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首位打者の直後にトレードは前代未聞!? ジャッジの三冠王を阻んだ選手が放出される

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルイス・アライズ Jul 8, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨年の首位打者が、今年は違うチームでプレーする。

 ミネソタ・ツインズは、ルイス・アライズをマイアミ・マーリンズへ放出し、その見返りとして、先発投手のパブロ・ロペスとマイナーリーガーの野手2人を獲得した。

 昨年、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)は、打率.311、62本塁打、131打点を記録した。それぞれのリーグ順位は、2位、1位、1位だ。打率.316のアライズがいなければ、ジャッジは三冠王となっていた。

 首位打者を獲得し、直後のオフにトレードで移籍した選手は、アライズが初めてではない。1901年以降、見落としがなければ、アライズは7人目だ。

 1933年11月のチャック・クライン(フィラデルフィア・フィリーズ→シカゴ・カブス)、1953年1月のフェリス・フェイン(フィラデルフィア・アスレティックス→シカゴ・ホワイトソックス)、1960年4月のハービー・キーン(デトロイト・タイガース→クリーブランド・インディアンズ)、1962年11月のピート・ラネルズ(ボストン・レッドソックス→ヒューストン・コルト.45s)、1977年2月のビル・マドロック(カブス→サンフランシスコ・ジャイアンツ)、1979年2月のロッド・カルー(ツインズ→カリフォルニア・エンジェルス)に続く。

筆者作成
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 6人目のカルーと7人目のアライズは、どちらもツインズに放出された。ただ、そこには40年以上のブランクがある。

 クラインとキーンは、トレード直前のシーズンが最初で最後の首位打者となった。フェインとマドロック、カルーのトレードは、いずれも2年続けて首位打者を獲得した直後だ。フェインの首位打者はこの2度だが、マドロックは1981年と1983年もピッツバーグ・パイレーツで首位打者となっている(ロッテ・オリオンズでプレーした1988年は、リーグ22位の打率.263)。首位打者7度のカルーは、1978年が7度目。ラネルズの首位打者は、1960年と1962年の2度だ。アライズは、昨年初めて規定打席に到達した。

 また、1933年のクラインは、首位打者に加え、3年連続4度目の本塁打王と2年ぶり2度目の打点王も獲得した。三冠王となった直後のトレードということだ。1959年に首位打者を獲得したキーンは、同じ年の本塁打王、ロッキー・コラビトと交換された。

 なお、ツインズがアライズを放出した理由については、トレードの直前にこちらで書いた。

「昨年の首位打者をトレードで放出!? 26歳と若く、FAまでは3シーズン」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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