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今夜以降、再び特別警報の可能性も。線状降水帯に厳重警戒。

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
豪雨で増水した河川(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

再び大雨特別警報の発表も

報道発表資料の抜粋(気象庁)
報道発表資料の抜粋(気象庁)

記録的な大雨に見舞われた佐賀県、福岡県、長崎県に出されていた大雨特別警報は、午後2時55分に全て解除されました。

しかし気象庁から出された報道発表資料には、上記赤線のように、再び大雨特別警報が出される可能性も指摘されています。

その文言には線状降水帯の文字がありますが、けさ記録的な大雨をもたらしたのもこの線状降水帯。今夜以降、再びこの線状降水帯が発生する可能性があります。

今は小康状態だが・・・

レーダー(気象庁)と雲の様子(ウェザーマップ)
レーダー(気象庁)と雲の様子(ウェザーマップ)

午後4時現在のレーダーをみると、九州北部では、所々で本降りの雨は降っているものの、活発な雨雲はみられなくなり、大雨特別警報の解除にむすびつきました。

しかし九州の西海上、朝鮮半島の南あたりには、黄色や一部赤色に見える活発な雨雲が顔を出しています。

このあたりの雲をみてみると、再び真っ白に見える積乱雲の集団が発生して、東に進んできている様子がうかがえます。

これは危険な兆候です。

再び線状降水帯が発生か?

雨雲の予想(ウェザーマップ)
雨雲の予想(ウェザーマップ)

今夜以降、再び九州北部付近で雨雲が発達し、時折、線状降水帯のような雨雲となり、強弱を繰り返しながら、九州北部付近に停滞する見込みです。

この線状降水帯のような雨雲が発生しても、1時間程度で弱まれば極端に危険度が増すことはありませんが、報道発表資料に書かれているように、このような雨雲が数時間停滞してしまうような場合には一気に危険度が上昇することになります。

そして今の技術では、どこでいつ、どれ位の時間にわたり、このような線状降水帯が発生するかを正確に予測することは非常に困難となっています。

ですから、これまで大雨の降った所を中心に、このような危険な雨雲が発生するかもしれないという最悪の状況を想定しての行動がとても大事になります。

想定雨量の2倍も降ってしまう線状降水帯

24時間降水量(ウェザーマップ)
24時間降水量(ウェザーマップ)

上図はきょう午後4時までの24時間降水量です。

赤い柱のたっている佐賀県や長崎県ではアメダスで300ミリ~400ミリを観測し、レーダーやアメダスなどを使った解析雨量では500ミリ以上に達したところがあります。

昨日気象庁が予想した24時間の最大雨量が250ミリでしたから、その2倍も降ったところがある計算です。

過去にも、線状降水帯が発生し、数時間居座ると、このように予想雨量の2倍以上の大雨となってしまったことが多々あります。

きょう夕方に発表された大雨情報によると、あす木曜日の夕方までに、最大で、九州北部や東海で150ミリとなっています。

ただ線状降水帯の振る舞い次第では、けさのような状況も考えられるため、レーダーなどで実況の把握に努めるとともに、引き続き、早めの避難行動をとって頂きたいと思います。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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