阿蘇山を擁する熊本県は温泉資源が豊富で、黒川温泉を筆頭に名湯がそろう。

ところが、その温泉レベルに比べて、全国的な知名度が低い温泉地が多いのも事実。

そこで、今回はソロ温泉（ひとりでの温泉旅）で訪ねたい熊本県の温泉地を５カ所紹介したい。

満願寺温泉（熊本県）

南小国町にある川沿いの小さな温泉地。名物は川湯。川岸につくられた簡素な湯船は、まさに川の中に入浴している気分になる。混浴で目隠しも何もない開放的すぎる湯船だが、足元から湧出する極上の源泉が楽しめる。湯船の隣では、地元の人が温泉を利用して洗濯や野菜を洗ったりする光景が見られるなど、日本の原風景ともいえる温泉地だ。

平山温泉（熊本県）

山鹿市にある静かな温泉地。土産物屋や飲食店が集まっているわけでも、象徴的な温泉街が形成されているわけでもないので、あまり目立たない存在だが、泉質は九州でもトップクラスの「美人の湯」。ヌルヌルとした肌触りの源泉は、一度入ったら忘れられない超個性派。小さな宿が多く、ひとり旅にもやさしい。

日奈久温泉（熊本県）

昭和レトロな雰囲気が魅力の温泉街には、15軒ほどの旅館と2軒の共同浴場、日帰り専門の温泉もある。もともと湯治場の性格をもつ温泉地なので、華やかさはないが、静かで落ち着いた湯の街情緒を味わいたい人にはおすすめ。おすすめは、旅館幸ヶ丘。現在は日帰り入浴のみだが、硫黄が香る源泉が大量に投入されており、気持ちいい。

杖立温泉（熊本県）

杖立峡谷の両岸に宿がびっしりと並び、白い湯けむりがあちこちから立ち昇る。温泉情緒あふれる景観が魅力の温泉街である。春には川を横断するように鯉のぼりが泳ぐ。その景色は圧巻。アットホームな宿が多いので、一人でも気後れすることは少ない。

湯の鶴温泉（熊本県）

水俣市の山中に湧く川沿いの温泉地で、昔ながらの湯治場の風情を残す。夏は蛍が飛び交うような自然に恵まれた環境だ。懐かしさを感じさせるレトロで小さな宿が多く、透明湯がかけ流しにされている。もっと全国的に知られていい名湯である。