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【JAZZ】松居慶子グループ日本ツアー東京公演

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家

“ジャズの醍醐味”と言われているライヴの“予習”をやっちゃおうというヴァーチャルな企画“出掛ける前からジャズ気分”。今回は、松居慶子グループによる日本ツアーの東京公演。

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『Soul Quest World Tour〜Live in Tokyo』
『Soul Quest World Tour〜Live in Tokyo』

コンテンポラリー・ジャズの最前線を走り続けている“女王”こと松居慶子の日本凱旋ツアーだ。

昨年は3年ぶりとなるニュー・アルバム『Soul Quest』を引っさげてワールド・ツアーを敢行。5月に東京・六本木のEXシアター六本木で行なったライヴ音源を収録した最新作『Soul Quest World Tour〜Live in Tokyo〜』を2015年4月にリリースしての日本ツアーとなった今回。

昨年のツアーでは、カーク・ウェイラム(サックス)やチャック・ローブ(ギター)という、コンテンポラリー・ジャズの伝説的なトップ・アーティストをゲストに迎えて日本でのライヴを行なった。そして、その繊細で情感あふれる独自の音楽観に豪華な彩りを添えたサウンドを完成させ、アルバムというパッケージに収めている。

今年のツアーでは装いも新たに、まったく異なるアプローチで自身の音楽観を表現しようと考えているのではないかーーということを、ツアーのメンバー構成の違いから予想してみた。

チェロの起用によるアプローチの変化に注目

ピアノ・トリオにチェロを加えたクァルテット編成。このところコンテンポラリー・ジャズではフロント楽器としてのチェロに注目が集まっているようなのだが、彼女もまた率先してチェロによるサウンド展開にチャレンジしようとしているのかもしれない。

チェロは、ポピュラー・ミュージックのなかに取り入れようとすると、アンサンブル的には音量的に弱い楽器というデメリットが出る一方で、メロディを任せるととても主張の強い楽器に変化する。この二面性は魅力的であるが、バンドのなかでどのようにバランスを取るのかはディレクションをするリーダーのセンスが問われるというわけだ。

その問いに対して、“コンテンポラリー・ジャズの女王”はどのような答えを出すのか……。

では、行ってきます!

●公演概要

6月12日(金) 1st:開場17:30/開演19:00 2nd:開場20:45/開演21:30

6月13日(土) 1st:開場16:00/開演17:00 2nd:開場19:00/開演20:00

会場:ブルーノート東京(東京・南青山)

出演:KEIKO MATSUI GROUP:松居慶子(ピアノ)、カリートス・デル・プエルト(ベース)、ジミー・ブランリー(ドラムス)、斎藤孝太郎(チェロ)

♪KEIKO MATSUI GROUP : BLUE NOTE TOKYO 2015 trailer

松居慶子グループ日本公演についてはKeiko Matsui Japan Tour 2015|松居慶子オフィシャルウェブサイトを参照してください。

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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