モトローラの「画面自己修復スマホ特許」の報道について
「スマホ画面、割れたら『自己修復』で復活? モトローラが特許を取得」というニュースを読みました。画面のひび割れを自動的に修復するスマホの特許を取得したというニュースです。
この記事の元はForbes日本版の2020年12月8日付けの記事です。そして、この記事は、英国のテクノロジー特化メディアwonderfulengineering.comからの転載となっていますが、これに相当する記事は2017年8月19日付です。なぜ、今頃になって3年以上前の記事を引っ張り出してきたのでしょうか?
そして、当然ながらこの特許も3年前(2017年8月10日)に登録されたものです。とは言え、画面を自己修復できるスマホというアイデアはちょっと魅力的なので中身を見てみることにしましょう。
特許番号はUS10001878B2、発明の名称は、Method and device for detecting fascia damage and repairing the same(スマートフォンのカバーの破損を検出して修復する方法および装置)です(fasciaとはイギリス英語で「スマートフォンのカバー」を意味する言葉だそうです)。
画面カバー(タイトル画像の201)を形状記憶ポリマーで作り、熱素子のグリッド(タイトル画像の図には入っていません)をカバーに隣接させて配置し、アプリの制御によりカバーの破損部に選択的に熱を加えて修復するというのが発明のポイントです。
私の知る限りこの発明が実際の製品に適用された例はないと思います。透明度が高く、タッチにも応答できる形状記憶ポリマーの素材があるとは思えないですし、そもそも、カバーを安価な素材で作って、ヒビが入った時には丸ごと交換した方が、熱素子でどうこうするよりもはるかに安上がりなので、完全にアイデア倒れという気もします。とは言え、後になって画期的な素材が登場して急に現実的になる可能性もないわけではないので、特許ポートフォリオの一つとして押さえておくこと自体は悪いことではありません。