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日韓首脳の2次会で話題 明治創業の老舗洋食店 銀座・煉瓦亭ってどんなところ?

濱田浩一郎歴史家・作家

3月16日、日本を訪問した韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、岸田文雄首相との首脳会談を終えた後、夕食会で東京・銀座のすき焼き店「吉澤」を訪問。その後の「2次会」で同じく銀座の洋食店・煉瓦亭を訪れたとして話題になった。

煉瓦亭は、明治28年(1895)創業の老舗の洋食屋である。明治28年の前年(1894年)には日清戦争が勃発。まさに、近代日本の激動期であった。そんななか、誕生した煉瓦亭は、オムライスやポークカツレツといった洋食が発祥した店として知られる。

よって、私からしたら、煉瓦亭は、いわゆる「歴史飯」を食せるお店として前々から気になっていたのだ。これまで、お店の前を通ることはあっても、偶然、休業日ということが多く、本日(3月21日)、初めて、訪問した。

煉瓦亭は、普段でも行列ができる人気店だが、今日は、首脳の会食報道や休日ということもあるのだろうか、数十人の行列が出来ていた。12時頃から並び始めて、お店に入ることができたのは、14時頃であった。

私は2階に案内されたが、店内の雰囲気は「レトロ」という言葉が相応しいだろう。蝶ネクタイをしめて、ピシッと洋服を着こなした、口髭・顎髭が生えた店員さんを見ていると、まるで「明治時代」にでもタイムスリップしたように思えてくる。

私が、注文したのは、明治時代に作られたという「元祖ポークカツレツ」(2600円)と「明治誕生オムライス」(2600円)だ。元祖ポークカツレツは、そのまま食べても、ソースを付けて食べても、美味しいが、トンカツとはまた違う風味である。

元祖ポークカツレツ
元祖ポークカツレツ

明治誕生オムライスは、卵が甘くて美味であるが、そこにケチャップの酸味が混じることにより、一層、味わい深くなる。

明治誕生オムライス
明治誕生オムライス

明治時代の日本人は、これら洋食を食べた時、大層、驚いたのではないか。そんなことを想いつつ、レジに向かうと、レジ前には「創業明治二十八年 煉瓦亭カレーせんべい」(150円)が置かれていたので、購入した。

お店の雰囲気、そして提供される料理の内容、何れも、歴史好きには堪らないものであろう。興味のある方は、是非、訪問されては如何だろうか。

歴史家・作家

1983年生まれ、兵庫県相生市出身。皇學館大学文学部卒業、皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『北条義時』『仇討ちはいかに禁止されたか?』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)ほか著書多数

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