片づけができる子に育てたい時は、とりあえず片づけさせるのが正解か
私は片づけを通じ、誰かのマネをするのではなく「暮らしを選べる人」を増やす活動を始めて9年目。小中高の4人の子どもを育てる親です。
小学生を育てる保護者の多くが、「子どもが片づけてくれない」と悩みます。
私も、部屋が片づいていたらどんなに楽だろう、こんなにイライラしないだろうと思ったことがあります。
でも、子どもに片づけを教えるのは大変です。
「片づけができる子に育てたいのだから、片づけを教えればいいでしょ?」と思うでしょうが、簡単には行きません。
そこで今日は、片づけができる子を育てるために、親ができることを考えたいと思います。
子どもが片づけてくれたら、確かに助かるけれど
私は子どもの頃、片づけができず、週末のたびに親に「片づけなさい」と言われていました。
そんな自分が親となると、昔、私の親が感じていたであろう、子どもに片づけができてほしいという気持ちが痛いほどわかるようになりました。
私はいつも、
おもちゃがキレイに片づいたリビングを見ながら夕飯を食べることができたら、どんなに気持ちが穏やかだろう。
寝る前にキッチンや洗濯物、おもちゃで散らかったリビングをリセットできたら、翌朝どんなに気持ちがいいだろう。
子どもが片づけができる子だったら、床に落ちているブロックを踏んで、痛い思いをすることはないのに。
と思っていました。
そして、片づけができるとできないでは、家事や仕事の効率で大きな差があると身をもって感じたので、なんとかして我が子は、片づけができる子にしたいと思い、一日に何度も「片づけなさい」と言い、せっせと部屋をリセットすることを繰り返していました。
しかし、子どもも一人の人間です。片づけない子どもの行動を、片づけるように変えるのは本当に難しいと4人の子を育てる中で私は思ったのです。
本当に「片づけができない子」なのだろうか?
これまで私が保護者から受けた相談事を一部紹介します。私と同じように、子どもには片づけができるようになって欲しい思いが伝わってきます。
【小4 Aくんの保護者】
Aの部屋は散らかり放題で、片づけができず、机の上もぐちゃぐちゃです。自分の好なマンガやグッズばかり買い集め、本棚には新しい本が入るスペースが少しもありません。そのうち、机の本棚もマンガで埋まってしまいそうです。本当に困っているのですが、どうしたらよいでしょうか?
【小2 Sちゃんの保護者】
Sの部屋の床は、いつも雑誌やその付録が出しっぱなしです。足の踏み場もありません。ベッドの上にもぬいぐるみやおもちゃが散乱していて、大事なモノを失くさないか心配ですし、本当に片づけができない子で困っています。
私は、AくんとSちゃんの家庭にお邪魔したことがあります。Aくんの机の上は確かに、散らかってはいるけど、マンガは本棚に種類ごとに分けられキレイに並び、グッズも飾られている状態です。
Sちゃんに至っては、片づけができる、できないの問題より、おもちゃや雑誌などとにかく大人が与える量がどの家庭よりも多く、完全に子どもの管理できる量を超え、キャパオーバーとなっています。
保護者の「散らかっていては困る」から片づけができる子にしたい!という気持ちは、同じ親としてよくわかります。
だからといって焦ってしまうと、使ったモノを元に戻したり、見た目をキレイにすることができる子にすることが目標になりがちです。
確かに、使ったモノを元に戻す行動、床に散らかったモノを片っ端から拾い元の場所へ戻していく行動、あまり散らからないように、遊び終わったらすぐ元に戻し、それから次の遊びを始めるという行動は、とても素晴らしいですが、
それが、片づけができるということでしょうか。
Aくんは、机の上は散らかっていても、自分の大切なモノはきちんと管理し大切に扱っています。Sちゃんは、大切なモノが何なのかわからないくらい、身の回りがモノだらけです。
収納ワザやテクニックで、子どもが後片付けしやすい環境に整えることは可能です。しかし、自分の大切なモノを知っているかどうか、そしてそれを大切にできるかどうかという部分が、子どもの片づけでは大事にしたいのです。
〇〇ができる子に育てたい時は、〇〇をさせるのが正解か
我が家の長男(中2)は「片づけは嫌い」と言います。だけど、自分のモノ(文具や服、雑貨など)を自分で選び、部屋を整えるのは楽しいと言います。
私は、この長男の言葉に、ハットしました。
片づけができる子に育てたい。
勉強ができる子に育てたい。
運動ができる子に育てたい…。
と親なら考えるの当然でしょう。しかし、〇〇ができる子を育てることが目的になると、
親は子どもに、とりあえず片づけをさせ、勉強をさせ、運動をさせ…、逆に片づけ嫌いになることもあるののではないかと思うのです。
最終的な子育ての目的は「自立」です。私はその手段の一つとして、片づけがあると考えています。
そして私は、片づけができる子に育てるために、「片づけ」そのものを繰り返しさせるより、
子どもに大切なモノを教えてもらったり、「これはどこに置いたらたら使いやすい思う?」「これは、どんな風に飾ったらいいかな?」と子どもに聞いた方が、片づけさせられるという他人事ではなく、より片づけに主体的に参加することになるので、うまくいくことも実感しています。
親に「片づけなさい」と言われ続けた人は、片づけができる子を育てるために、同じように「片づけなさい」と言うでしょう。
確かに、片づけのやり方そのものも大事です。
でもそれ以上に、片づけを通し「これが好き」「こんな風にしたい」という子どもの気持ちを大切にすることが大事です。
そうすることで、片づけをさせる親と片づけをさせられる子どもという関係ではなく、子どもの大切な暮らしを一緒に考える親子、という関係になり、
それが将来、自分の暮らしを作るという自立につながるのではないでしょうか。