Yahoo!ニュース

【アジアカップ】韓国サッカーファンは「日韓戦実現」をどう展望しているのか まさかの「ホンネ」も…

(写真:ロイター/アフロ)

アジアカップベスト16で日韓戦が実現するのか――。

韓国サッカー界でもこの話題で持ちきりだ。じつは24日の日本―インドネシア戦の結果で韓国の決勝トーナメント進出が決まった。韓国はすでに勝ち点4を獲得しており、25日のグループリーグ最終節の結果、万が一グループ3位で突破することとなっても勝ち点3のインドネシアを上回ったためだ。

25日のグループEの最終節の結果により日韓の運命が決まる。先にグループリーグを終えた日本が2位となったため、25日に最終節を戦う韓国が1位となればベスト16(決勝トーナメント1回戦)での対戦が決まるのだ。

【グループE】

順位チーム   勝 分 負 得点失点差勝ち点

1ヨルダン 1 106244

2韓国    1 105324

3バーレーン  1 0123 -13

4マレーシア  0 0205 -50

韓国は25日夜の最終節で最下位マレーシアと対決。ここまで2敗、無得点の相手だ。いっぽう鍵を握るのが現在首位(21日に韓国と引き分けた)ヨルダンの状況だ。最終節で実力的に近いと思われるバーレーンと対戦する。

何せこのヨルダン、実に「不安定」なチームなのだ。大会でのここまでの結果は1勝1分け。マレーシアには4-0と無難に勝ち、韓国と2-2のドロー。いっぽう大会前の1月9日には日本に1-6と大敗を喫したかと思えば、その3日前には開催国カタールに2-1の勝利。それ以前の2023年秋にはサウジに敗れ、日本が敗れたイラクに引き分けている。

ヨルダン―バーレーンの接戦が予想されるなか、韓国はマレーシアに楽な展開で勝利。韓国1位の可能性が高いのではないか。

つまりはベスト16で日韓戦が実現――。これがおよそ韓国側の見立てだ。ユルゲン・クリンスマン監督もまた、24日に現地で取材に応じ「どの国も避けることはない」と発言。ゴール数などを調整し、2位を狙うような戦いはしないことを明言している。

韓国サッカーファン「日本とやるならベスト16でやったほうがいい」

では、日本との対戦が高いと見る韓国のサッカーファンたちはこれをどう見ているのか。韓国のこの手の情報を入手するのは最大のポータルサイト「NAVER」をチェックするのが確実だが、スポーツ記事コーナーは、コメント欄が閉鎖されて久しい(かなり荒れたため)。

すると関連のYouTubeのコメント欄からこれを探ることとなる。20日の一般ファンによる「日本、衝撃的敗北!アジアカップ16強で韓日戦実現可能性が実に68%まで肉薄!」という投稿が、最も早く日韓戦実現可能性について言及されたものだった。コメントも300以上蓄積されていっている。ここでの反応を見てみよう。リアクションの多い順に紹介する。

「16強で対戦する方が決勝よりも絶対に有利です。韓国ファイト!」

「早く対戦して決着をつける方がヨーロッパ組には良いでしょう」

じつに多くを書き込んだ戦術分析も見られた。

「日本は、ベトナム戦に続いてこのような(イラク戦負け)実力なら、韓国と対戦した時、日本の守備は息をするのも難しく見えます。韓国の最前線のプレスとスピード、フィジカル、決定力を完全に防ぐのは難しそうです。今大会でのこれまでの韓国は、日本とは違って裏に通すパスが頻繁に成功し、チャンスシーンも多く作りましたし、セットプレーでもチョ・キュソンのヘディングから決定機を生み出しています。日本の守備不安がこれほど多いのなら、ラインを上げるのは難しそうです。さらに日本はライン間の間隔が広がるでしょう。いっぽう日本の長所の一つは、2列目の人材の豊富さですが、仮に決勝で対戦したのなら韓国は体力的に消耗した状態にあり、ここでの対決が不利になります。しかしベスト16での対戦なら韓国の消耗も激しくはない。弱みを突かれない意味でも『対戦するなら16強』だと思います」

もちろん、日本へのライバル心むき出し、といった投稿もあった。

「これは運命的な出会いと言えるかもしれませんね... アジアの主導権をはっきりと示してほしいです。ヨーロッパのメディアの予想で、アジアカップ1位を日本としているところが多いのは信じられないほどでした」

「試合日程や体力を考えると、決勝よりも16強で対戦する方が良さそうです。これとは別に日本が次の試合でも負けて(24日のインドネシア戦前の投稿)グループリーグ敗退することを願っています。」

「日本ぐらいなら我々が勝つと思います。(負けたとしても)ヨーロッパ組が早く(所属クラブに)復帰するのも良いです」

「結局、優勝に挑戦するためには越えなければならない山です。16強でも決勝でも破りましょう。今日のイラク戦では日本の選手たちの必死さを感じられませんでした。我々が勝ちます」

一方で「現実的見通し」にも多くの読者の反応が集まった。

「日本も韓国も優勝でなければ意味がない。どうせ優勝できないなら早く脱落して所属チームに復帰した方が良い。16強で対戦するのがお互いに最高です。警告累積や怪我のようなものも少ないので、真剣勝負になります」

「良かったです。16強で対戦しましょう。負ければソン・フンミンのEPLの試合を早く見ることになりますし、勝てば優勝することになります。悪くないですね」

「私はむしろ良かったと思います。16強で対戦すれば、結果がどうなっても、優勝するか脱落するか早い結果が悪くないと思います。優勝すればなお良く、脱落すればヨーロッパのリーグに集中できるので、良いと思います」

冷静に「体力が残っている段階の対戦のほうが有利」という分析も。

「我々が決勝に行くという保証もなく、決勝で対戦する可能性より、16強で早く対戦できる方がむしろ良いと思います。残りの試合は怪我なく最善を尽くしてほしいです」

「日本はローテーションスクワッドが豊富なのに対して、我々はやはり選手層の格差があるので、我々が体力が良い時に早く対戦する方が有利だと思います」

「どうせ対戦するなら、日本が混乱している時に対戦する方がずっと良いですね。」

最後に、中東での大会という点を考慮した意見も。

「私は中東でイラクと対戦しない方が良いと思います。きょうのイラクを見ると、空中戦が良かったです。イラクも簡単な相手ではありません」

かつてのような「宿敵に勝つ」といった意気込みは少なく…意外と淡々とした見方が強い。「負けても主軸が早くヨーロッパに戻れる」という”ホンネ”はいやはやなんとも言いようがなく…。

韓国は伝統的に日本よりもアジアサッカーへの関心が高く、W杯予選でも他グループの動向がよくサッカーファンの話題となる。昨年5月、今大会のドローが発表となった際に現地記者のYouTubeチャンネルにゲストで呼んでもらったことがある。その時点ですでに「組分けについてどう思うか?」「日韓戦が実現するなら決勝だけどどう思うか」と聞かれ、「うーんあんまりどうこうってのはないです…」「まだまだ先の話なんで」といったことを答えた記憶がある。つまんない回にしてしまったな…と反省していたところ、アップされた動画のタイトルは「日本記者、ソン・フンミンとの対決を望む」と打たれていた。

あれから8ヶ月、まさかこんなこととなるとは…ちなみに日韓戦が実現すれば、ソン・フンミンが日本相手にピッチに立つのは13年ぶり(2011年アジアカップ準決勝で後半37分に交代出場)なのだそうだ。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

吉崎エイジーニョの最近の記事