急成長のスマートホーム市場、23年には17兆円規模に 機器は19億台超、スマホを上回る見通し
米市場調査会社ストラテジー・アナリティクスのレポートによると昨年、世界の消費者がスマートホーム関連機器に費やした金額は、840億ドルで、前年の720億ドルから約16%増加した。
5年後には世界でほぼ3億世帯が導入か
消費者のスマートホームに関する知識は高まっている。このことから今年は、支出額が960億ドルへと拡大するという。
そして、この市場は今後、10%の年平均成長率で伸び、2023年には1550億ドル(約17兆420億円)規模に達すると同社は見ている。
スマートホーム機器を導入する世帯数は昨年時点で1億6400万世帯だった。こちらも右肩上がりで推移し、2023年には2億9300万世帯が導入するという(グラフ)。
同社の別のレポートによると、昨年世界で販売されたスマートホーム機器の台数は、6億6300万台だった。
これが今年は、25%増の8億3200万台になる見通しだ。
そして、2023年には、19億4000万台に達し、スマートフォンの販売台数(18億6000万台)を上回ると、ストラテジー・アナリティクスは予測している。
スマートホーム市場を牽引する世界のブランド
スマートホーム機器には、AI(人工知能)機能搭載のスマートスピーカーや、LED電球、煙探知器、電子錠、セキュリティーカメラ、スイッチ類、サーモスタット、デジタルヘルス機器などがある。
このうち、最も成長が速いと見られている分野は、スマートスピーカー。その今年の販売台数は、昨年の2倍以上になる見通し。そして、これらの製品を販売する米アマゾン・ドットコムや米グーグルなどが、主流のブランドであり続けるという。
とりわけアマゾンとグーグルは、北米のスマートホーム市場を牽引していくという。一方、北米以外を見ると、欧州では、英セントリカ・コネクテッドホームの「Hive」、ドイツテレコムの「Magenta Home」、ドイツEQ3などが牽引役になるという。
日本では、イッツコムやパナソニックが、アジア太平洋地域では中国シャオミ(小米科技)や韓国LG Uplusが市場をリードしていくと、予測している。
スマートスピーカー市場でアマゾンのシェア低下
スマートホーム機器への需要は、(1)製品の低価格化、(2)機能・サービスの魅力、(3)使い勝手の良さなどの進歩により高まっていくとストラテジー・アナリティクスは分析している。
つまり、この分野では今後も、我々の日常生活を手助けする、さまざまな機器が登場してくると考えられる。
これに伴い、ユーザーインタフェース(利用者との接点)となり、機器の操作命令を音声で受け付ける、スマートスピーカーが今後も中心的な役割を担っていくのだろう。
スマートスピーカーの今年1〜3月期の世界出荷台数は、920万台だった(図1)。これは、1年前に比べて278%増と、ほぼ4倍。
- 図1 スマートスピーカーのメーカー別出荷台数(インフォグラフィックス出典:ドイツ・スタティスタ)
この市場では、現在、アマゾンが最大のシェアを持っている。ただ、ここ最近は、同社のシェアが徐々に低下。グーグルや中国メーカーが、シェアを拡大しており、競争が激化している。
(このコラムは「JBpress」2018年6月15日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)