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徹底討論! SNSの使い方が最も上手いJリーガーは誰か?

村上アシシプロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント
栃木SCのマーケティング戦略部部長の江藤美帆氏に話を伺った(スタッフ撮影)

スタートアップの経営者から栃木SCのフロントへ転身したえとみほこと、江藤美帆氏をお招きして、SNSの使い方を見習うべきJリーガーは誰かについて話を伺った。

栃木SCでSNS講習会を企画

アシシ:別の記事ではツイッターでの炎上ネタについてお話しをしていただきましたが、ここからはプロサッカー選手におけるSNS活用法について話を伺います。先日、栃木SCの選手向けにSNS講習会を開いたそうですね。

えとみほ:私の元上司に講師をお願いしました。私が講師をするとかなりアグレッシブなノウハウになってしまうので。

アシシ:炎上上等のテイストになるのも問題ですからね(笑)。

えとみほ:ある程度安全に運用できる人がいいなと思って、元上司は今も大手企業のツイッター系のコンサルをやっているので適任かなと。

アシシ:どんなことを講義してもらったんですか?

えとみほ:大きく分けるとふたつあって、ひとつ目はこれやっちゃダメだよというお話。例えば先日、イニエスタの出場情報がSNSで漏れて、神戸の選手が謹慎処分になったじゃないですか。スタメン情報の漏えいはもってのほかだし、他にも特定の固有名詞を出して批判しないとか、震災の時にはツイートを控えるとか、基本的な「やっちゃいけないこと」を具体例を出しながら教えました。ふたつ目は逆にこういうことをやったらいいんじゃない?というポジティブな話ですね。

アシシ:選手は現役の時が一番チヤホヤされて、人気が出る時期じゃないですか。プロスポーツ選手はインスタをやるべきだというえとみほさんのコラムを先日読みました。

えとみほ:黙っていてもメディアが追いかけてくれるようなアスリートは別ですが、そうじゃない選手はSNSを使って自己発信している方が何かと得する場面が多いんじゃないかと思います。まずメジャースポーツなら現役選手っていうだけで、SNSの認証マークがもらえて、フォロワーもガンガン増えますから。

アシシ:今から人気をストックしていかないと、引退後に大変な思いをするっていう認識を現役選手は全然持ってないじゃないですか。

えとみほ:驚くほど持ってないですね。あんまり彼らは自分たちの価値、例えば影響力の強さに気づいていないですね。SNSも「友達とコミュニケーションを取るためのツール」という認識ですし。

アシシ:選手って1日の練習が90分とか制限されているわけじゃないですか。2部練してもたかだか稼働は3~4時間。非稼働の時間がそんなにあるんだったら、もっとSNSやればいいのにと思うんですよね。

えとみほ:たまにSNSを更新する暇があったら競技に集中しろという批判もありますが、めいっぱい練習に時間を使ってもまだあり余っているはずなんですよね。だからそういう批判は的外れなんじゃないかと。

SNSの使い方が上手いJリーガーは誰?

アシシ:ここからはSNSの使い方を見習うべきJリーガーの話をしたいなと。コンサドーレだと都倉賢選手がかなり積極的にSNSをやっています。

えとみほ:Jリーグで一番インスタの使い方が上手いなと思って見てますよ。

アシシ:あれは嫁の影響がデカいですよね(注:都倉選手の奥さんは村上萌さん)。

えとみほ:そうですね。インスタの世界観を理解していて、スポーツ選手の発信というよりもタレントっぽいというか、私生活もうまく見せているじゃないですか。見せ方が綺麗で、あれはやっぱり奥さんの影響だろうなと。

アシシ:フロンターレの中村憲剛選手のツイッターも特徴的ですよね。いつも試合終了後すぐに活躍した選手の写真付きで勝利報告ツイートをしてます。速報性という観点でいくと右に出る者はいないです。他にSNSをうまく活用していると感じるJリーガーはいますか?

