっています。
BA.5は2021年11月に出現したオミクロン株から分岐した変異株であり、感染力が強く、ワクチンを接種した人や、過去に新型コロナに感染した人も感染しうるという特徴があります。
このBA.5に感染した人はどのような症状が出て、どれくらい重症化しやすいのでしょうか?
BA.5に感染した人の症状の特徴は?
従来の新型コロナウイルスと比べて、オミクロン株では鼻水やのどの痛みなどの症状が多く、嗅覚・味覚の異常は少なくなっており、より風邪やインフルエンザの症状に似てきていることが分かっていました。
札幌市でBA.5流行期に感染した約4万人の臨床症状が公表されています。
この報告では、咳(62%)、のどの痛み(60%)、頭痛(41%)、38度以上の発熱(40%)、鼻水(40%)などが頻度が高い症状だったとのことです。
これらの症状がみられた場合は無理はせず仕事や学校は休んで、検査を受けるようにしましょう。
また、38度以上の発熱の頻度は年齢ごとに明らかな違いがあり、10代未満では約6割で発熱がみられたのに対して、70代以上ではわずか約15%のみが発熱がみられたとのことです。
一般的に年を取れば取るほど感染症にかかった際に熱が出にくくなる、と言われており高齢者の方は発熱がないからと言って必ずしも新型コロナではないとは言えません。
また、成育医療センターからの報告から、オミクロン株が流行して以降、小児のけいれんが増えていることが明らかになっており、重症化する頻度が低いとは言え慎重に様子を見る必要があります。
年齢ごとの重症化する頻度は?
広島県健康福祉局は、第3波から第7波までの新型コロナ感染者の重症化の頻度についてデータを公表しています。
これによると、中等症II(酸素投与が必要な状態)以上に重症化した感染者は、デルタ株が主流であった第4波が9.3%と最も頻度が高く、第7波では0.6%とこれまでで最も低くなっています。
最も重症化しやすい60代以上の高齢者についても第7波では3.5%にまで低下しています。
またワクチン接種回数ごとに見ると、60代以上の2022年7月の感染者のうちワクチン未接種者は8.3%が重症化しているのに対し、3回接種者は2.3%にとどまっており、ワクチン接種による重症化予防効果はBA.5でも保たれていることが分かります。
なおワクチン接種回数や基礎疾患などで調整すると、BA.5はBA.2と比べると1.65倍入院しやすいというデンマークからの報告もあり、BA.5の病原性そのものは従来のオミクロン株よりむしろ高い可能性が示唆されていますが、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある方の3回目・4回目接種が進んだことで第6波よりも重症化する人が減っているものと考えられます。
重症化するタイミングは?
従来の新型コロナウイルス感染症では、一部の人で発症から約1週間を境に重症化することがありました。
オミクロン株では重症化する頻度は低くなっているものの、これまでの新型コロナウイルスよりも早く症状が悪化することが分かっていました。
前述の広島県健康福祉局のデータでは、BA.5が主流である第7波の感染者では発症から中等症II(酸素投与が必要な状態)以上に悪化するまでの期間が、従来のオミクロン株よりもさらに短くなっており、6割の人が発症から3日以内に悪化したとのことです。
新型コロナでは発症してなるべく早いタイミングで治療を開始することで重症化を防ぐことができるため、これまで以上に早期診断・早期治療が重要になってきます。
また、新型コロナ自体の悪化ではなく持病の悪化や、細菌感染の合併(誤嚥性肺炎など)によって重症化している方も増えており、医療機関にとってはこれまで以上に慎重な評価と適切な対応が求められるようになっています。
一人ひとりの感染対策が大事
現在、日本国内における新型コロナの流行は過去最大規模になっています。
まさに「誰が感染してもおかしくない状況」と言えますが、感染してしまうと自宅療養が必要になりますし、重症化してしまうこともあります。
一人ひとりが、
・屋内ではマスク着用し、飲食の時間もマスクを外す時間をなるべく短くする
・3密を避ける
・こまめな手洗いを行う
といった基本的な感染対策を継続的に行っていくことが重要です。
また、3回のワクチン接種によって新型コロナへの感染予防効果・重症化予防効果を高めることができます。
オミクロン株ではワクチンによる感染予防効果が低下しており、3回接種をしていても感染することはありますが、3回接種している人では感染した際も排出するウイルス量は減少するとされており、周りには感染させにくくなると考えられます。
また高齢者や基礎疾患のある方は4回目の接種によってさらに重症化を防ぐことができます。
自分自身を、そして周りの人を守るためにも、引き続きワクチン接種をご検討ください。
※大阪大学大学院医学系研究科では、新型コロナに感染したことのある方の後遺症の症状について継続的に調査を行っています。これまでに新型コロナと診断されたことのある方は、こちらからアプリをダウンロードいただきぜひ研究にご協力ください。