【土浦市】10月16日まで!霞ヶ浦に浮かぶ帆曳船を目前で見て、撮影できる「観光帆曳船」運航がスタート
霞ヶ浦の魅力を語るにあたって欠かすことができないのが「帆曳船」です。写真やガイドブックで見たことはあるけれど、実際の帆曳船を見たことがないという方も多いはず。陸から見ることもできますが、水上で見る迫力、臨場感は格別です。
操業日に合わせて土浦港から観光船が運航
2022年の帆曳船操業が、ワカサギ漁の解禁日にあたる7月21日(木)に行われました。通常は、毎週土・日曜・祝日のみ操業が行われ、それに合わせて見学船も10月16日(日)まで運航します。
帆曳船の操業の様子を観光できる船は、土浦港より運航。13時25分出港のジェットホイルつくば号(常陽観光)または13時30分出港のホワイトアイリス号(ラスクマリーナ)で湖上へ。
今回乗船したのは13時30分出港のホワイトアイリス号。2階建ての大きな船です。
出港して間もなくすると左側に防波堤が見えてきます。この防波堤の手前までが徐行ゾーン。これを通過すると一気にスピードアップして帆曳船のある霞ヶ浦沖へと向かいます。
船の後方に立つと土浦市街とその先に筑波山も臨むことができます。晴れた日は風が気持ち良く、真夏の暑さを忘れさせてくれるようです。
大迫力! 帆を上げる様子を間近で見学できる
出港して10分ほどすると、小舟のようなものが浮かんでいるものが見えてきました。この小舟こそが帆曳船。帆曳船観光は、帆を上げる作業の様子から見学することができます。この小舟がどのようになっていくのかが楽しみです。
見学船が近くまでやってくると、操業者たちが帆に手をかけて上げる準備を始めます。
まるで入道雲のように白い帆がもくもくと姿を現しました。
この日はお天気に恵まれましたが、風は強め。
風向きを読みながら、帆が開くように操縦するのは熟練の技がなすところです。
この状態から帆が開くまでは、動画にてご覧ください。
この日は特別に土浦市観光協会の方がガイドをしてくださったのですが、その案内によると、帆曳船は帆柱の高さが約9m、帆の大きさは畳90畳分にも及びます。
帆曳船を使った網漁は、1880年(明治13年)に現在のかすみがうら市の漁師によって考案されたもの。白魚漁を目的に作られたものですが、その後はワカサギ漁に用いられるようになり、霞ヶ浦漁業になくてはならない存在となりました。
霞ヶ浦の帆引き網漁は、2018年に国選択無形民俗文化財に選定され、2021年には地域文化の発展に貢献した団体を顕彰するサントリー地域文化賞を受賞しています。
狭い船上で心をひとつに。難易度の高い帆曳船操縦
大きな帆がシンボルの帆曳船ですが、操業する船上はとても狭く、多くて5名しか乗船できません。風が強くても弱くても帆を上げるのが難しく、いかに風を読みながら操縦するかがものをいいます。
もちろん天候にも左右され、操業のポイントも毎日、毎時間変わってきます。船上の操業者の人数は少ないですが、だからこそ心をひとつにしてベストコンディションで臨むことが重要なのです。
帆曳船を未来へと継承することを目的とした帆曳船保存会という会があります。10名在籍するメンバーは、最年少が28歳、最年長は80歳。若い世代へのバトンを託すために80歳のベテランを中心に天気と風を読みながら操業が行われます。
日によって帆を上げるポイントが異なるので、陸から見るのは至難の業です。
観光船での見学は、その日の操業ポイントを事前に確認して出港するので、見逃すことがないのが魅力です。
土浦市では、2艘の帆曳船が操業しています。
夏から秋にかけての霞ヶ浦の風物詩ですので、ぜひ一度間近でご覧になってみてください。
その迫力に感動すること間違いなしです。