えとみほ:この間SNS講習で来てくれた私の元上司がベガルタ仙台のサポーターなんですけど、関口訓充選手がいつも地元の行ったお店ののれん前で写真を撮ってタグ付けして投稿しているそうです。お店の人は嬉しいし、サポーターもそのお店に行ってみようかなと思うだろうし、地元の人に愛されるような使い方はいいなと思いますね。

アシシ:スポンサーやファンを増やすためのツイートは、サポーターにとっても非常に好感度高いですね。

えとみほ:あと、浦和の槙野智章選手はすごいなと思いますね。彼の場合、フォロワーを増やす術を熟知しているというか。有名人と会う時に、その人とのツーショット写真で絶対タグ付けするんですよね。そうすると、普段サッカー見ない層にもアプローチできて、そこからフォロワーが増えるわけで。「送客」の観点でいくと、都倉選手もチャナティップとよくSNS上で絡んでますよね。

アシシ:とっくん(都倉選手の愛称)の場合、タイ人のフォロワーが昨季から劇的に増えたようですよ。

えとみほ:人との絡み方とか、フォロワーの増やし方をよくわかっているなと思います。

アシシ:とっくんは試合に負けてもツイッターで投稿するんですよね。あの姿勢は偉いなと。

えとみほ:すごいですよね。先日のSNS講習の時に、負けた時に発信してもいいのかという点が議論になったんです。私の元上司は負けた時はしない方がいいっていう派なんですけど、私はケースバイケースかなと思います。それって所属しているクラブにもよるのかなと。結論としては、負けてブーイングが出るクラブはやらない方がいいかなと。

アシシ:とっくんは、勝利した時は写真付きで投稿、引分けか負けの時は写真なしで謙虚な文章のみのツイート、という明確な基準がありますね。本人に聞いたわけではないですが、何年も彼のツイートを観察している札幌サポだと、気付くポリシーです。

えとみほ:SNSの投稿にそういったポリシーがあると、運用がしやすくなりますよね。SNS初心者の場合、最初にSNSに詳しい人に相談して、投稿ポリシーを作っておいた方が後々安心かなと思います。

アンチ1%の法則

アシシ:話は変わりますが、えとみほさんが今春に入社した栃木SCの社長は、SNSをやっているんですか?

えとみほ:全然やらないです。私が危なっかしいツイートをしているんじゃないかと心配で、SNSを見ることもやめたと言ってました(笑)。

アシシ:社長はえとみほさんの炎上をどう思ってるんですか?

えとみほ:うーん、どうなんですかね? ツイッターをやることについては、かなり前に橋本社長に判断を仰いだんですよ。多少リスクあるとは思うので、やめたほうがよければやめますが、と。

アシシ:直接聞いたんですか?

えとみほ:はい、聞きました。もちろん私も発言に注意はしますが、3万以上もフォロワーがいたらそれはいろんな人に発言が届くわけです。皆が同じ感じ方をするわけではないので、また燃えることもあるかもしれないと。そのとき社長がどう考えたのかはわからないですが、「江藤さんは江藤さんらしくでいいですよ」と許可してくださいまして。

アシシ:コンサドーレの野々村社長もSNSをやらないんですが、僕のツイッター界隈での炎上については噂で知っているようで、実際に会った時とか僕のことを何か腫れぼったい感じで見てくるんですよ(笑)。

えとみほ:SNSをやらない人にとっては、SNSは恐怖感が先に来るんですよね。

アシシ:100人の「好き」が集まったら、必ず1人は「嫌い」な人が出てくる。僕は「アンチ1%の法則」と呼んでますが、フォロワーが増えれば増えるほど、アンチも増えるのはしょうがないこと。炎上と言わないまでも、クソリプが飛んできて嫌な思いをするのは、SNSのネガティブな面ですよね。

えとみほ:いま私も村上さんもそれぞれ4万フォロワーくらいいるので、1%だと400人のアンチがいると(笑)。そういうマイナスの面もありますが、そのデメリットを余裕で上回るくらいのメリットがSNSにはたくさんあると思います。人気をストックできたり、有用な情報を収集できたり。

アシシ:そのノウハウを栃木SC内で共有するために講習会を開いたんですね。

えとみほ:その通りです。SNSのリスクばかりがクローズアップされて、JリーガーがSNSを活用しないのは本当にもったいない。栃木SCに限ったことではなく、Jリーグ全体を盛り上げるためにも、ひとりでも多くのJリーガーがどんどん積極的にSNSを活用してほしいなと思っています。

プロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント

1977年札幌生まれ。2000年アクセンチュア入社。2006年に退社し、ビジネスコンサルタントとして独立して以降、「半年仕事・半年旅人」という独自のライフスタイルを継続。2019年にパパデビューし、「半年仕事・半年育児」のライフスタイルにシフト。南アW杯では出場32カ国を歴訪する「世界一蹴の旅」を完遂し、同名の書籍を出版。2017年にはビジネス書「半年だけ働く。」を上梓。Jリーグでは北海道コンサドーレ札幌のサポーター兼個人スポンサー。2016年以降、サポーターに対するサポート活動で生計を立てているため、「プロサポーター」を自称。カタール現地観戦コミュニティ主宰(詳細は公式サイトURLで)。

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