北朝鮮が新型の超大型ICBM「火星17」を公開
3月25日、北朝鮮は前日の24日に発射した新型ICBM「火星17」を公開しました。車載移動式としては破格の大きさの11軸22輪の移動発射機で運搬する超大型ICBMです。固定サイロ式ならば他国にもっと大きなICBMがありますが、車載移動式では世界一の大きさです。
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3月25日に北朝鮮から公表された3月24日発射試験の飛行データは以下の通りです。
- 最大高度6,248.5km
- 水平距離1,090km
- 4,052秒間飛行
これを仮に最もよく飛ぶ最小エネルギー軌道で飛ばした場合、最大射程1万5000kmを優に超えます。なお他には特に新しい情報は無く、MIRV(複数個別誘導再突入体)の試験は行われていなかったようです。偵察衛星の試験というような説明も無く、単純に新型ICBMをロフテッド軌道で発射試験したという説明です。
以前は北朝鮮はロシア式に「大陸間弾道ロケット」と呼称していましたが、最近は普通にミサイルと呼称するように用語が切り替わっています。なお新型ICBMの名称が「火星17」だったのは、昨年に平壌で開かれた国防展覧会「自衛2021」で判明していた通りでした。
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火星17は発射時に移動発射機と台座を切り離すことなく、そのまま発射しています。
火星17の第一段ロケットは液体燃料式ロケットエンジンの主噴射ノズルが4個あります。クラスター式で、火星15の主噴射ノズルが2個だったのに比べると2倍になっています。
火星17のノーズコーンには新しくマーキングが施されています。手前の金正恩氏と側近が歩く様子は、まるでハリウッド映画のようで、演出を意識したものとなっています。
起立する火星17。移動発射機(TEL)は凄まじい大きさです。ミサイルの台座はかなり高く、膨大な噴射炎から移動発射機を守る意図なのかもしれません。
台座の中間部分に三角形の構造物が見えるので、これで噴射炎を左右の横に受け流すのでしょう。